イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

60分間の恍惚と、ラスト30分の崩壊…勝負は指揮官の差、マンチェスター・ユナイテッド敗退!【後篇】

「60分間の恍惚と、ラスト30分の崩壊…勝負は指揮官の差、マンチェスター・ユナイテッド敗退!【前篇】」から続きます。後半開始からマンチェスター・ユナイテッドが一気に攻め込むものの、2本のCKはバイエルンの守備陣が落ち着いてクリア。すぐにバイエルンも逆襲に転じますが、こちらのCKも不発です。50分、後ろからのロングボールが前線に抜け、香川真司がヘッドで前に送ってルーニーを一瞬フリーにしますが、10番はこれを打ちきれず。前半に比べると、両者とも長いボールが多くなり、DFとFWが対峙してボールを奪い合うシーンが目立ってきています。マンチェスター・ユナイテッドも、攻めるシーンが増えてきました。54分、香川真司のミドルはGKノイアーがキャッチ。直後、バレンシアが右からドリブルで突破。クロスは合わずに逆サイドに流れ…。

このボールを走り込んできたエヴラが左足ダイレクトで強烈な一発!シュートはバーを叩いてゴール右隅に突き刺さり、58分、マンチェスター・ユナイテッドが先制です。このままいけば、ベスト4はプレミアリーグの昨季王者。さあ、どうする、バイエルン。しかし、彼らはさすがに世界王者でした。マンチェスター・ユナイテッドのリードはわずか30秒。59分、キックオフからの縦パスを左サイドでゲッツェがキープ。すぐ外にいたリベリーに落とすと、リベリーのクロスはマンジュキッチの頭にピタリと合い、シュートはデ・ヘアの左手の外!バイエルン・ミュンヘンが同点に追いつき、ゲームはここから攻め合いになります。

61分、右サイドでのパス交換からウェルベックがゴールラインまで侵入。中央でフリーになっていたルーニーにラストパスが通るも、ルーニーがまさかのキックミス!貴重な同点機を逃したマンチェスター・ユナイテッド。65分、ベップ・グアルディオラが勝負に出ます。前線でポイントになっていたゲッツェを外し、右SBにラフィーニャを投入。ラームがセンターMFに上がると、守備の負担から解放されたトップ下のトマス・ミュラーが自由になります。交代の成果は、わずか3分後にゴールという形で現れました。左からのリベリーのクロスが流れたところを右でロッベンが拾い、右足のグラウンダーが初めて最前線に張ったトマス・ミュラーの足元へ…これをヴィディッチがクリアできず、バイエルン・ミュンヘンが勝ち越しです。

2-1、このままだと敗退。しかし、1点を奪いさえすればトータル同点、アウェイゴールの差で勝ち抜けに持ち込めるマンチェスター・ユナイテッドには、チャンスはまだ充分残されています。70分過ぎには、右サイドを香川真司が突破し、ウェルベックにグラウンダーのアーリークロスを通そうとしますが、これはボアテングがぎりぎりでカット。直後、白熱のゲームは、いきなりラストシーンを迎えます。ロッベンが右から持ち込み、エヴラをかわして左に回り込むと、必死に足を出すヴィディッチのつま先にかすかに当たる左足のミドルシュート!これがここしかないというコースを見事になぞって、ついに3-1。1分前に、フレッチャーをチチャリートに代えていたモイーズ監督の策が仇となり、ゴール前が手薄になっていました。いよいよ、マンチェスター・ユナイテッドのチャレンジが終わろうとしています。残り時間は10分を切り、モイーズ監督はウェルベックを諦め、ヤヌザイ投入

85分、バレンシアが右サイドから出したボールをルーニーがシュートしますが、弱いインサイドはDFが簡単にクリア。やはり、ルーニーのつま先はダメだったんですね。痛みがあるのか、まったく強いシュートが打てないエースを、モイーズ監督はなぜ最後まで引っ張ったのでしょうか。勝負を賭けたチチャリートは機能せず、決定機を創れないまま、マンチェスター・ユナイテッドのチャンピオンズリーグはそのまま幕を閉じました。

先制点まではマンチェスター・ユナイテッドの作戦勝ちでしたが、同点になってからの采配が勝負の分かれ目となりました。ラームを中盤に入れることで、トマス・ミュラーをより前に出られるようにしたグアルディオラ監督の采配が勝ち越しゴールを呼んだ一方で、モイーズ監督はカードの切り方を完全に間違えました。残り時間15分でカードは3枚切れたのに、なぜチチャリートを先に入れたのでしょうか。これによって、何とか耐えていた中盤が薄くなって決定的な3点めを奪われ、前線のカードがなくなってしまったために交代枠を1枚余らせてゲームを終えてしまいました。2-1のままでがんばれていれば、最後に何があったかわかりません。交代の順番とメンバーは、「ルーニー⇒ヤヌザイ、フレッチャー⇒ギグス、最後の最後でP.ジョーンズ⇒チチャリート」などがよかったのではないかと思います。

チャンピオンズリーグ準々決勝のプレミアリーグ勢は、終盤の戦い方で明暗がわかれましたね。昨日のチェルシーも、今夜のマンチェスター・ユナイテッドも、残り20分で1点獲らなければ敗退というシチュエーションは同じでした。試合前にさまざまなケースを想定して入念に準備し、状況をみて徐々にカードを切っていったモウリーニョ監督は最後に勝利。焦っていきなり最終兵器のボタンを押してしまい、直後にダメ押し点を入れられたモイーズ監督は、15分を残して敗退確定。いいサッカーをしていたのはバイエルン・ミュンヘンで、圧倒的に力の差があったのは確かですが、勝負はクオリティだけでは決まりません。最後まで、どちらが勝つかわからない状況に持ち込めたはずの試合を、采配で壊してしまったマンチェスター・ユナイテッド。悔しい、あまりにも悔しい敗戦でした。

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


コメントを残す