偏愛的プレミアリーグ見聞録

ブルーノ・フェルナンデスがピッチに戻ってきました。チャンピオンズリーグラウンド16、マンチェスター・ユナイテッドVSアトレティコ・マドリード。プレミアリーグでトッテナムを撃破したチームは、アウェイでのファーストレグを1-1のドローで終えており、勝てばベスト8進出です。

GKデ・ヘア、DFジオゴ・ダロト、リンデロフ、マグワイア、アレックス・テレス。セントラルMFはフレッジとマクトミネイ、2列めにブルーノ・フェルナンデス、エランガ、ジェイドン・サンチョ、最前線にクリスティアーノ・ロナウド。ポール・ポグバはベンチスタートです。

キックオフから、ポゼッションを得たマンチェスター・ユナイテッド。3分にダロトのクロスをオブラクと競ったエランガは、ファールを取られました。ロナウドが左にまわるアタックが多いのは、ラングニック監督の作戦でしょうか。前に出て奪うシーンが目立つホームチームは、プレミアリーグよりも直線的に攻めています。

13分、ロナウドのパスを受けたブルーノがボックス右を突破。ニアに入った高速グラウンダーをエランガがプッシュすると、ボールはオブラクの頭に当たって左に流れていきました。16分のデ・パウルのロングシュートは、右に飛んだデ・ヘアがビッグセーブ。21分にボックス右で浮き球を処理したブルーノがヘイニウドと絡んで倒れますが、PKはもらえませんでした。

26分、ダロトのミドルはオブラクがキャッチ。33分にコケ、マルコス・ジョレンテ、ジョアン・フェリックスときれいにつながって決まったゴールは、右に出したコケのスルーパスがオフサイドだったようです。41分、ボックス右手前で縦パスを受けたジョアン・フェリックスが、外から上がったグリーズマンに預けると、ファーでクロスを待っていたレナン・ロージがヘッドで叩き込みました。

追加タイムのブルーノのミドルは、オブラクが左に反応してセーブ。前半は0-1、シュート数は6対2、オンターゲットは3対2、ポゼッションは57%対43%と、主要スタッツはプレミアリーグのクラブが上回っています。後半開始直後、右に流れたブルーノが縦パスをヒールで落とすと、拾ったエランガがクロスに打った一撃はファーポストの外。サンチョが仕掛けた48分のカウンターは、右に出したラストパスをカットされました。

52分、苦しくなったマグワイアがデ・ヘアに戻すと、短いキックがバイタルエリアのデ・パウルへ。迷わず打ったミドルは、守護神が懐に収めて事なきをえました。5-4-1のアトレティコ・マドリードを攻めあぐむマン・ユナイテッド。59分にダロトのクロスがファーのサンチョに届くと、右足のボレーは浮いてしまいました。

左から蹴ったブルーノのFKがロナウドの頭にかすった直後、63分にラングニック監督が3枚代えを敢行。ブルーノ、エランガ、マクトミネイが下がり、ポグバ、マティッチ、ラシュフォードです。75分、フレッジに代わってカバーニ。直後のFKにフリーで合わせたヴァランのヘッドはオブラクがセーブし、リバウンドを叩いたロナウドのバイシクルも守護神がキャッチしました。

83分、左からのCKが逆サイドに流れ、ダロトが放ったミドルは左にアウト。マグワイアをマタという最後のカードは、空回りに終わりました。最終盤はシュートゼロ。パスミスとファールで時間を費やしたチームは、ブーイングとどよめきを背中で感じながらピッチを後にしました。

引いた相手を揺さぶる策がなかった…。ラシュフォードはシュートゼロでパス成功4本、カバーニも1本も打てずにパス成功2本と、期待された仕事をできませんでした。優位に立っていた前半にワンチャンスを活かされ、リスクをとって攻めた終盤は狙いが見えないアタックに終始しました。

緻密な戦術がないなら、いっそわかりやすく、前線にマグワイアを置いてひたすら放り込むほうが、シメオネのチームは嫌だったのではないでしょうか。敗れたマンチェスター・ユナイテッドに残されたチャンスは、プレミアリーグ9試合のみ。全勝しても、チェルシーが6勝1分3敗でアーセナルが9勝3敗なら、来季のCL出場権には手が届きません。