イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

魔の3分、老獪だったイグアイン…トッテナムは無念のホーム逆転負けでCL敗退!

2018年3月7日、ウェンブリー。プレミアリーグ4位のトッテナムが、昨季イタリア王者のユヴェントスとの決戦を迎えています。チャンピオンズリーグラウンド16セカンドレグ。ポチェッティーノ監督の11人は現在のベストメンバーです。GKロリス、最終ラインにトリッピアー、ダヴィンソン・サンチェス、フェルトンゲン、ベン・デイヴィスが並び、中盤センターはデンべレとエリック・ダイアーの2枚です。ソン・フンミン、エリクセン、デル・アリの前にプレミアリーグ得点王争いのトップを走るハリー・ケイン。開始早々から徹底して左サイドを攻めるスパーズは、3分にボックス左から仕掛けたソン・フンミンが左足で強烈なシュート。ブッフォンのセーブに阻まれますが、攻撃陣の動きは悪くありません。

公式戦17試合、プレミアリーグ11試合無敗のホームチームがサイドで優位を築こうとすると、ユーヴェは中盤の選手が寄せて応戦。13分に巧みにキエリーニをかわしたハリー・ケインは打ち切れず。15分にも右にまわったデル・アリのスルーパスで10番がボックスに侵入。キエリーニとブッフォンを次々と抜き去って無人のゴールに流し込もうとしたキックは、腰がまわらずポストの脇に外れてしまいます。19分のスパーズの波状攻撃は、迫力がありました。ポストプレーからエリクセンが鋭いシュートを放ち、ブッフォンがストップすると、トリッピアーがファーに上げたボールをフリーのソン・フンミンがヘディングシュート。ブッフォンがパンチしたボールを制したエリクセンのシュートはDFの壁に跳ね返され、枠に飛ばすことができません。

エリック・ダイアーが左足で打ったミドルシュートはブッフォンがキャッチ。ドリブルで縦に仕掛けたソン・フンミンは、ボックス左で2人がかりのチェックを受け、シュートコースを切られました。ディバラとイグアインのカウンターは、ダヴィンソン・サンチェスとフェルトンゲンが的確にチェック。30分を過ぎても主導権を握るのはホームチームです。32分、トリッピアーが前線に浮かしたロングフィードをベナティアがクリアすると、ダイレクトで叩いたデル・アリのボレーはコースが正直すぎました。38分にも縦パス1本でソン・フンミンがボックスに侵入し、左足を振り抜くもポストの右にアウト。スパーズが先制したのはこの直後でした。

ハリー・ケインのパスを前線で受けたエリクセンが、脇から上がったデル・アリに短い縦パス。バルザーリのクリアを拾ったトリッピアーは、逆サイドをよく見ていました。クロスを受けたソン・フンミンのボレーは当たり損ねでしたが、タイミングを外されたブッフォンは触れません。歓喜のウェンブリー。2点が必要となったユーヴェはすかさず反撃に出ます。ドゥグラス・コスタのグラウンダーをアレックス・サンドロが後ろに落とすと、ピアニッチが左隅を狙ってシュート。ロリスはコースを読んでおり、左に逸れていくボールを冷静に見送ります。前半は1-0。スパーズにとっては最高の45分でした。

後半も開始直後からスパーズペース。ユーヴェは楔のパスをことごとく奪われ、左サイドはソン・フンミンが制圧しています。50分に敵陣でチェイスしたフェルトンゲンがインターセプトに成功し、デル・アリが遠目から狙うと惜しくも左に外れます。58分にエリクセンのサイドチェンジを受けたソン・フンミンが、ボックスに入って右隅を狙った一撃はうまくミートせず。60分、アッレグリ監督はマチュイディに代えてアサモア。さらにベナティアをリヒトシュタイナーにスイッチし、サイドからのアタックを強化します。62分、アレックス・サンドロのアーリークロスをダヴィンソン・サンチェスがカットすると、リバウンドを叩いたディバラのシュートは大きく左にアウト。アッレグリ監督の采配は、2分後に実を結びました。

64分、リヒトシュタイナーが入れたクロスをケディラが頭でコースを変え、落下点にいたイグアインが文句なしのボレー。追いつかれたスパーズは動揺し、3分後にイグアインのスルーパスからディバラに裏を取られてしまいました。ロリスのポジションを確認したストライカーは、完璧な左足シュートで逆転ゴールをゲット。これまでの60分が嘘のような、完全なるユーヴェのペースです。それでもスパーズは、追いつけば延長戦に持ち込めます。エリック・ダイアーがラメラに代わったのを合図に、75分からホームチームの猛攻がスタート。左から仕掛けるソン・フンミンは相変わらずの切れ味ですが、クロスはことごとくユーヴェの3バックがカットします。残り10分。聖地ウェンブリーでプレミアリーグ4位のチームが底力を問われています。

83分のソン・フンミンのミドルは左のポストぎりぎりを抜け、絶好調の7番は天を仰ぎます。イグアインがストゥラーロに代わると、ポチェッティーノ監督はデル・アリをジョレンテ。エリクセンやジョレンテのシュートはユーヴェ守備陣の壁につかまり、スパーズはいよいよ放り込みに希望を託します。最後の決定機は90分。ベン・デイヴィスのクロスが上がった瞬間、ハリー・ケインは戻りオフサイドに見えましたが、笛がなる気配はありません。プレミアリーグ得点王がジャストミートしたヘディングは叩きつけようという意識が強すぎ、大きく跳ねて左のポストにヒット。詰めていたラメラは触れず、トッテナムのチャレンジは終わりました。

2点獲られてはいけない試合で、2点獲られた。劣勢の際の策を持っていたアッレグリに対して、ポチェッティーノが握りしめた拳には何も入っていなかった。そんな一戦だったのではないでしょうか。最後に繰り返した放り込みは、相手の弱点を突く作戦ではなく、ただ神に祈るようなせつないアタックでした。足りなかったのは戦術の幅か、サブの選手層か、あるいは経験値か。アルデルヴァイレルトなら、緊張感溢れるこの90分をどう過ごしたのでしょうか。試合前に、「ラツィオよりもトッテナムのほうが守備は脆い」といい放った策士アッレグリと老獪なイグアインに拍手を送るしかありません。レアル・マドリードを倒した若き指揮官のチームは、今回の素晴らしい経験を活かして来季のこの場に戻ってきていただければと思います。悔しい結果ですが、最後まで戦い抜いたスパーズにもナイスファイトと声をかけたい気分ではあります。

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“魔の3分、老獪だったイグアイン…トッテナムは無念のホーム逆転負けでCL敗退!” への10件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    老獪なアッレグリとユーベの選手に拍手を送りたいと思います。流石イタリア王者ですね。
    スパーズも前半をみる限りでは勝ち抜けるかなと思いましたが、イグアインの一発が効きました、、、。ケインのシュートも入っていればと思いましたが、、、。これも経験の差なのでしょうかね。もう少しスパーズのフットボールをチャンピオンで観たかったです。

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    不道徳VS経験で経験が勝ったって感じかな。
    正義が勝ったという結果でスポーツとしては良かったと思います。
    ここではスルーされてるけど前半のコスタへのプレーは明らかなPKだし、最後のケインのヘッドも完全にオフサイド。いつも通りのやり方で判定に力借りたけど、流石に経験には勝てなかったな。

    プレミアで甘やかされ過ぎたからCLでは勝てないよ。
    唯一評価できるのは負けた状態で終盤になるといつも出てくる暴力的なプレーが無かった事ですね。

  3. プレミアリーグ大好き! より:

    ディバラの逆転シーンですが、トリッピアーが

  4. ホタ より:

    ディバラの逆転シーンですが、ディバラに対するトリッピアーのチェックが響いたように思います。

    —–
    >プレミアリーグ大好きさん
    妄想だらけの与太話はここではなくツイッターか下賎なネット掲示板でお好きにどうぞ╰(*´︶`*)╯
    最近、このコメント欄もこのような人が増えましたね

    ユーベが巧かったですね
    トビーのたらればは置いといて、やはり2季連続のファイナリストはCLでの勝ち方を知っていましたね。
    しかしスパーズも胸を張っていい大会だったと思います。経験値を付けるには出続けるしかないので、是非ともリーグ戦に集中しトップ4死守をお願いします。

  5. スパーズファン より:

    イエロカードが出た枚数も数えられないような人にわざわざかまう気もしませんが、どこかのチームのファンはデレアリに罵声を浴びせてスタジアムを出禁になったそうですしこういうブログでも出禁になりますよ(笑)
    60分までディバラを試合から消して、スパーズがボールを支配していつものホームゲームのように点を取り勇猛果敢に攻めていました。
    恐ろしいのはそのゲームプランを崩すアッレグリの手腕ですね・・・
    それでも最後まで諦めず攻め続けた姿勢は今まで進んできた道の正しさを確信させてくれましたし、それ故に負けたときに悔しさがありました。
    経験なのかポチェの幅なのかまだわからないですが、これを糧に来年もCLに出てもっと上を目指してほしいですね。
    グループステージでは前回の優勝チームに勝ち、準優勝チームに紙一重の試合をしたスパーズの選手、監督、スタッフには感謝とお疲れ様と言いたいです。

  6. プレミアリーグ大好き! より:

    素晴らしい試合でした。
    マドリー、ドルトムント、ユーベという強豪と戦い、渡り合った経験は若い選手達と監督にとってとても大きいと思います。
    この後はFAカップを取り、リーグ戦で高順位を目指して良い形で新スタジアムにてCLを戦って欲しいです。それにしてもブッフォンとキエッリーニは熱かった……対戦相手ではありますが、良い選手です。

  7. おはむ より:

    プレミア4位のチームがあのユベントスと互角で2戦とも戦えていた事実に驚きました。
    プレミアリーグのレベルが欧州レベルで高い位置に上がった証拠ともいえます。
    来期のCLも何チームがベスト16に残るか非常に楽しみです。

  8. makoto より:

    Mackiさん>
    同点ゴールから一気に流れをもっていかれてしまいましたね。ベスト8進出を信じていたので、気を取り直すのに時間がかかりました。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    ディバラに完全にやられましたね…。

    ホタさん>
    真っ正面からぶつかり、互角に戦ったナイスゲームでした。ハリー・ケインが2つのチャンスを決められなかったのが痛かったですね。

    スパーズファンさん>
    一流選手ばかりを並べたわけではない布陣で、この強さは称賛したいです。ベン・デイヴィスとソン・フンミンが左からクロスを上げる素振りを見せるたびに拳を握りしめました。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    FAカップ制覇&プレミアリーグ2位で終われれば、いいシーズンだったと胸を張れますね。前半は振り回されていたのもの、終盤のユーヴェの最終ラインはさすがだなと思いました。

    おはむさん>
    そうですね。復活気配だと思います。3チームはベスト8に進んでほしいのですが…。

    みなさま>
    スパーズはプロフェッショナルなファールがなく、フェアで素晴らしいチームだったと思います。変な予断やこだわりをはさまず、選手やチームのよさを語り合うのが、多くの人たちでスポーツを楽しむということだと思っており、そういう場にしていければと考えております。

    また、この場を借りて、コメントをお返しできていない回があることをお詫びいたします。少し仕事をよくばりすぎているのかもしれません。…もとい、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

    プレミアリーグ大好き!さん>

  9. プレミアリーグ大好き! より:

    アッレグリの采配の勝利でしたね。リヒトシュタイナーとアサモアが出てくるまでは、スパーズの勝ち抜けだろうと思っていました。ユベントスはサイドをプレスで封じられてエリクセン、ソン、アリに中盤を良いように使われてました。
    新BBCもスパーズの攻撃陣には苦労していたように感じます。
    しかし、中央での攻防を捨て、サイドを使いプレスを回避するアッレグリの采配はCL史に残る名采配でしょう。下手をすれば中央を切り裂いてスパーズが圧倒していたはずです。しかし、ピヤニッチとケディラが運動量を上げて中盤を見張り、リヒトシュタイナーの推進力でトリッピアーを翻弄し流れを一気に持って行ったのは、さすが戦術の国と思わされました。得点シーンも前半ではあり得ないほどスパーズのディフェンスはワイドに広げられ、選手間の距離が開いていました。
    欲を言えばリヒトが投入された時に守備に頑張れるラメラを投入していれば、違った結果も期待できたのではないでしょうか。ポチェッティーノの好調な攻撃陣を無闇に弄りたく無い気持ちもわかりますけど、中央を捨てたアッレグリと比べると監督の決断力の差が出たのかな?と思います。

  10. SL19 より:

    厳しいグループステージをトップ通過したもの、決勝ラウンドではいきなりユーヴェは簡単ではないですよね。国内リーグもCL出場権内に残る大変な状況ですから、そういう事もふまえて厳しい戦いだったと思います。
    出来ればプレミアのチームは残って欲しかったですし、もっとスパーズのサッカーを欧州に世界に見て欲しかったですね。
    私はCITYサポですが、ラウンド16に上がったPLの全チームが上のステージに上がって欲しいと思ってました。
    ハリーケインのヘッド入って欲しかったなぁ。。。
    うちの試合見るよりこっちの方が断然面白い試合でしたw

コメントを残す