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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

激痛のPK失敗、ラスト2分に衝撃の失点…12ヵ月半の旅の終焉。さよなら、ウルヴス。

プレミアリーグで最終節まで6位に踏ん張りながら、チェルシーに敗れて7位に転落し、ヨーロッパリーグ出場権獲得はお預け。アーセナルがFAカップ決勝で敗れれば、欧州へのチケットを手に入れられたのですが、自分たちに勝ったチェルシーはライバルを叩いてくれず、2年連続でEL出場のチャンスは潰えました。現在、ウルヴスは最後のチャレンジを続けています。ヨーロッパリーグ2019‐20シーズン準々決勝、VSセヴィージャ。この試合とマンチェスター・ユナイテッド戦に勝ち、ファイナルを制してトロフィーを手に入れられれば、CL出場権という望外のインセンティブをゲットすることができます。

最前線にはプレミアリーグ17ゴールのラウル・ヒメネスと重戦車アダマ・トラオレ。ルベン・ネヴェス、ジョアン・モウティーニョ、デンドンケルが中央を固め、戦列を離れたホニー・カストロの代役はヴィナグレ。右サイドは不動のドハーティー、最終ラインはボリ、コーディー、サイスといういつもの3人。最後方のルイ・パトリシオはプレミアリーグ屈指の守護神です。両者とも、積極的に攻める立ち上がり。4分のジョアン・モウティーニョのFKは、ラインの裏に走り込んだデンドンケレの足元にピタリと落ちますが、ボレーはうまく当たらず、GKブヌの頭上に外れました。

11分、自陣深くからドリブルを開始したアダマ・トラオレが爆走。2人を抜き去ってボックスに入ったドリブラーをジエゴ・カルロスが倒してしまい、ウルヴスにPKが与えられます。フェイントが甘かったラウル・ヒメネスのキックは、ブヌが読み切ってセーブ!プレミアリーグ7位は、絶好の先制機を逃してしまいました。14分にスソが放った強烈なミドルは、ルイ・パトリシオが左に飛んで弾き出すビッグセーブ。セヴィージャの右サイドにはヘスス・ナバスもおり、懐かしさを覚えるプレミアリーグファンが多いのではないでしょうか。

22分、ヘスス・ナバスのクロスに中央で競り勝ったエン=ネシリのヘッドは、クロスバー越え。ウルヴスのフォーメーションは、完全なる5-3-2です。24分にワンツーで抜け出したスソが、右からファーにクロスを上げると、ドハーティーのスライディングを嫌ったオカンポスは打ち切れず。28分のモウティーニョの強引なミドルは、打った瞬間に上に外れるとわかる弾道でした。前線に楔を入れられないウルヴス。30分までのポゼッションは23%に留まっています。セヴィージャがクロスを上げ続け、ウルヴスの3バックがひたすら跳ね返す展開は、最終盤の攻防を見ているようです。

37分、ボックスの左コーナーでパスを受けたオカンポスのコントロールショットは、ファーポストの外。42分のジョアン・ジョルダンのミドルは、ルイ・パトリシオの正面です。前半は0-0、ポゼッションは24対76、しかしオンターゲットは2対2。ここまでのウルヴスは、ラ・リーガ4位に対して善戦と評価していいでしょう。後半開始から、セヴィージャがラッシュ。5分続いたCKとサイドアタックの繰り返しは、ウルヴス守備陣がシュートを打たせず耐え切りました。

58分にアダマ・トラオレに縦パスが入り、落としを受けたラウル・ヒメネスが久々に前を向いて持ちますが、ドハーティーへのパスは珍しいミスキック。PKを外したストライカーに、いつもの狡猾なプレイが見られません。サイドを執拗に突かれ、クリアをすべて拾われる苦しい展開。62分に2人かわしたエン=ネシリがゴール前に侵入し、左足で引っかけたシュートはルイ・パトリシオがニアに反応して押さえました。残り20分、最初の交代カードを切ったのはヌーノ・エスピーリト・サント監督。モウティーニョに代わって入ったのは、20歳の新鋭ペドロ・ネトです。

76分、バネガのFKはルイ・パトリシオがセーブ。最初のチャンスメイク以降、巧みな囲い込みでドリブルの進路を塞がれたアダマ・トラオレはここで下がり、ジョッタとラウル・ヒメネスの2トップとなります。ロペテギ監督は85分にエン・ネシリとジョアン・ジョルダンを諦め、フランコ・バスケスとデ・ヨングを投入。勝負を決めたのは、プランを変えた14本めのCKでした。88分、スソがバネガに預けた右サイドのショートコーナー。速いクロスがニアに入ると、オカンポスの完璧なヘッドがゴール左に吸い込まれました。

2019年7月25日、予選2回戦は北アイルランドのクルセイダーズに2-0。12ヵ月半に及んだウルヴスの長い旅は、12勝2分3敗という見事な戦績を残して終わりを告げました。レギュラー固定の3バックを軸とした堅守と、9ゴールを決めたラウル・ヒメネスの勝負強さで勝ち進んだチームは、ストライカーがGKブヌとの駆け引きに敗れた瞬間から、敗戦へとまっすぐ突き進んだかのようでした。後半のシュート数は1対11。最初の失敗でアダマ・トラオレに着くのをやめ、ドリブルのコースを消し続けたセヴィージャの試合巧者ぶりが際立った一戦。CKをただ蹴っても、ニアもファーもクリアされると確認した後、ショートコーナーに切り替えたのもさすがでした。

よくやった、ウルヴス!われわれは、ラウル・ヒメネスがこのチームで戦う最後のゲームを見届けたのでしょうか。「レアル・マドリードやバルセロナといったビッグクラブからオファーが来たら、チャンスを逃さない」と明言していたストライカーは、イングランドで戦い続けるチームメイトと別れて、チャンピオンズリーグに挑戦することになるのかもしれません。

だとすれば、グッドルーザーの背中に送る言葉は、リスペクトや感謝を示すだけでは足りません。マンチェスター・シティにシーズンダブルを喰らわせた素晴らしいスカッドを、生涯忘れることはないでしょう。きっと来季は、今とは違う新しいチーム。惜別の思いを込めて、さよなら、ウルヴス。


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