グーナーが行った!ELプレミアリーグ対決inバクー現地観戦レポート【哀愁のファイナル編】
試合当日はアーセナルのシャツを着て出発し、まずはカスピ海沿いにあるUEFAのファンゾーンをチェック。昨シーズン、準決勝が行われたマドリードにはこういうものはなかった気がするので、やはり決勝ならではということなのでしょうか。なかなか厳重な手荷物検査を経て入った広場にはゲームやステージが設営されていて、ELトロフィーと記念撮影できるスポットには長蛇の列ができていましたが、その他のブースはわりと素朴な印象。ちょうど特設ステージにチェルシーのレジェンドが5人ほど登場してトークショーをしていましたが(デコとエッシェンだけ確認)、ということはアーセナルもやるのかしら?と思ったものの、スケジュールが掲示されているでもなく結局わからずじまい。全体的にゆるい雰囲気が漂っています。
ミーティングポイント近くのローカルなケバブショップに入ると、私の着ていたシャツのネームを見た店員さんが「エジル!エジルだ!!!」と大喜び。それまでアーセナルのシャツを着ている私たちに「アーセナル!」と声を掛ける人はいても、個人名でこんなに絡まれたのは初めてで、噂に聞いていたバクーでのエジル人気を実感します。考えてみれば、前日のツアーでもアゼルバイジャン人のガイドさんとトルコ人のお客さんが普通に自国の言葉で会話をしていたり、アゼルバイジャン料理とトルコ料理がとてもよく似ていたりと、両者の近さを感じるシーンは多々ありましたが、これまでとは!ドイツで批判されたエジルがここでこんなに愛されているということにも、いろいろと考えさせられます。
しかし私たち日本人のサポーターだって、それは教えられて初めて知ったこと。ましてやここはバクー。ヨーロッパのムードを知らないファンも、「アーセナルでもチェルシーでもない」ファンもたくさん集まっている。そう考えたら、おそらくは軽い気持ちでチェルシーグッズを身につけ、アーセナルのバスに乗ってしまったファンにも少し優しい気持ちになりました。とはいえ“Sit down! if you hate Chelsea!”なんて歌い出す人がいれば、ちょっと座るポーズをしてみたりするんですけどね!
これがヨーロッパの決勝か。正直言って、同じ敗北でも昨シーズンの準決勝、アウェイのアトレティコ・マドリード戦の方がまだ緊張感があった気がします。少なくともあのときは、アトレティコ側の雰囲気が物凄かった。今回は、楽に勝ちすぎたせいかチェルシーサイドにもそこまでの熱量が感じられず、それがますます悔しく感じられました。すべてはアーセナルが不甲斐ないせいなんだけども……。厳しいなあ、でもこれが今のアーセナルなんだなあと、試合後のスタンドでしばらくぼんやりとしていました。
ロンドンのサポーターは遠すぎて来られない。政治的な問題でムヒタリアンは帯同できない。席を埋めるのは中立ファンやおそらくは現地の観客で、だから両クラブがぶつかりあうプレミアリーグ流のクレージーな熱さも生まれない。スタジアムの外観はカッコいいけど、サッカー専用ですらない……せっかくのアーセナルの決勝がそんな中で行われ、不完全燃焼のうちに終わったことは残念に思います。
それでも、試合前日から出会ってきた多くの人たちを思うと、「だからこんな場所でやるべきではなかった」とはどうしても思えないのです。英語がしゃべれなくても何とか我々を歓待しようとしてくれたボランティア。バクーだから来ることができた近隣諸国のサッカーファン。見慣れぬ顔立ちの東洋人が着ていたエジルのシャツにあんなにも喜んでくれた地元の店員さん。あまりにも多様なその人々を見ていると、何か価値観が入れ替わるような気持ちになります。私はアーセナルとヨーロッパのフットボールが好きでここまで来たけれど、それだけがすべてだろうか?と。その感覚は、バクーだから得られたものだったかもしれません。
日本に戻った数時間後、ちょうどチャンピオンズリーグの決勝が行われたのをテレビで観ました。あの素晴らしいワンダ・メトロポリターノを舞台に、両サイドが物凄い熱量でぶつかり合う様子はまさにヨーロッパの頂上決戦というムードで、羨ましかったのは事実です。来年もアーセナルがヨーロッパリーグに回るのはとても悔しい。でもヨーロッパリーグはもしかしたら、私たちにまた何か新しい視点を与えてくれるのかもしれません。来シーズンの決勝は、ポーランドのグダニスクで行われます。
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更新ご苦労様です。
私もこの記事を読むまでは、何故バクーなんだろう?と思っていた派でしたが、記事後半の部分を読むと妙に納得してしまいます。
他のサイトでは、まず読めないような
現場の匂いがプンプン漂う
素晴らしい記事だと思います。