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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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トッテナム、EL第2戦はアンジ・マハチカラに快勝!…しかし力不足が目立つサブメンバー

チャンピオンズリーグに続き、ヨーロッパリーグ第2戦が欧州各地で行われました。プレミアリーグ勢はトッテナムとスウォンジー、チャンピオンシップからウィガンが出場していますが、イギリスで戦うスウォンジーとウィガンは日本時間の明け方からのゲーム。まずは、時差の関係で開始時間が早いロシアに乗り込んだトッテナムが、アンジ・マハチカラとのアウェイゲームに登場です。

アンジ・マハチカラといえば、2011年にロシア人の大富豪スレイマン・キリモフ氏がチームに投資をして以来、サミュエル・エトーに世界一の年俸を支払う金持ちクラブとして有名でしたが、この夏突然、経営縮小を宣言。エトーをはじめ、ウィリアン、ラサラ・ディアッラ、ココリン、ユーリ・ジルコフ、デニソフ、ブスファと主力をこれでもかと放出し、若手中心のチームへと生まれ変わりました。あっという間にインターナショナルレベルの選手がごっそりいなくなったクラブに、プレミアリーグで首位を争うトッテナムが負けるわけにはいきません。

前半は、完全にトッテナムペース。アンジ・マハチカラは完全に眠っています。トッテナムがボールを持つと、人数でゴール前を固め、積極的にボールを獲りにきません。トッテナムはショートパス中心で相手ゴール前のスペースをこじ開けようとしますが、こちらもパス、トラップ、パスとリズムが一定のため、なかなか決定的な態勢を作れません。27分に、アンジ・マハチカラのスルーパスをGKロリスがゴールマウスを飛び出してカットした以外は、これといったチャンスがなく時間が過ぎ、前半はこのままスコアレスで終わるのではないかと思われました。しかし…。

34分、まさに一瞬のスキをついて先制したのはトッテナムです。中盤のホルトビーから、ペナルティエリア右隅で待つデフォーにスルーパス。EL緒戦のトロムセ戦で2ゴールを決めている「カップ戦マイスター」は、GKの目の前から有無をいわせぬ強シュートをゴール上に決め、0-1。パスが出た瞬間、アンジ・マハチカラの選手は金縛りに遭ったように動きが止まってしまいました。

その5分後、対応がまずいアンジ・マハチカラの左SBを狙い、トッテナムが追加点を奪います。逆サイドからのロングクロスをフリーで受けたのは、オーバーラップしていた右SBのカイル・ウォーカー。右サイドをドリブルで上がり完全にフリーになると、中央にいたシャドリに優しいグラウンダー。一瞬、マークを外したシャドリはこれを簡単にダイレクトで流し込み、0-2です。この時もアンジ・マハチカラDFの足は完全に止まり、トッテナムにいいように崩されてしまいました。前半は何とか0-2で終了しますが、ラスト10分の守備の綻びは「トッテナムの勝利は決まり。後半何点入るのか」と思わせるようなひどい状態です。

後半に入り、そのままトッテナムペースが続くと思いきや、アンジ・マハチカラの主力のなかで数少ない残留組のひとり、コートジボアール人CFラシナ・トラオレがピッチに入ったことで、状況は一変します。彼の前線でのボールキープで攻撃が機能し始め、中盤での厳しいプレッシャーからMFサンドロは何度も自陣でボールを奪われ、ショートカウンターを喰らいます。攻めに入ろうとするタイミングでパスカットを受けると、どうしてもサイドバックの対応は後手にまわり、左右からクロスの集中砲火を浴びるのは必至。GKロリスの果敢な飛び出しと落ち着いたセービングがなければ、どうなっていたかわかりません。

ホルトビーとラメラは完全にゲームから消え、しびれを切らしたヴィラス・ボアス監督は、彼らに代えてシグルズソンとエリクセンを投入。チャンスは作りながらも積極的にシュートを打たないアンジ・マハチカラの思い切りの悪さに助けられ、何とか0-2のままタイムアップ。スコアと試合経過だけ見れば快勝ですが、何となく物足りなさが残ります。

この日、ターンオーバーによってアピールのチャンスを得た選手はデフォー、ラメラ、サンドロ、シャドリ、ホルトビー、カブル、キリケシュの7人。このなかで合格点を出せるのは、先制点のデフォーとピッチ内を幅広く動き回り攻守に貢献したCBキリケシュのみ。ホルトビーとシャドリはいいプレイはゴールシーンのみで全般的に平凡。負傷退場したカブルは悪くはありませんでしたが、ドーソンのポジションを脅かすまでには至らず。サンドロとラメラは出来が悪く、後半のピンチは3~4割がサンドロの無理なプレイからで、ラメラは相手DFと積極的に勝負する気概に欠け、ただパスをまわすプレイに終始していました。

ヴィラス・ボアス監督は天然かつポジティブなので、「今日はよかった」というのでしょうが、内心はあまり満足していないのではないかと思います。次戦、プレミアリーグのウエストハム戦は、いつものメンバーに戻すのでしょうね。ここでレギュラーとサブの間にギャップができてしまうと、今後のやりくりがしにくくなってきます。次戦以降、カップ戦メンバーのさらなる奮起が期待されます。(ジャーメイン・デフォー:写真著作者/James Boyes ウーゴ・ロリス:写真著作者/Станислав Ведмидь)

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