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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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スールシャールの限界を感じた一戦。止まる予感なき22人のPK戦で、デ・ヘアが止められて終了!

ポーランドのグダニスクにあるPGEアリーナに、マンチェスター・ユナイテッドの選手たちが姿を見せています。ヨーロッパリーグ決勝の相手は、ラ・リーガで7位のビジャレアル。初のビッグタイトル制覇をめざすスールシャール監督は、現在のベストメンバーを揃えていますが、最終ラインのマグワイアの不在が気になります。さっそく、スターティングラインナップを紹介しましょう。GKデ・ヘア、DFワン=ビサカ、バイリー、リンデロフ、ルーク・ショー。中盤センターはポグバ&マクトミネイ、2列めはラシュフォード、ブルーノ・フェルナンデス、グリーンウッド、最前線にプレミアリーグ10ゴールのカバーニという布陣です。

プレミアリーグを2位で終えたチームは、キックオフから厳しいプレスでスペインのチームのパスコースを切っています。7分、左に流れたカバーニがラシュフォードに落とし、真ん中からオーバーラップしたマクトミネイにラストパスが通りますが、右足のミドルは左のポストの外。11分、ポグバが右足のアウトにかけて右のグリーンウッドを使うと、縦に突破した11番のグラウンダーはカプェがニアでカットしました。

16分のビジャレアルのショートコーナーは、右サイドから走り込んでクロスを叩いたトリゲロスがコントロールできず。20分にワン=ビサカのクロスが流れ、ルーク・ショーが右隅を狙うと、ボールはブルーノの前を横切ってゴールラインを越えていきました。22分にジェレミ・ピノが放ったミドルは、マクトミネイがブロック。1分後、ボックス左から縦に出たバッカがラボーナで中央に浮かすと、パウ・トーレスが戻りながら合わせたヘッドはバーを越えてしまいました。

27分に敵陣中央でポグバが奪われ、カウンターが発動。ジェラール・モレノのパスを前線で受けたジェレミ・ピノのシュートは左に切れていきます。29分、左からパレホがラインの裏に入れたFKをジェラール・モレノがハーフボレー。デ・ヘアは触れず、スペインから来たサポーターの歓声が響き渡りました。1-0となってから、パスの精度が落ちたマンチェスター・ユナイテッド。時折上がるワン=ビサカのクロスは、味方に届きません。

45分、ボックス右で2人をかわしたラシュフォードのクロスも黄色い壁がブロック。直後に右からドリブルで上がったグリーンウッドが中に入れると、アルビオルに当たったボールをGKルジが押さえました。前半は1-0、シュート数も5対3でビジャレアルがリード。バルセロナ、レアル・マドリード、アスレティック・ビルバオ、セヴィージャ…スペイン勢を苦手としているプレミアリーグのクラブは、追いつくことができるでしょうか。

47分にペドラサのクロスからゴール前で混戦となるも、転倒したバッカは打ち切れず。人数をかけて守るビジャレアルに対して、マンチェスター・ユナイテッドはスペースを創れず苦しんでいます。54分、ルーク・ショーのFKをポグバが頭で折り返すと、粘ったマクトミネイのシュートはDFに当たってCK。ルーク・ショーのキックのクリアをラシュフォードがダイレクトで叩くと、カットされてこぼれたボールをカバーニが押し込みました

1-1となった56分、ワン=ビサカのクロスをファーのルーク・ショーが頭で折り返し、右からスプリントしたブルーノ・フェルナンデスが迷わずシュート。うまくミートできなかったキャプテンは、大きなジェスチャーで悔しさを表現しています。ウナイ・エメリ監督は60分にバッカを下げ、プレミアリーグファンにはおなじみのフランシス・コクランで中盤を厚くしました。攻め立てるマンチェスター・ユナイテッドは、8本のシュートの大半がボックスの外からです。

71分、ラシュフォードの縦パスでボックス左に入ったルーク・ショーが切り返しから右足を振り抜くと、コース上にいたカバーニがヘディングでプッシュ。GKの前にいたパウ・トーレスが頭で弾き返し、ビジャレアルはピンチを脱しました。77分にパコ・アルカセルとモイ・ゴメスを投入したエメリに対して、スールシャールは動かず。残り時間が10分を切っても、マン・ユナイテッドが攻め続けています。

89分、ルーク・ショーのクロスに競り勝ったポグバのヘッドはバーの上。追加タイムのビジャレアルのFKが右に流れ、ニアで落としをもらったパウ・トーレスが左足で打ったシュートは浮いてしまいました。ベストメンバーで90分を戦い、勝ち越せなかったスールシャール監督は、延長戦にどんなプランを用意しているのでしょうか。両者ともスローに落としたまま、10分が経過。フレッシュな選手が5人いるチームが、いい形を創り始めています。

100分にボックス左で縦パスを受けたパコ・アルカセルは打ち上げてしまい、2度のセットピースもマン・ユナイテッドの守備陣がクリア。グリーンウッドをフレッジに代えた指揮官は、カードを5枚残して後半に突入します。円陣を組むビジャレアル。スピードを上げられない赤いシャツは、ファールが増えています。109分に座り込んだラシュフォードは、足をつったのでしょう。116分にポグバとバイリーが下がり、ダニエル・ジェームズとトゥアンゼベが投入されています。

追加タイムは残り1分、ワン=ビサカとマクトミネイに代わってマタとアレックス・テレス。PK戦を前にして、ウナイ・エメリが円陣の中心で檄を飛ばしています。デ・ヘアが早く動きすぎ、2つ決められますが、このために入れられたマタとアレックス・テレスが成功。パコ・アルカセルとブルーノ・フェルナンデスは、GKに触られながらもセーフです。フィールドプレーヤーが全員決めて10対10となった後、GK対決はルジがネットを揺らしてデ・ヘアが止められました

スールシャールの限界を感じた一戦。ファン・デ・ベークやマタをオプションとして活かしてこなかったツケを、最後にまとめて支払う格好となりました。勝てる相手、勝つべき展開だったと思います。ビジャレアルのオンターゲットは、ゴールシーンのみ。プレッシャーに弱いデ・ヘアでPK戦となったとき、敗戦を覚悟しました。読みをことごとく外しながらも、ルジのミスに助けられたのですが、最後に自らが失敗して目の前のトロフィーを逃してしまいました。

モチベーターとして優秀なノルウェー人監督が最も輝くのは、ウェストハムやエヴァートンのようにEL出場権をめざすチームなのではないかと思います。「戦術ブルーノ」では、今季の戦績が精一杯なのではないでしょうか。タレント獲得に多額の資金を投入し続けるなら、欧州の舞台できっちり回収してくれる指揮官を招聘するべきです。勝ちにいけなかった延長戦、セーブする予感がまったくなかったPK戦…苦しい時間から解放され、苦さと安らぎが交錯しています。


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“スールシャールの限界を感じた一戦。止まる予感なき22人のPK戦で、デ・ヘアが止められて終了!” への1件のコメント

  1. イレブン より:

    苦い記事のアップ、お疲れ様です。
    僕もPK戦が見えたとき勝てないだろうと思いました。
    ビジャレアルのまとまり感に反してデ・ヘアにはPKストップのイメージは全く湧きません。

    スールシャールについては選手から支持されていてもファーガソンの様な厳しさや信念と言ったものを感じないです。
    ラッシュフォードに遠慮しているのか、周りとの連動が良くないのに使い続けてますね。全体を見るとそのエリアだけバリアの様に見えます。
    栄光を掴み損ねたツケが巨きなおりにならなければ良いのですが。
    ショーやカバーニの為にも勝って欲しかったなあ。

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