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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ポグバとベン・イェデル…采配の明暗が分かれた一戦。マン・ユナイテッドはホームでCL敗退。

負傷明けのポール・ポグバはベンチスタート。モウリーニョ監督は、リヴァプールに完勝したプレミアリーグ30節のメンバーをベースに難敵セヴィージャと戦います。オールド・トラフォードで開催されるチャンピオンズリーグラウンド16のセカンドレグ。さっそくホームチームの11人を見てみましょう。GKデ・ヘア、DFバレンシア、バイリー、スモーリング、アシュリー・ヤング。マティッチとフェライニがセンターに入り、リンガード、アレクシス・サンチェス、ラシュフォードが2列め。最前線はもちろんロメウ・ルカクです。7番の元気のなさが気になるものの、最近のプレイぶりとコンディションを考えれば納得のスタメン。落ち着いてゲームに入ったマンチェスター・ユナイテッドは、ラシュフォードが右、アレクシスが左に入っています。2分、左に流れて粘ったルカクがリンガードに預けてリターンをもらうと、右足のコントロールショットはクロスバーを越えていきます。

9分のセヴィージャのCKは、ニアに入ったコレアのヘディングがクロスバーの上。12分にバレンシアのクリアが相手に当たると、こぼれ球を叩いたフランコ・バスケスのボレーはバイリーがブロックします。14分にはバイリーのミスパスをコレアにインターセプトされ、左にいたムリエルにシュートを打たれますが、ミスキックとなって助かりました。16分にはムリエルのポストプレーからフランコ・バスケスがミドルを放ちますが、これも高く浮いてしまいます。ゲームを支配しているのはアウェイのセヴィージャ。マンチェスター・ユナイテッドはルカクに縦のボールが入らず、バイタルエリアを埋め切れていないのも気になります。

とにかくまずはルカク。マンチェスター・ユナイテッドのアタックは単調で、ハイクロスとセットピース以外に勝機を見出せません。27分に敵陣でフェライニがボールを失い、ワンツーで簡単に中盤を割られたカウンターは、左のムリエルがクロスに打った一撃が外に切れていきます。赤いチームは早いタイミングでボックス内のフェライニをターゲットに使いますが、落とした後がつながりません。37分にボックスの角でサラビアをかわしたアレクシス・サンチェスには打ってほしかった…。1分後、敵陣で奪ったフェライニが7番とのワンツーで左から抜け出しました。リコの5メートル前から放ったシュートは、コースを塞いだGKの勝利。プレミアリーグでも前半は眠っていることが多いチームが、ようやくエンジンがかかってきたようです。エンゾンジがロングシュートを打ち上げると、間もなく前半が終了。先にゴールを奪ったほうが、8強に大きく近づきます。

後半開始から押していたマンチェスター・ユナイテッドですが、47分のカウンターはヒヤリとさせられました。スモーリングとバイリーが左サイドに引っ張られたため、中央のコレアが完全にフリー。トラップに時間がかからなければ1点でしたが、戻ったバレンシアが間に合い、ぎりぎりで掻き出しました。50分、右に流れたルカクが低いクロスを入れると、右にターンしてラングレーをかわしたリンガードがクロスにシュート。この角度ならここしかないというコースでしたが、リコが冷静にセーブしてホームチームのチャンスは潰えます。おとなしかったオールド・トラフォードのボルテージは、確実に一段上がっています。

右から仕掛けたラシュフォードが脇にいたアレクシスに流すと、ノーステップのシュートはエンゾンジがブロック。速攻からサラビアがボックス右を崩して入れた高速クロスは、ムリエルが打ち切れません。モウリーニョ監督は、60分にフェライニを下げてポグバを投入。62分に後ろから来たボールをボレーで叩いたルカクの一撃は、ラングレーがコースに入ってCKに逃れました。67分のラシュフォードのFKは、曲げきれずにゴール右上に消えていきます。

72分、右から巻いたポグバの左足のロングシュートはポストの左。モンテッラ監督は、ムリエルを下げてベン・イェデルで勝負です。1分後、指揮官の采配がズバリ的中しました。中央で空いていたサラビアに速い縦パスが通ると、17番はすかさず最前線のベン・イェデルにつなぎます。バーリーをかわしたアタッカーのシュートは、デ・ヘアのグローブと左ポストのわずかな隙間を通り抜けました。0-1となった77分、モウリーニョ監督はマタとマルシアルを投入しますが、直後にセヴィージャに2点めを決められてしまいました。左からのバネガのCK。ニアで完全にフリーだったコレアが頭でファーに流すと、ヘディングシュートを放ったのはまたもベン・イェデル。プレミアリーグで頻繁に見るデ・ヘア無双作動中なら弾き出せていたかもしれませんが、今日の守護神は普通のワールドクラスでした。右手で弾いたボールがラインを越え、勝利を確信したアウェイサポーターが歓喜に湧いています。

81分、左からのコレアのシュートをデ・ヘアが弾くと、ファーでフォローしたベン・イェデルのシュートはスモーリングがブロック。1分後、右から上げたアレクシス・サンチェスのアーリークロスに飛び込んだルカクは、ニアからの決定的なボレーをふかしてしまいます。84分、ラシュフォードのCKをルカクがプッシュして1-2。右からのクロスに合わせたラシュフォードのヘッドは左に流れます。フランコ・バスケスがピサーロに代わったのが残り3分。コレアがガイスに後を譲ったのは1分。91分にベン・イェデルがラインの裏に抜けて独走しますが、デ・ヘアは1歩も動かず足でシュートをブロックしました。もう、時間はありません。マンチェスター・ユナイテッドは苦手としているスペインのクラブにホームで敗れ、欧州の舞台から消えました。

指揮官の采配の差、負けるべくして負けたゲーム。フェライニ先発、前半のラシュフォードの右サイド、フィジカルもメンタルもできておらず今日は出すべきではなかったポグバ起用と、不可解な采配が命取りとなりました。先制点が重要となるアウェイ0-0の後の試合は、マクトミネイをマティッチと並べるかインサイドで使い、バイタルエリアをしっかりカバーさせるべきだったと思います。前半のセヴィージャのミドルシュート連発を見たモウリーニョ監督は、後半早々に対応してくるのではないかと思ったのですが、マティッチに負担がかかる布陣を選んでしまいました。1点めは、チェックにいったマティッチが取れなかった直後、サラビアのケアもパスコースカットもせずに中途半端なポジションにいたポグバが失点の原因となってしまいました。

マタとマルシアル投入後のCKで、ニアのコレアに誰もいかなかったのも、守備に長けていたはずのチームにはありえない対応でした。デ・ヘアが弾いてくれればと試合中には思いましたが、ドラえもんがいるのが当たり前になっていたサポーターの甘えです。2つもヘディングを許したあのゴールシーンは既に負けており、穴を的確に突いたCKキッカーのバネガの判断をほめなければなりません。バイタルエリアで自由にプレイするセヴィージャのアタッカーを見続けた90分。個人技頼みの単調な攻撃に時折苛立ちながらも、大崩れしないモウリーニョのチームのノックアウトラウンドにおける強さを信じていたのですが、采配がことごとく外れるという最も悔しい負け方で大会を去ることになりました。

プレミアリーグのリヴァプール戦の直後だったという言い訳はさすがに苦しいでしょう。チャンピオンズリーグの上位進出は時期尚早。チームで崩す攻撃を身につけ、戦い方のバリエーションを増やさなければ決勝トーナメントは家賃が高いと諭されたのだと思うことにします。0-2とされた後、何度最終ラインを崩されても、ルカクが決める、ラシュフォードがやってくれる、絶対勝つと信じていました。最後まで戦った前線の2人には拍手を送りたいと思います。実力的には勝てる相手だっただけに、とにかく悔しいです。

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“ポグバとベン・イェデル…采配の明暗が分かれた一戦。マン・ユナイテッドはホームでCL敗退。” への12件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    CLの決勝トーナメントとは思えないくらいオールドトラフォードは静かでしたね。
    テレビで見てる我々は良いですが高い金払ってスタジアムに足を運んでるサポーターはこんな試合見せられて心底気の毒に思いました。ルカクが追撃弾決めてホームサポーターが湧いたのは3分間だけでしたね。
    モウリーニョのタチが悪いのはチェルシー時代からそうですが、こんなつまらない試合しか出来ないのに味方サポーターを静か過ぎると批判する所ですね。攻撃もルカクとラッシュフォードの個人技頼みだし、サンチェスも本当にやりにくそうです。

    なんでサンチェスはシティに来ずこんなチームに行ってしまったのか?一時期エジルもユナイテッドの噂がありましたがマタもムヒタリアンも活かせないモウリーニョがエジルを使いこなせるとは思えません。本当に残留して良かったと思います。今の所アーセナルでフィットしつつありイキイキしてるムヒタリアンとサンチェスで明暗が分かれてますね。

    セビージャは完全にプラン通りだったかな。
    先制さえすればユナイテッドが2点取るのは厳しそうなのは誰が見ても分かることだし、レッズにも負けてないから案外プレミアのクラブには相性がいいかもしれないですね。

  2. makoto より:

    悔しいなか、時にポジティブに時にフラットに、精一杯書かせていただいておりますので、あまり無邪気にいじめないでください。サポーターの方が悔しさのあまり言葉が荒くなるのは理解するのですが、そうでない方がわざわざ強い言葉を使うと、ただただネガティブな場になってしまいます。毎日書き続けるという自分に課したミッションは、こう見えても結構大変でして、少しばかりお気遣いいただけると助かります。書いている内容以上に落胆してます。

  3. スペシャルにゃん より:

    初のコメント失礼します。
    主さま同様非常に悔しい試合でした。

  4. スペシャルにゃん より:

    前半から凄く嫌な感じがしましたね
    疲れてるというかハキがないと言うか…

    得点の匂いすら感じず
    非常にストレスを感じただけで。

    今日はさすがに仕事する気になりまへん。

    いつも楽しく拝見させているのに
    ネガティブワードで失礼しました。

  5. ペップの街 より:

    オーナーさんの落胆がひしひしと伝わってきます。モウさん自身選手起用の批判にナーヴァスになって、出番の少ないラシュフォードの件でインタビュアーに喧嘩腰になってたのを見ました。でも、彼はELを取ってCL参入も果たしたし、リーグでは2位まで押し上げるなど良くやってると思います。

  6. プレミアリーグ大好き! より:

    2年目モウリーニョ最強神話もここまでですね。
    それどころかこれまでの3年目に表出していた悪い部分がすでに今季に見えている気がします。

  7. プレミアリーグ大好き! より:

    チェルシーとリバプールをホームで破っているのは忘れるべきではないのでCLで負けたからといってモウリーニョが全て悪いと言うつもりはありません。
    しかし、今日の采配は納得がいかなかった。
    なんでマクトミネイではなく夏に移籍がほぼ決まっているフェライニが先発だったのか。
    ラッシュフォードやマルシャルの右サイドはうまくいかないと何度失敗すれば気がつくのか。

    —–
    結果だけでなく内容も良くなかったですね
    どうしてもユナイテッドとシティ、モウリーニョとペップとなると比較されてしまいます
    シティが今季結果も内容もいいとなると批判する人が多いのもわかります

  8. プレミアリーグ大好き! より:

    サンチェス獲得の理由はなんなんでしょうか?
    マルシャル、ラッシュ共に左サイドでならそこそこやれてたが、右になると輝かなくなっていたので右サイドの補強かと思ってました。左としては今の状態ではラッシュやマルシャルにも劣るのではないかと思います。サンチェスのプレスも連動が皆無で意味ないですし。こんな使い方ではただシティに渡さない為に獲得したのではと思ってしまいます。

    今回の敗戦ではモウリーニョの立てたプランが間違っていたのかなと思いました。CLで大事なアウェイゴールを狙わずドローで済ましたことが大きなミスだったでしょう。一点取られた後の落ち込みようが凄かった。

  9. アイク より:

    毎日makotoさんの更新を楽しみにするようになって何年経ったか分かりませんが、初めて目にする深い落胆コメントに胸が痛みます。
    今年は高身長でキャラ立ちのする選手が揃い期待感が高かっただけに、CL敗退は残念です。ただ、ファギー以降では最も高いところまで来ているのではないでしょうか。
    オフにはペップ対策に執念を燃やして補強してくれる筈です。
    実質的には既に世界最高のGKに、来年こそは名実の「名」も手にしてもらいたいと心から願っています。

  10. 不知火 より:

    みんなが言うほどサンチェスが悪かったとは思えません。
    前線で緩急をつけられたのはこの試合で彼くらいじゃないでしょうか。
    それにマルシャルにしろラッシュフォードにしろ視野が狭くて判断が遅いのは事実です。
    ポテンシャルに疑いようはないですけど、現状左に誰を使うかと言ったらサンチェスしかないんじゃないかなぁ。
    しかし、CL敗退残念です。
    もうプレミアの首位争いが決着をしてる以上、これが唯一の楽しみだったんですが笑
    とりあえず今シーズンはシティに勝って2位で終わってるのが最低ラインのタスクですねー。

  11. sini より:

    攻撃的に行きたい布陣だったけれども、そうできなかったという感じがします。
    フェライニに落とさせてからの展開を考えていたのでしょうけど。

    相手の対策が一枚上手だったのでしょうね。

    この敗戦でモウリーニョ叩きが強まっていて、一部メディアは解任まで言い出していますが、まあいきなりそこまではとりあえずないでしょうが、ちょっと気になる負け方でした。
    リーグ開幕時には凄まじいチームに見えたものでしたが……

    ルカク、ポグバ、マティッチ、バイリー、デヘアと核になる選手は揃っていて、今季はリンガードの奮起やマクトミネイの台頭などポジティブな面もたくさんありました。
    種はあるので、来季に繋がるといいですね。
    シティ一強が続いてしまうのも面白くないですし、リヴァプールとユナイテッドには期待しています。
    (スパーズは、もちろん優勝を狙うと言うでしょうしファンとしても応援しますが、スタジアム建設と二足の草鞋に馴れるための過渡期的な現状を思うと、今季くらいの状況が身の丈いっぱいだと思いますので)

  12. のこ より:

    皆様に比べればファン歴は浅い身ではありますが、落胆の気持ちはとても共感いたします。
    色々と言われはしますが、リヴァプール戦後のラッシュフォードとリンガードの楽しそうな談笑や、監督インタビュー中に乱入するポグバなど、今のチームは明るい雰囲気で心から応援したくなるチームです。監督は若手も積極的に使っていますし、ここからは2位を死守しつつ来季の飛躍の下積みを楽しみに観ていきたいです。

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