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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

止まることはできない…「BBC」が報じた「プレミアリーグ再開計画と意見交換の結末」

「シーズンの無効についての議論はなかった」。金曜日のテレビ会議で語られた内容をレポートした「BBC」は、プレミアリーグの全クラブが再開を望んでおり、選手たちの健康を最重視したプランは好評だったと報じています。オリヴァー・ダウデン文化省長官が主催した会議は、イギリスの主要スポーツをいかに復活させるかがテーマでした。プレミアリーグの代表者に加え、ラグビーユニオン、クリケット、F1の関係者や、政府の担当者と公衆衛生局の医療の専門家も参加。ダウデン氏は「専門家の医療的なアドバイスによって安全に復帰させる」として、試合会場がクローズドドアであることを強調し、プレミアリーグはこれを受けて「政府のガイダンスに基づくトレーニングとプレイのみでしかリターンはない」と声明を発表しています。

プレミアリーグ2019-20シーズンの残り試合は92。これらはすべて、ニュートラルのスタジアムで開催される見通しで、最大10会場となります。イレギュラーな運用の目的は、ファンが集まってくる可能性を減らすこと。会場の選定は、警察とスポーツグラウンド安全局(the Sports Grounds Safety Authority)の評価によって行われるようです。それぞれのクラブは、プレミアリーグのドクターグループと医療アドバイザーがまとめたメディカルプロトコル(規定と手順書)にサインアップする必要があり、それらは状況の変化に応じて段階的に導入されます。

再開に際して、選手とスタッフは週2回のコロナウイルスの検査を受け、その結果がスクリーニングされることになります。NHSによるドライブスルーテストの総件数は、最大で4万。トレーニング施設は、ソーシャルディスタンシングと高い衛生レベルを実現されるために最適化されます。例えば、クラブが練習を実施する条件として、以下のようなルールが設定されています。

・トレーニング施設を訪れる選手たちは、キットとマスクの着用が義務付けられる
・敷地内でのシャワーと飲食は禁止。クラブが選手にフードを供する場合は、車に届けて持ち帰ってもらう
・すべての医療スタッフはフルPPE(個人用防護服)着用。必要な医療行為のみが許可される
・すべての会議とレビューは、バーチャルな環境かつオフサイトで行われる必要がある

金曜日の会議は、あくまでも意見交換の場であり、大きな決定事項はなし。現場の運用については、プロサッカー選手協会(PFA)、リーグマネージャー協会(LMA)、選手とマネージャーがカギを握っていると認識されており、詳細についての協議が引き続き進められるというのがこのたびの合意事項です。「BBC」のスポーツエディター、ドン・ローンさんは、プレミアリーグの再開に向けた意見交換について、「堅実」と評価。今後の懸念事項として「クラブと選手が不安を抱く可能性」を挙げています。

クラブから生じうる疑念は、「ニュートラル開催という今回のフォーマットが、競技としての整合性を歪めるものなのではないか」。プレーヤーサイドは、既にシーズンがキャンセルされたフランス、ベルギー、オランダの選手が健康と安全を理由として参加を拒否するかもしれないといわれています。スポーツ弁護士のニック・デ・マルコ氏は、「どんな決定においても妥協が必要だが、何らかの訴訟が起こるのは避けられないだろう」とコメント。「誰もが喜ぶ決定を下すことは不可能。法的な問題と健康上の問題が主たる要因となる」と付け加えています。

フランスのように、シーズンを無効として順位を付ければ、不利な決め方だと怒るクラブが出るのは間違いなし。彼の地では、7位に終わったオリンピック・リヨンが損害賠償を求めると表明しています。最終節まで実施しなかった中途半端なシーズンとなれば、放映権料を支払うテレビ局やクラブのスポンサーが減額を主張するでしょう。

行くもリスク、止まるもリスク。懸念材料が目の前にあったとしても、経済的な理由でクラブが潰れるのを座して受け入れるという選択肢はなかったのだと思います。無力なプレミアリーグファンが約束できることは、何が起こっても結果論で評価しないと誓うことと、選手やスタッフ、医療関係のみなさんが健康であり続けるのを祈るぐらいです。


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