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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

グーナーが行った!ELプレミアリーグ対決inバクー現地観戦レポート【哀愁のファイナル編】

「グーナーが行った!ELプレミアリーグ対決inバクー現地観戦レポート【決戦前夜編】」より続きます。

試合当日はアーセナルのシャツを着て出発し、まずはカスピ海沿いにあるUEFAのファンゾーンをチェック。昨シーズン、準決勝が行われたマドリードにはこういうものはなかった気がするので、やはり決勝ならではということなのでしょうか。なかなか厳重な手荷物検査を経て入った広場にはゲームやステージが設営されていて、ELトロフィーと記念撮影できるスポットには長蛇の列ができていましたが、その他のブースはわりと素朴な印象。ちょうど特設ステージにチェルシーのレジェンドが5人ほど登場してトークショーをしていましたが(デコとエッシェンだけ確認)、ということはアーセナルもやるのかしら?と思ったものの、スケジュールが掲示されているでもなく結局わからずじまい。全体的にゆるい雰囲気が漂っています。

スタジアムへは、アーセナル、チェルシーでそれぞれ定められたミーティングポイントから直通のシャトルバスが出るとの話を聞き、それを利用することに。どれくらいスムーズに運んでもらえるのかな?と心配していましたが、ミーティングポイントにスタンバイしているバスを見るとなんだかすごい数!これなら心配はなさそうだということで、落ち合った友人たちと4人でまずは夕食を取ることにしました。

ミーティングポイント近くのローカルなケバブショップに入ると、私の着ていたシャツのネームを見た店員さんが「エジル!エジルだ!!!」と大喜び。それまでアーセナルのシャツを着ている私たちに「アーセナル!」と声を掛ける人はいても、個人名でこんなに絡まれたのは初めてで、噂に聞いていたバクーでのエジル人気を実感します。考えてみれば、前日のツアーでもアゼルバイジャン人のガイドさんとトルコ人のお客さんが普通に自国の言葉で会話をしていたり、アゼルバイジャン料理とトルコ料理がとてもよく似ていたりと、両者の近さを感じるシーンは多々ありましたが、これまでとは!ドイツで批判されたエジルがここでこんなに愛されているということにも、いろいろと考えさせられます。

食事を終えた頃にはバスは動き始めていて、私たちも目の前のバスに乗り込みました。すると、アーセナルサポばかりのはずの車内になぜかチェルシーのグッズを身につけた人が!この人、なぜわざわざアーセナルのミーティングポイントに来たの?と一瞬ムッとした後で、ふと今まであった出来事を思い出し、少し考え直しました。もしかしたらこの人は、プレミアリーグ(やその他ヨーロッパのリーグ)のホームとアウェイの感覚に慣れていない外国人なのかもしれない。「対戦相手のホームで自分のチームカラーをひけらかすのはタブー」というのはおそらくヨーロッパの常識で、当然、アーセナルサポ用のバスにチェルシースタイルで乗り込めば多少冷たくされても仕方がないものです。

しかし私たち日本人のサポーターだって、それは教えられて初めて知ったこと。ましてやここはバクー。ヨーロッパのムードを知らないファンも、「アーセナルでもチェルシーでもない」ファンもたくさん集まっている。そう考えたら、おそらくは軽い気持ちでチェルシーグッズを身につけ、アーセナルのバスに乗ってしまったファンにも少し優しい気持ちになりました。とはいえ“Sit down! if you hate Chelsea!”なんて歌い出す人がいれば、ちょっと座るポーズをしてみたりするんですけどね!

バスの中はそんなムードでも、スタンドに入れば話は別。クラブ割り当てのチケットで入場した私の席の周囲はいつものアウェイの雰囲気です。ただやはり、それは全体の中のほんの一部。両サイド真っ二つに分かれた真剣勝負の雰囲気には残念ながら欠けていると言わざるを得ません。しかも試合内容があんな感じでは……盛り上がったのは、前半、ジルーのシュートを防いだパパスタソプーロスが客席を煽ったときと、自分たちのサイドでイウォビがゴールを決めたときくらいで、ピッチの上と同様、スタンドも諦めに包まれていくのでした。

これがヨーロッパの決勝か。正直言って、同じ敗北でも昨シーズンの準決勝、アウェイのアトレティコ・マドリード戦の方がまだ緊張感があった気がします。少なくともあのときは、アトレティコ側の雰囲気が物凄かった。今回は、楽に勝ちすぎたせいかチェルシーサイドにもそこまでの熱量が感じられず、それがますます悔しく感じられました。すべてはアーセナルが不甲斐ないせいなんだけども……。厳しいなあ、でもこれが今のアーセナルなんだなあと、試合後のスタンドでしばらくぼんやりとしていました。

ロンドンのサポーターは遠すぎて来られない。政治的な問題でムヒタリアンは帯同できない。席を埋めるのは中立ファンやおそらくは現地の観客で、だから両クラブがぶつかりあうプレミアリーグ流のクレージーな熱さも生まれない。スタジアムの外観はカッコいいけど、サッカー専用ですらない……せっかくのアーセナルの決勝がそんな中で行われ、不完全燃焼のうちに終わったことは残念に思います。

それでも、試合前日から出会ってきた多くの人たちを思うと、「だからこんな場所でやるべきではなかった」とはどうしても思えないのです。英語がしゃべれなくても何とか我々を歓待しようとしてくれたボランティア。バクーだから来ることができた近隣諸国のサッカーファン。見慣れぬ顔立ちの東洋人が着ていたエジルのシャツにあんなにも喜んでくれた地元の店員さん。あまりにも多様なその人々を見ていると、何か価値観が入れ替わるような気持ちになります。私はアーセナルとヨーロッパのフットボールが好きでここまで来たけれど、それだけがすべてだろうか?と。その感覚は、バクーだから得られたものだったかもしれません。

日本に戻った数時間後、ちょうどチャンピオンズリーグの決勝が行われたのをテレビで観ました。あの素晴らしいワンダ・メトロポリターノを舞台に、両サイドが物凄い熱量でぶつかり合う様子はまさにヨーロッパの頂上決戦というムードで、羨ましかったのは事実です。来年もアーセナルがヨーロッパリーグに回るのはとても悔しい。でもヨーロッパリーグはもしかしたら、私たちにまた何か新しい視点を与えてくれるのかもしれません。来シーズンの決勝は、ポーランドのグダニスクで行われます。

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“グーナーが行った!ELプレミアリーグ対決inバクー現地観戦レポート【哀愁のファイナル編】” への2件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    私もこの記事を読むまでは、何故バクーなんだろう?と思っていた派でしたが、記事後半の部分を読むと妙に納得してしまいます。

  2. サンドバッグ より:

    他のサイトでは、まず読めないような
    現場の匂いがプンプン漂う
    素晴らしい記事だと思います。

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