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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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トルコで1-1ドローならOK!チェルシー、プレミアリーグ勢唯一のゴールで見えてきたベスト8

プレミアリーグ勢初ゴールは、チェルシーでした。チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦。狂信的なサポーターがスタジアムを埋め尽くす「やっかいなアウェイ」トルコに乗り込んだチェルシーが、ガラタサライ相手にアウェイゴールを挙げ、1-1のドローという納得の着地でファーストレグを締めました。後半、プレミアリーグではありえない強烈なブーイングを受け続け、いつも以上に疲労やストレスがたまったのでしょう。ラスト15分のチェルシーは、モウリーニョ体制になってから見たことないくらいのガス欠状態でしたが、最後の一線だけは守り切りました。

試合開始直後、4分にガラタサライGKムスレラがキックミスを犯し、ウィリアンにループシュートを狙われるなどホームチームが集中できていません。敵のエンジンがかかっていないとみるや、9分、チェルシーが自陣からの3本のパスで鮮やかに先制します。シュールレの縦パスから左サイドを完全に破ったSBアスピリクエタが、中に走り込んでマークを外したF.トーレスに優しいラストパスを送り、トーレスはこれをインサイドで合わせるだけ。ガラタサライ、絶対にやってはならなかった敵の先制点。こうなると、アーセナルに70分間何もさせず、リヴァプールの速さを止め、マンチェスター・シティを沈黙させたチェルシーの中盤の守備が冴えわたります。

前半は、セーフティに守ってボールを奪うと手数をかけずに攻め込むという、モウリーニョが最初に監督をしていた頃のようなサッカーです。ボール支配率は57%と圧倒的にガラタサライでしたが、チャンスは2本のミドルだけ。42分にはスローインからのパスを受けたブラグ・ユルマズが右からゴールを揺らしますが、ピッチに2つボールが入ってしまっていたためにノーゴール。ドログバ、スナイデルという「モウリーニョの卒業生たち(モウリーニョの友人といったほうが、ご本人たちは喜ぶでしょうね)」は45分間、全く何もできず。アンチクライマックスを徹底したチェルシーが、自分たちの得意な形に引きずり込み、前半を0-1で折り返します。

後半、最初にチャンスをつかんだのはチェルシーでした。50分、相手のパスミスを突いて中盤でドリブルを始めたアザールが、F.トーレスにスルーパス。トーレスは相手CBふたりを引き連れながら、飛び出したGKムスレラの脇を狙いますが、左にセーブされて追加点はなりません。この後、チェルシーがフォアチェックを強化。ウィリアンやF.トーレスが執拗に相手DFのボールを追いますが、これが中盤の間延びを招き、却って味方のDFラインに負担を強いてしまったように思います。中盤とDFの間に空いたスペースをフェリペ・メロやセルジュク・イナンに使われ出すと、イヴァノヴィッチらチェルシーの最終ラインがCKに逃げるシーンも多くなります。

ガラタサライの巻き返しは、CKからでした。62分にはドログバがヘッドで競り勝ち、ゴール左でフリーだったセルジュク・イナンが無人のゴールにシュートするも、ポストに当てて同点ならず。しかしその直後のCKで、テリーがCBシェジュのマークを外してしまい、フリーで右足ボレーを叩き込まれます。ついに1-1。モウリーニョ監督は勝ちにいくのか、ゲームを殺してドローで着地させるのか。当然ながら、ロベルト・マンチーニ監督はチームを鼓舞して追加点を狙いにいきます。

同点直後にF.トーレスの突破からのシュートが枠を外れると、モウリーニョ監督はシュールレ、F.トーレスをミケル、エトーにスイッチ。どうやら点を奪うことより、奪われないことを優先したようです。この判断は妥当でしたね。チェルシーは残り20分を過ぎると徐々に出足が悪くなり、ケアレスミスが増えてきました。74分にはエブエが簡単に右サイドを突破。このクロスのクリアを受けたウィリアンが、アレックス・テレスにドリブルをカットされてそのままミドルを打たれますが、ここはGKチェフがファインセーブ!「次に点が入るとすればガラタサライ」という流れが続きます。

しかし、チェルシーは何とか踏ん張りました。やはり、このチームの最終ラインとGKは押し込まれても冷静です。ドログバに代わって入ったウムト・ブルトにまともなシュートを打たせず、スナイデルには最後まで仕事をさせず、このままタイムアップ。前半の試合運びを考えれば、勝ってスタンフォード・ブリッジに帰りたいゲームでしたが、1-1は問題なし。6チームトータルでわずか1得点という苦戦続きのプレミアリーグ勢のなかで、ベスト8にいちばん近いのはモウリーニョのチームです。

あらためて感じたのは、こういった「リアリズムの徹底」をやりきれるところがモウリーニョさんの素晴らしさだということ。同点にされた後、3分だけ状況を見て、無理にでも点を獲りにいきたいムードをきっちり断ち切り、まずは守りとばかりにオスカルではなくミケルを入れたところに彼の強さ、明快さをみました。シュチェスニー退場の場面で、PKを外してショックを受けていたエジルを残し、守備と攻撃のバランスがエジルよりいいカソルラを諦めたヴェンゲル監督は、まずやらない采配でしょう。あくまでもタイプの違いであり、どちらが上というわけではありませんが、モウリーニョさんのメッセージのメリハリとわかりやすさがチェルシーを強くしているのは間違いありません。(ディディエ・ドログバ:写真著作者/rayand ペトル・チェフ:写真著作者/Warrenfish)

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“トルコで1-1ドローならOK!チェルシー、プレミアリーグ勢唯一のゴールで見えてきたベスト8” への1件のコメント

  1. makoto より:

    更新お疲れさまです

    先制して追加点とれずに失点するっていうのは今季のチェルシーの良くないときのパターンですね(^^;

    中盤でのプレスで引っ掛けられずに得意なパターンにそこまでもっていけなかったのが痛かったです
    特にカウンターをしようにも前でおさまってなかったのが後半上手くいかなかった原因ですかね

    トルコは難しい場所ですがもうちょっとできると思ってたので残念ですが2ndに期待です

    —–
    チェルシーさん>
    アザールとウィリアンがらしくなかったですね。やっていることが悪いわけではないので、仕切り直しのスタンフォード・ブリッジでは問題ないでしょう。

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