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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

いつもの彼らではなかった、しかしいつも通り勝った…ペップのマン・シティが悲願のビッグイヤー獲得!

プレミアリーグは、23節のアストン・ヴィラ戦から16試合連続無敗で逆転優勝。FAカップは6試合で19ゴール1失点という無類の強さで制覇。チャンピオンズリーグは未だ無敗のマンチェスター・シティが、トレブルをめざして戦う最後のステージに姿を現しています。

イスタンブールのアタトゥルク・オリンピヤト・スタドゥでキックオフを迎える11人を紹介しましょう。GKエデルソン、DFアカンジ、ルベン・ディアス、ナタン・アケ。ジョン・ストーンズとロドリが中盤センター、2列めにベルナルド・シウヴァ、デブライネ、ギュンドアン、グリーリッシュ、最前線にプレミアリーグ35戦36発の得点王、ハーランドが入る3-2-4-1です。

インテルの前線には、古巣対決となるエディン・ジェコがいます。プレミアリーグ3連覇の王者は、相手の出方を窺うようなスロースタート。5分にボックス右に斬り込んだベルナルド・シウヴァは、ファーを狙ったシュートをポストの脇に外しています。インテルの最初のアタックは10分。チャルハノールのパスを左で受けたディマルコのアーリークロスは、味方に合いませんでした。

ハーフライン付近で、ディマルコがインターセプトしたのは20分。ラウタロ・マルティネスをポストに使ったブロゾヴィッチのシュートは、クロスバーを越えていきます。ビルドアップに余裕がなく、サイドで詰まるマン・シティ。ギュンドアンのフィードをハーランドが左に落とした25分のチャンスは、走り込んだデブライネがスリップしてしまいました。

27分、デブライネがボックス左に速いパスを入れると、バストーニをかわしたハーランドがフリーでシュート。冷静だったオナナは左腕に当て、先制を許しません。太腿の裏を痛めたのか、デブライネが座り込んだのは30分。すぐにピッチに戻ったものの、直後の縦パスは明らかにミスタッチです。

プレーメイカーが右手を挙げ、交代を要求したのは35分。ハーランドの後ろに入ったのはフォーデンです。グリーリッシュはダンフリースのハードなマークに苦しみ、ベルナルド・シウヴァはフォローを得られず戻すシーンが目立っています。追加タイムのアカンジのミドルは、バーの上に消えていきました。

前半のシュートは4対4、オンターゲットは2対1でマン・シティがリード。手応えを感じているのは、ハーランドとウインガーを封じて退屈な展開に持ち込んだインテルのほうでしょう。後半の立ち上がりも、プレミアリーグ王者のポゼッション。50分にオナナのミスパスをボックス右でカットしたベルナルド・シウヴァは、出しどころを見つけられません。

55分、右サイドから仕掛けたのはラウタロ・マルティネス。ニアに流したボールを叩いたチャルハノールの一撃は、ロドリが落ち着いてブロックしました。57分にジェコが下がり、ルカクが前線へ。直後のダンフリーズのクロスは、左に抜ければチャンスでしたが、コース上にいたアカンジがクリアしています。

1分後、ベルナルド・シウヴァのバックパスミスをラウタロ・マルティネスが拾い、ボックス左でエデルソンと1対1。角度が厳しかったストライカーは、GKに当てるしかありませんでした。60分のFKからギュンドアンが中央に浮かすと、ルベン・ディアスのヘッドはバーの上。今日のマン・シティは、レアル・マドリード戦で見せた圧倒的なパスワークと集中力を欠いています

インテルの前線の4人は、相手のビルドアップのパスコースを切れるポジショニングを意識しているようです。一瞬で空気が変わったのは68分、決定機を創ったのはアカンジでした。縦に走った素晴らしいスルーパスを受けたベルナルド・シウヴァがボックス右から折り返すと、アチェルビに当たったボールがロドリの前にこぼれました。

ダイレクトショットが右隅に突き刺さり、マン・シティがついに先制!70分にダンフリースがゴール前に浮かしたボールをアカンジが処理できず、エデルソンの頭上を越そうとしたディマルコのヘッドはクロスバーを直撃しました。リバウンドに反応した2つめのヘッドは、ルカクにヒット。73分にラウタロ・マルティネスのパスを右で受けたルカクのシュートは、GKの正面です。

77分にロドリの縦パスを受けたフォーデンは、見事なターンでひとりかわして一気にゴール前へ。左足で放った決定的なシュートは、ぎりぎりまで動かなかったオナナが左に反応してキャッチしました。今季のマン・シティが逆転負けを喫したのは、1月のマンチェスターダービーのみ。チャンピオンズリーグは、8年連続で先制したチームが勝っています。

88分に右から浮かしたのはブロゾヴィッチ。ファーにいたゴゼンスが頭で折り返すと、ルカクのヘディングはエデルソンが足でブロックしました。追加タイムは5分。放り込みに対応するマン・シティに、プレミアリーグで無敗を続けていた頃の余裕は感じられません。93分、クロスのクリアを直接叩いたバレッラのボレーは、右に切れてしまいました。

気負いが感じられたルカクにGKの立ち位置が見えていれば、違う結末になっていたかもしれません。最後のCKは、オナナがゴール前へ。ニアで合わせたゴゼンスのヘッドは、エデルソンが素晴らしい反応でパンチしました。直後、トレブル達成を告げるタイムアップの笛。ラスト10分を耐え抜いたロドリ、エデルソン、途中出場のカイル・ウォーカーは号泣しています。

シュート数7対14、オンターゲット4対6は、ペップのチームの数字ではありません。ハーランドはタッチ18回、パス成功3本(!)、シュート1本と不完全燃焼。左サイドで奮闘したグリーリッシュは味方にシュートを打たせることができず、ベルナルド・シウヴァの見せ場はオープニングシュートと決勝ゴールにつながったクロスのみでした。

MVPはロドリでしょう。しかし私が最も称えたいのは、ピッチの右側で生じたあらゆる仕事をこなしたジョン・ストーンズです。6回のドリブル突破はすべて成功、ロングフィード3本、デュエル8勝、リカバリー4回。ペップの3-2-4-1のシンボルとなったCB、いや偽SB、あるいはセントラルMFがいなければ、トレブルという極上の喜びは得られなかったのではないでしょうか。

U2の「Beautiful Day」が流れるスタジアムで、喜びを分かち合う選手たち。入団当初はフィットせず苦しんだナタン・アケとグリーリッシュの晴れやかな表情に、心を揺さぶられます。シティズンのみなさん、おめでとうございます!強烈なプレッシャーを克服した今日の終盤も含めて、欧州最強の称号にふさわしいチームだと思います。

2022-23シーズンのすべてのゲームが終わりました。劣勢だった年明けに3-2-4-1を導入し、チームのクオリティを高めたペップの底力を思い知らされたシーズンでした。偽SBは、来季のプレミアリーグのメインストリームになるかもしれません。

あらためまして、今季も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。10年続けてきたなかで、それぞれのクラブに対する理解と愛が深まり、ポジティブな目線とおもしろがる精神があればスポーツの楽しみは自在に広がるものだと実感しています。

次のシーズンも、クラブと選手の魅力を存分に伝えられればと思います。マンチェスター・ユナイテッドサポーターがマンチェスター・シティに盛大に拍手を送るおかしなブログですが、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします


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“いつもの彼らではなかった、しかしいつも通り勝った…ペップのマン・シティが悲願のビッグイヤー獲得!” への1件のコメント

  1. 山本 より:

    ロドリの先制点は思わず叫びが出ました。
    何はともあれマンチェスターシティおめでとう!!!!!!
    日本に来るのが待ち遠しいです。

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