イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

激闘CLプレミアリーグ対決総括~リヴァプールの勝因とマンチェスター・シティの勝算。

「リヴァプールは見事なパフォーマンスを披露した。素晴らしいスタートだった。カウンターでシティを苦しめられる選手がいる」(ロイ・キーン)
「アグレッシブなプレッシングで優位を築き、奪ってからのカウンターが素晴らしかった。後半はボックスを固め、よく守った。相手のアイデアを殺していたね」(スティーヴン・ジェラード)

レッズのレジェンドはともかく、プレミアリーグにおける積年のライバルのOBが珍しくレッズをほめちぎったのはびっくりしました。チャンピオンズリーグでマンチェスター・シティを3-0で下したチームが、それだけよかったということでしょう。プレミアリーグ最強クラブはオンターゲットゼロと沈黙。キックオフ直後に3本のパス交換を重ねたガブリエウ・ジェズスが、その後の40分以上の時間で同じ3本しかパスを成功させられなかったという事実が、前半のレッズがいかに素晴らしかったかを物語っています。

1-0や3-1よりいいのは確かだが、まだハーフタイム。突破は決まっていない。パーティーというのはは始まってから祝うものだろう」と気を引き締めるクロップ監督に対して、「みなさんに話しかけている男以外に、この部屋にはわれわれが勝つと信じている人間はひとりもいないだろう。6日後に90分という時間があるから、そこにすべてを賭ける」と語ったペップ。リヴァプールの勝因を3つ挙げるとすれば、「裏目に出たペップの守りの采配」「統率されたレッズの守備」「アンフィールドのサポーター」だと思います。

ギュンドアンを右サイドに配し、左SBにラポルテを起用したペップの戦略は、レッズの快足ウインガーたちを止めるという果実を得られず、自らの攻撃力を落としてしまうマイナスばかりが目立ちました。孤軍奮闘だったサネがアーノルドを引きずりまわせただけに、その外からジンチェンコやデルフが走り込む形を創れれば、ガブリエウ・ジェズスがあれほど消えることはなかったでしょう。プレミアリーグに来たばかりのラポルテはサラーのストッパーになったとはいえず、時折上げるクロスも凡庸でした。

中盤の攻防では、ミルナー、ヘンダーソン、チェンバレン、フィルミーノがダヴィド・シルヴァの持ち味を消したのも大きかったと思います。デブライネには危険なパスを入れられるシーンがありましたが、最もゴールに近いガブリエウ・ジェズスへのコースをつぶすことで対応。右にいたギュンドアンが機能せず、サネ頼みとわかっていたために、2~3人でウインガーの中への進路を消して外に追い出し、決定的な形を創らせずに90分を終えました。ファン・ダイクを中心とする最終ラインの上げ下げも問題なし。デヤン・ロブレンが相手のオフサイドを見切っていたシーンが多かったのは、相手をしっかりウォッチしながらラインの高さをコントロールできていたからでしょう。

サラーとフィルミーノが最初のチャンスをきっちり活かしたことで、レッズの選手たちは思い切ってプレッシングをかけられるようになり、それを嫌がったマンチェスター・シティの最終ラインは押し上げられなくなりました。チェンバレンがミドルを決められたのは、最終ラインとセントラルMFの間にスペースができたからです。それぞれのサイクルは明と暗に向かって回り始め、前半も終わりに差しかかる頃にはファン・ダイクまでがバイタルエリアに侵入していました。

明らかにまずかったマン・シティ。3-0という決定的なギャップをアウェイゴールで埋めようとするなら、スターリングとジンチェンコをハーフタイムに入れるという捨て身の策もあったのではないかと思います。1-0ならラポルテの守備力を信じるという選択肢もありましたが、サラーに1ゴール1アシストを許すという明快な失敗の後だけに、4点めを回避しようとしているのかとすら思えるペップの消極的な姿に疑問を感じました。「最初から飛ばさなければいけないのはわかっていたけど、このスタジアムの雰囲気があれば難しいことではなかった」とチェンバレンが語ったアンフィールドの歓声も、勝者をより勇敢に、敗者をナーバスにしたのではないでしょうか。試合前のバス襲撃はいただけませんが、マン・シティのパスまわしをブーイングで止めにいったサポーターたちの一体感は見事でした。

「難しい結果になった。でもチャレンジするよ」といい残したマン・シティの指揮官に、どれだけのチャンスがあるのでしょうか。旧チャンピオンズ・カップでアウェイゴール2倍ルールが適用されてから、欧州最高峰の大会の準々決勝以降で3-0をひっくり返したチームはひとつだけ。1985-86シーズンにスウェーデンのエーテボリ相手に3-0で敗れたバルセロナが、カンプ・ノウでのセカンドレグを同じスコアで終えて、PK戦を5-4で制したという事例のみです。チャンピオンズリーグになってからは確率ゼロ。ペップのチームが奇跡的な勝利に辿り着くために必要なのは、アンフィールドの最初の5分で見せたパスワークを最後まで続けることでしょう。エティハドのサポーターたちは、真っ赤なスタンドと同じように選手たちを鼓舞し続けられるでしょうか。レッズが先にゴールを奪えば、おそらくその瞬間に勝負は決まります。

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“激闘CLプレミアリーグ対決総括~リヴァプールの勝因とマンチェスター・シティの勝算。” への4件のフィードバック

  1. ペップの街 より:

    レッズが2試合続けて完璧なゲームをすることができるか、敵地エディハドで初戦ほどの気迫を90分間保つことができるか。レッズのプレーヤーが少しでもスキを見せたら、そこからシティの逆襲の可能性もあります。開始5分、10分で先制点が欲しいです。一番悔しい思いをしたスターリングとサネに暴れまくって欲しいです。

  2. ペップの街 より:

    レッズが2試合続けて完璧なゲームをすることができるか、敵地エディハドで初戦ほどの気迫を90分間保つことができるか。レッズのプレーヤーが少しでもスキを見せたら、そこからシティの逆襲の可能性もあります。開始5分、10分で先制点が欲しいです。一番悔しい思いをしたスターリングとサネに暴れまくって欲しいです。

  3. wonderwall より:

    なぜペップはこの大一番でシステムを変えてしまったのでしょうか。4-3-3で収めてきた今シーズンの成功を、なぜプレミアリーグで首位にいるのかを忘れてしまったかのようでした。3-4で敗れたリーグでの試合が想像以上のショックで、これまで培ったものを信じられなくなってしまったのでしょうか。
    このままでは悔やんでも悔やみきれないので、エティハドでは力を出し切っていただき、逆転出来なくともプレミア首位の意地を見せてほしいです。

  4. シャーザー より:

    433ではアンカー脇のスペースをサネマラー等の俊足に狙われるという構造上の弱点をどうすることもできなかったのでシステム変更自体は当然だったと思います
    しかしそれが全くはまりませんでした。あれはおそらくウォーカーをあげて左SBのラポルテを下げる変則3バックでしたがそれよりは完全な352のほうがまだましだったと思います
    セカンドレグシティが前のめりになればなるほど失点のリスクは高まりホームで1点でもとられればゲームオーバーになる状況で突破できる可能性は0%でしょう
    CLはもうあきらめてダービーにベストメンバーをだしてライバルを倒して優勝しこの前の敗戦を忘れさせてほしいです

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