偏愛的プレミアリーグ見聞録

プレミアリーグのワトフォード戦で、フィットする兆しを見せたジェイドン・サンチョとファン・デ・ベークがスタメンで起用されています。チャンピオンズリーググループステージ5節、ビジャレアルVSマンチェスター・ユナイテッド。マイケル・キャリックの初陣は、勝てばノックアウトラウンド進出が決まる大事なゲームです。スールシャール解任の後を受けた暫定監督は、ブルーノ・フェルナンデスはコンディションが悪いと判断したのでしょうか。

まずは決戦に臨む11人を見てみましょう。GKデ・ヘア、DFワン＝ビサカ、リンデロフ、マグワイア、アレックス・テレス。中盤センターはフレッジとマクトミネイ、2列めはジェイドン・サンチョ、ファン・デ・ベーク、クリスティアーノ・ロナウド、トップにマルシアル。プレミアリーグでは絶不調のチームは、落ち着いてゲームに入れたようです。

アレックス・テレスが左から蹴った3分のFKは、アルビオルのクリアをファーで捉えたマクトミネイのヘッドが右にアウト。5分のモイ・ゴメスの強烈なミドルは、デ・ヘアが左に飛んでセーブしました。守備時の布陣は、プレスをかけやすい4-4-2。中央で持たれたとき、ラインがずるずると下がるのが気になります。左からダンジュマが打ったシュートのこぼれ球を、ボックス右のジェレミ・ピノに拾われた10分のピンチは、フィニッシュが右に逸れてくれて助かりました。

マンチェスター・ユナイテッドのプレスは相変わらず連動せず、あっさりサイドに通されて速いアタックを許しています。27分、GKルジのロングキックが右のジェレミ・ピノに通り、ニアで折り返しをもらったトリゲロスが強烈なダイレクトショット。決まりかと思われた一撃は、右に反応したデ・ヘアのビッグセーブに阻まれました。

30分のCKからの二次攻撃で、ロナウドが放ったヘディングシュートはルジの正面。34分にボックス手前左から狙ったロナウドのFKは、壁に当たりました。43分、左サイドの攻防で競り負け、中央でフリーだったモイ・ゴメスにパスを出されますが、左足のシュートはリンデロフがブロックしてCK。前半終了間際にワン＝ビサカから奪ったダンジュマの左足シュートは、大きく左に外れました。

前半は0-0、シュート数は9対3。勝てばグループステージ突破、ドローならアタランタが勝っても最終節の3ポイントでOK、敗れれば自力での突破がなくなる緊張感の高いゲームで、マンチェスター・ユナイテッドは劣勢を強いられています。後半に入り、最初の5分はビジャレアルペース。53分に右から突破を図ったジェイドン・サンチョのクロスがDFに当たってニアにこぼれると、フレッジは右足で打たざるをえず、ボールはルジの正面です。

59分、モイ・ゴメスのシュートがリンデロフにヒットしてトリゲロスの前へ。右足で叩いた渾身のボレーは、デ・ヘアが右に弾き出す3度めのビッグセーブでチームを救いました。マイケル・キャリックは動かないのか、動けないのか。打開策が必要なのは、間違いなくアウェイチームのほうです。

ワン＝ビサカのスライディングを気にしたダンジュマのシュートが枠を越えた後、66分に最初のカード。ファン・デ・ベークとマルシアルが下がり、ラシュフォードとブルーノ・フェルナンデスが前線に入ります。71分、ブルーノとのパス交換で中央に斬り込んだサンチョが、ひとりかわしてルジと1対1。左足のシュートは、GKが足でブロックしました。

均衡が崩れたのは78分、ビジャレアルに痛恨のミス。ルジからボールを受けたカプェがフレッジに突かれて失い、ボックス入り口で待っていたロナウドのループシュートがゴール左に吸い込まれました。84分には、バックパスをカットしたロナウドがルジと1対1になりますが、右に流したフィニッシュは枠にいきませんでした。

左から上がったラシュフォードのシュートは、ルジがセーブ。プレミアリーグでチェルシー戦が控えているチームは、フルスロットルで攻める必要はありません。90分、マクトミネイが左に出したスルーパスでカウンターが発動。ロナウド、ラシュフォード、ブルーノと右につながり、最後はサンチョの強烈なシュートがバーを叩いてネットを揺らしました。

マンチェスター・ユナイテッド、0-2勝利でノックアウトラウンド進出決定！デ・ヘアがビッグセーブを連発した後、エースが決めるという今季の「あるある」が作動しました。 最大の収穫は、ジェイドン・サンチョの初ゴール。プレスの巧拙がペースを決める苦しい試合でしたが、フレッジの素晴らしいチェックで世界が変わりました。

週末のチェルシー戦は、センターにリンデロフとバイリーという苦しい布陣になりそうですが、最後につかんだいい感触を持ち込んでいただければと思います。（ダヴィド・デ・ヘア　写真著作者/Анна Нэсси）