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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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英国はドルトムントを信じていない…「ジェイドン・サンチョ残留は眉唾」といわれる3つの理由!

多くのプレミアリーグファンが、「ジェイドン・サンチョのマンチェスター・ユナイテッド移籍はなくなった」と思ったのではないでしょうか。「選手たちがプレシーズンキャンプに合流する8月10日がデッドラインデー」と公言していたドルトムントのミヒャエル・ツォルクSDが、「サンチョはわれわれのプランの一部だ。彼は来季も一緒にプレイする。これは最終決定だ」と明言。すべての疑問に対する答えを出したと胸を張ったキーマンは、「実は、昨年の夏に彼のサラリーをパフォーマンスに合った額にしている。その際に、2023年まで契約を延長したんだ」と、新たな事実をオープンにしました。

第一報に触れた時は、私も「プレミアリーグでサンチョを見たかったのに…」とつぶやいたひとりでした。所属クラブのスポーツディレクターが、「彼は残留する」「既に契約は延長されている」といえば、通常はジ・エンドです。ところが今回は、イギリスの主要メディアが声を揃えて「交渉はまだ終わっていない」と報じています。いくつかの記事をピックアップして、見出しを並べてみましょう。

Jadon Sancho to stay at Borussia Dortmund, sporting director says ‘decision is final’(ジェイドン・サンチョはドルトムントに残留、SDが最終決定と明言/BBC)」
Manchester United not giving up on transfer despite Borussia Dortmund stance(ドルトムントのスタンスにも関わらず、マンチェスター・ユナイテッドは獲得を諦めていない/スカイスポーツ)」
Borussia Dortmund insist Jadon Sancho will not leave this summer(ドルトムントは、ジェイドン・サンチョはこの夏去らないと主張している/ガーディアン)」

ドイツのクラブが一方的に宣言しただけで、プレミアリーグのほうは諦めていない…勝負はこれからだといわんばかりです。今回に限って、なぜそんなトーンになるのでしょうか。記事を読み比べてみると、3つの理由があることに気づきます。ひとつめは、マンチェスター・ユナイテッドがドルトムントは売る気満々だと気づいていると見做されていること。3回の分割払いで9000万ポンドを支払い、残りをオプションとしたい買い手が、1億800万ポンド(約150億円)の一括払いを主張する売り手の足元を見ているという図式です。

2つめは、マンチェスター・ユナイテッドとジェイドン・サンチョが個人合意に至っていると見ていること。「ガーディアン」は、週給25万ポンド(約3480万円)で話がついているとしており、ワールドクラスのウインガーが自らの希望を公言したら、困るのはドルトムントと喝破しています。3つめは、ミヒャエル・ツォルクSDについてまわるウスマン・デンベレ放出という「前科」です。

2017年の夏に、フランス代表の移籍について問われたとき「具体的な話は何もない」「彼が旅立つ方法はない」と豪語したSDは、3週間後に手のひらを返して総ツッコミを受けています。ウスマン・デンベレが練習無断欠席という強硬手段に出たとはいえ、どんでん返しとなったエピソードのインパクトが強く、「選手が移籍を熱望すれば、結局売っちゃうSD」という評価がなされてしまっているのです。この件について、最も的確に分析しているのは「BBC」のサイモン・ストーン記者ではないでしょうか。彼のコメントを読むと、英国メディアのメジャーな見方がわかりますので、全文を翻訳してみました。


「今、何が起こっているかを見るのは、興味深い。私は、ドルトムントのとある人物に、ブンデスリーガサイドが財政上の理由でサンチョを売ろうとしている気配を感じると打診した。返事はかなり早かった。”彼らは状況を見ているのだろう”。それについては、時が来ればわかるはずだ」

「真実は、そこに到達するためには、現在の交渉によって何かが変更されなければならないということだ。サンチョの契約が2023年までというヘッドラインは、ドルトムントが1億ポンドという移籍金に固執していることを示している。ユナイテッドは非現実的だと確信しているのに。高すぎるのは移籍金だけじゃない。サラリーとエージェントの手数料も問題だ。ユナイテッドは、アフターコロナの世界ではどれもこれもリアルだと思えないだけだ」

「ドルトムントが、第三者を通じて交渉するように要求してきたのも、マンチェスター・ユナイテッドの経営陣が不満に思っている要素だ。ディスカッションを提案されたが、あまりにもスローだった」

「ユナイテッドは、他のターゲットを検討すると脅している。私たちは、彼らにそんなものがあるかどうかを見られるかもしれない。今回のデッドラインは人為的なものだった。実際は10月5日だ。互いに1歩も引かないように見えるけど、誰が最初に動くかを見ているとワクワクするね」


いかがでしょうか。私は既に「ジェイドン・サンチョが来なければ、グリーンウッドの出場機会が増えると前向きに考えよう」と、気持ちをリセットしていました。現在は、公式戦44試合20ゴール20アシストという出色のスタッツを残したウインガーを獲ってほしいという欲望よりも、サイモン・ストーン記者の見立ての答え合わせができるのが楽しみというミステリーの読者のような気分が勝っています。マン・ユナイテッドに代替案はあるのか、ドルトムントが売りたがっているという話はホントなのか…どうなるか、見てみましょう。


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