2026.05.23 アーセナルの話題
セットピース、プレス、トランジション…数字で見る「アーセナルがプレミアリーグで優勝した理由」
エンツォ・マレスカ、ルーベン・アモリム、トーマス・フランク、イゴール・トゥドール、リアム・ロセニオール。ビッグクラブの監督解任が5回は異常事態です。9月末から1勝6敗とクラッシュしたリヴァプールも、アルネ・スロット監督の解任の噂が絶えず、最終節の結果次第でチャンピオンズリーグの出場権を逃す可能性があります。
マイケル・キャリックを招聘したマン・ユナイテッドが間に合ってしまい、3位に浮上したという事実は、アストン・ヴィラ、ボーンマス、ブライトン、ブレントフォード、サンダーランドが跋扈した戦国時代だったことの象徴でしょう。「昨シーズンに続いて優勝争いのレベルが低かったのは、中小クラブのレベルが高かったから」という表現も成立するのではないかと思われます。
さて、そんななかでアーセナルは、なぜ頂点に立てたのでしょうか。彼らの強みと変化がわかる数字をピックアップしてみましょう。最初に挙げるべき象徴的なスタッツは、「26失点と19のクリーンシート」「セットピースから22ゴール&CKで18ゴール」。失点はアルテタ監督が就任してから最少で、ダヴィド・ラヤは3年連続でゴールデングローブを獲得しています。
コンパクトな4-4-2の守備ブロックは堅牢のひとことで、1試合あたりのPK以外の失点は0.7。予測失点(xGA)も0.74とリーグ最少で、2位のマンチェスター・シティの1.1を大きく引き離しています。自陣での奪取から15秒以内に敵陣ボックスでボールを触るダイレクトアタックも許さず、1試合あたり1.9回はリーズに次いで少ない数字です。
試合ごとに打たれたシュートは平均8.2本で、これも1位。ただしインターセプトは7.1回しかなく、全体の18位です。ラヤの素晴らしいセービング、サリバのチェック、ガブリエウの的確なブロックが印象に残っている人も多いかもしれませんが、実際にはボールが彼らに届く手前のデュエルと囲い込みで、大半のアタックを刈り取っているということがわかります。
セットピースに目を移すと、トータル22ゴールはNo.1で、7失点はブライトンに次ぐ2位。CKから18ゴールはプレミアリーグレコードです。ファールすれすれのチャージをかましてくると批判されがちですが、セットピースからの得点力のベースは、デクラン・ライスとブカヨ・サカのプレースキックのクオリティです。
セットピース100回あたりのゴール数は、1位がマンチェスター・ユナイテッドの7.9ゴールで、2位はアーセナルの7.4ゴール。あちらもブルーノ・フェルナンデスという秀逸なキッカーと、カゼミーロ&マグワイアというストロングヘッダーがいます。キーパーチャージが復活したり、守備側に有利なルールが加わったりしても、この2チームのゴールはさほど減らないでしょう。
さらにアーセナルには、特筆すべき数字があります。CKからの18発のうち13発は勝ち越しゴールで、これもプレミアリーグのレコードです。CKを獲得した本数のランキングは、マンチェスター・シティ、ニューカッスル、チェルシーの順で、アーセナルは5位、マンチェスター・ユナイテッドは14位。プレースキックの精度が高い選手の存在が、より重要になっているといえます。
アルテタのチームの強みといえば、前線からの厳しいプレスも忘れてはいけません。1試合あたりの「Possession won final 3rd」、すなわち敵陣でボールを奪った回数を示す数字を見ると、TOPがブライトンの5.0回で、アーセナルは4.8回です。相手のパス全体のなかで、苦しまぎれのロングフィードを蹴る割合は14.5%。こちらもリヴァプールの14.8%に僅差の2位に着けています。
プレッシング、トランジション、セットピースのレベルを高めることで、ローブロックの相手に苦戦しても1-0で勝てるチームになったといえるでしょう。ただし、このシステムには副作用もあるのではないかと思います。今のアーセナルで、シーズン20ゴールを決めるストライカーや、鮮やかなキラーパスを連発するプレーメイカーを生み出すのは難しそうです。
ストライカーもウインガーもトップ下も、プレスや囲い込みに加わっており、相当な運動量を要求されます。前線に残ってCBと駆け引きするタイプや、スペースを見出してチャンスを創るタイプは、バランスを失うとシステムを壊す存在になってしまうでしょう。ギョケレス、カイ・ハヴェルツ、エゼ、ウーデゴーアは、持てる力を出し切っているとはいえません。
さらなるバージョンアップを見据えた課題は、攻撃の緩急の自在性と速攻のクオリティ。数字でいえば、「リーグで最下位のロングフィード684本」の改善です。ファン・ダイクとサラーのホットライン、ロドリのサイドチェンジ、ブルーノ・フェルナンデスが仕掛けるロングカウンターは、いい教材になるのではないでしょうか。来季の新チームには、得点力UPを期待しましょう。
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