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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

サポーターズトラストが試算した「1年後、アーセナルの赤字は200億円」の概要。

アーセナルのサポーターズトラストが衝撃的な数字を発表しています。コロナウイルスによるパンデミックで中断となったプレミアリーグが、2020-21シーズンを無観客で戦わざるをえなくなったら…。彼らの試算によると、2019-20シーズンがこのまま中止あるいは無効となれば、アーセナルは1900万ポンド(約25億3000万円)の赤字でフィニッシュ。さらに次のシーズンのシーズンチケット売上がゼロになると、2019-20シーズンに3億8600万ポンド(約513億円)あった売上は2億7400万ポンド(約364億円)まで目減りし、年間の赤字額は1億4400万円(約191億円)まで膨らんでしまうそうです。

2億7400万ポンドといわれてもピンとこないという方には、「2018-19シーズンの欧州の売上ランキングにあてはめると、15位のシャルケ04を下回ってしまう」と書けば、危機感が伝わるでしょうか。何らかの策を講じなければ、プレミアリーグのビッグ6から脱落し、スパーズとともにセカンドグループを形成するクラブになるかもしれません。アーセン・ヴェンゲルがいた頃は、マンチェスター・シティやチェルシーよりも上位だったクラブの凋落はショッキングな事件です。

サポーターズトラストの試算から、もうひとつ深刻な数字を紹介しましょう。前金で手に入るシーズンチケット売上がゼロとなれば、手元のキャッシュも激減します。2019年5月には、1億6700万ポンド(約222億円)だった流動的な資金は、1年後に6900万ポンド(約92億円)まで萎んでしまうそうです。プレミアリーグで最も高額のシーズンチケットにより、例年なら7000万ポンド弱を金庫に収めていたクラブは、夏に支払う過去の移籍金残額4000万ポンドを猶予してもらう必要に迫られるかもしれません。

「キャッシュの数字=使えるお金」ではないのですが、最悪のシミュレーションが現実となれば、1億ポンドを超える補強はできなくなります。主力を売って枠を広げるか、買い取りオプション付きのローンで揃えるなどの工夫が必須となり、ターゲットリストにある名前の大半が消されるはずです。つい2ヵ月前までは、シーズン終わりの決算で400万ポンド(約5億3000万円)の黒字を出すはずだったクラブは、一気に別世界へと放り込まれてしまいました。

ビッグネームを揃えて欧州の頂点をめざすグループにいたはずのアーセナルは、「安く仕入れて高く売る」中小クラブと同じスタンスへの大転換を強いられるかもしれません。経営的な観点だけでいえば、今が最高価格のオーバメヤンは即売り商材。固定人件費がかさむエジルも、止血のために放出必至です。契約延長交渉が難航しているサカは、将来高く売れる極上の在庫として何としても引き留めなければなりません。キャッシュポジションを安定させるためには、パパスタソプーロスやムスタフィ、ジャカの現金化も急がなければなりません。

最高の補強は、安価で買い取れるパブロ・マリと、ダニ・セバージョスのローン延長。アルテタ監督のミッションは、先々の売上増加の種となるU-20という原石を魅力的なフォルムに研磨することです。財政危機がささやかれ始めたなかで、「ザ・サン」が、アーセナルがオーバメヤンの売却に転じたと報じています。彼の移籍金がいくらになるかが、経営ボードの危機感を測る目盛りになるのではないでしょうか。記事が伝える3000万ポンド(約40億円)が実現してしまうなら、サポーターズトラストの仕事は的確だったといわざるをえません。


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