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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

決勝点は終了30秒前!ヨーロッパリーグはカップ戦巧者のチェルシー優勝!

「コーナーキックのチャンス」などというものの、そうそう入るものではありません。追加タイムも残り1分を切り、白熱のファイナルは延長戦突入の様相を呈してきました。右からのCKを蹴るのはマタ。左足で巻いてファーサイドを狙いますが、その弾道の先には誰もいません。

しかし、このボールの落下点に入ろうとしている選手がいました。ブラニスラフ・イヴァノヴィッチ。セットプレーからたびたびゴールを決めるCBは、後ろに下がりながらボールを捉え、渾身のヘディングシュート!これがGKの頭を越え、ゴール右隅に吸い込まれます。92分20秒過ぎ、チェルシー勝ち越し、2-1!

選手たちは瞬時にすべてを悟り、顔をゆがめます。ヨーロッパの主要大会の決勝戦で7連敗中のベンフィカ。彼らの願いは今回も叶いません。ここまで、自分たちができる最高のサッカーをしてきたはずなのに。歓喜の青いユニフォームを見つめ、泣き崩れるポルトガル人サポーター。もう残すところ、ワンプレーしかないでしょう。それでもその最後の時間で、カルドソがゴール前に飛び込み、あと30センチで同点ゴール、というところまで迫ります。しかし届かず、GKチェフが前に出て体で壁を作りDFがクリアすると、そこでタイムアップの笛。チャンピオンズリーグの翌年にヨーロッパリーグを制するチームなど、もう現れることはないでしょう。チェルシーが、2季連続で欧州のカップ戦に優勝しました。

ゲームは、前半から完全なベンフィカペース。昨季のチャンピオンズリーグで、バルセロナ、バイエルンを連破したチェルシーを思い出します。ペナルティエリアの外では持たせるものの、中には入れさせず。サイドでは自由にさせて、中央で締める。イヴァノヴィッチとガリー・ケーヒル中心にしっかり守り、ボールを奪うとセンターMFのダヴィド・ルイスから直線的に攻めていきます。ベンフィカは、攻めている時間帯にシュートが打てなかったのが痛かったですね。前半のチェルシーはマタが機能しておらず、単発のカウンターしかなかったので、先にリードを奪えていれば試合を進めやすかったのですが…。

後半に入ってもベンフィカが主導権を握り、前半にはなかったきわどいシーンを連発。51分にはカルドソがクロスボールをゴールに叩き込みますが、オフサイド。チェルシーは防戦一方。まったく店が獲れる雰囲気がありません。

しかし、サッカーはえてしてこういうもの。先制したのはチェルシー。しかも、通常なら起こりえないことが3回も続いた幸運なゴールでした。60分、こぼれ球をキャッチしたGKチェフが、即座にセンターサークル付近にいたマタにロングスロー。このときマタはフリーではなく、普通は完全に空いていない限り、GKはリスクが高い真ん中へのスローは出さないものです。しかしチェフはチャレンジし、あろうことかマタに当たりにいったベンフィカMFがボールをうまく処理できず、前線のF.トーレスへとつながってしまいます。F.トーレスも、必ずしもいい形でボールを受けたわけではなかったのですが、DFのミスという3度目の幸運で何とGKと1対1!GKのスローがまっすぐ前につながって、FWが相手GKをかわして決めるなどというシーンを誰が想像できるでしょうか。偶然とミスが3つ重なって、チェルシー1-0。

もうベンフィカは攻めるしかありません。66分にはFWのオラ・ヨンとリマを同時投入。アクセルべた踏みで攻撃し、この交代後すぐにペナルティエリア内でアスピリクエタのハンドがあり、このPKをカルドソが決めてゲームを振り出しに戻しました。カルドソはPKを蹴った瞬間、足がつって倒れ込みます。プレッシャーと勝利への激情が交錯するなか、目いっぱい走り、体に力も入っていたのでしょう。優位に見えたベンフィカのほうが、実は追い込まれていたのかもしれません。この後は両者譲らず、一進一退。カルドソの美しいボレーはチェフに阻まれ、ランパードの強烈なミドルはゴールポストの乾いた音を残すのみ。そして90分が終わり、CKを得たチェルシーは、マタが慎重にボールをセットし…。

5月10日の時点で、ポルトガルリーグ、ポルトガルカップ、ヨーロッパリーグの3冠を目前にしていたベンフィカ。リーグでは無敗、ヨーロッパリーグは危なげなく決勝進出と、その強さを存分に誇示していました。しかしここから、彼らの運命は暗転します。11日にポルトガルリーグで、ライバルのFCポルトに追加タイムで決勝ゴールを許し、初の敗北どころか残り1試合という最後の最後で2位転落。そして昨夜、またしても追加タイムの失点でヨーロッパリーグ制覇はかなわず。26日のポルトガルカップ決勝、ギマラエス戦を落とすようなことがあれば、3冠リーチからたった2週間ですべてを失うことになります。今季、これだけいいサッカーをしてきて何も得られないとすれば、そこには「無情」という言葉しかありません。

そしてチェルシーとサポーターのみなさん、そしてベニテス監督には、心から「おめでとう!」といいたい。暫定監督という不遇にめげず、2月から3ヵ月半にわたる過密日程を乗り切り、最後まできっちり自らの役割を果たしたベニテス監督は、やはり欧州トップレベルの指導者だと思います。サッカーの技術やチームのクオリティは、ベンフィカのほうが高かった(ベンフィカ本命予想をしていたので、やや負け惜しみが入っています)ように感じましたが、試合運びのうまさ、ディフェンス力、メンタルの強さで相手を上回りました。テリー、ランパード、ダヴィド・ルイス、イヴァノヴィッチの気持ちの強さが、この素晴らしい結果を導いたところもあるのではないでしょうか。マンチェスター・ユナイテッドサポーターとして、「来季は、欧州でもプレミアリーグでも負けませんよ」と宣戦布告し、この稿を締めたいと思います。…あなたたちのサッカーは素晴らしかった。ほんとうに、おめでとうございます!(ブラニスラフ・イヴァノヴィッチ 写真著作者/Рыбакова Елена)

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