2024.04.11 チャンピオンズリーグ2023-24チャンピオンズリーグ
「4人のCBで守るのはやめてほしい」現地記者がCLをドローで終えたペップとアルテタにオーダー!
アーセナルは、ジェズスとトロサールの投入で同点に持ち込み、好感触を得てミュンヘンへ。マンチェスター・シティは敵地サンティアゴ・ベルナベウで3ゴールをゲットし、ホームで勝てばOK。チャンピオンズリーグの準々決勝を戦うプレミアリーグの2強について、ポジティブに表現するとこんな具合でしょう。
グーナーの多くは前半の2失点を嘆きつつ、ジンチェンコが加わった後半の攻勢と、ジェズスの巧みなドリブル&アシストを称賛するでしょう。「ノイアーに引っかかったサカがPKを得ていれば勝っていた」と、憤然としながら主張する人もいるかもしれません。ポゼッションは59%、シュート数は13対8。勝利で着地していれば、満足という声が圧倒的多数だったはずです。
もう一方のシティズンは、大半が「最初の失点は不運だった」というでしょう。ベルナルド・シウヴァのFKはクレバーで、フォーデンの左足ミドルはパーフェクト。グヴァルディオルのコントロールショットも美しく、セカンドレグのゴールラッシュが期待できるパフォーマンスでした。2023-24シーズンは、未だホームで無敗。2年連続のトレブルは、リアルな目標です。
両チームとも、決して悪くない結果ですが、ペップとアルテタに抗議するジャーナリストがいます。「アスレティック」のマイケル・コックス記者が配信したレポートのタイトルは、「Stop playing four centre-backs(4人のセンターバックで戦うのはやめてくれ)」。具体的には、「キヴィオルとアカンジではなく、ジンチェンコとリコ・ルイスだろう」といっています。
記者が問題にしているのは、サイドに配されたCBが苦戦の元凶となったことではなく、起用した意図です。ジョン・ストーンズやベン・ホワイトが偽SBとして中盤に厚みをもたらすなら、創始者のペップと後継者のアルテタによる先鋭的な戦術と評価できるものの、サネ、ニャブリ、ヴィニシウス・ジュニオールを怖れて慎重な布陣を選んだのなら、後退ではないかというわけです。
その昔、イングランドのフットボールにおいて、4人のCBを並べるのが当たり前だった時代があります。当時は、フィジカルの強さと高さこそがCBの価値といわれていました。足元の技術とパスワークがあるマン・シティとアーセナルのCBたちを、あの頃まで戻ったというのは乱暴でしょう。しかし、守備重視の4CBはコンセプトから逸脱しているといわれれば納得です。
同時開催だった2試合が始まって間もなく、ペップとアルテタの目論見は外れました。アーセナルの2失点はいずれもキヴィオルのサイドで、1点めはガブリエウのミスの後にパスコースを切れず、2点めはサネに抜かれてPKの原因となってしまいました。「ジンチェンコがウイングにやられるリスクを避けるために選ばれたのに…」といわれれば、返す言葉はないでしょう。
対してペップは、アンチェロッティの布陣を見て驚いたといっています。警戒していたヴィニシウスはセンターで、アカンジが対峙したのはロドリゴ。ヴィニシウスの縦のスルーパスで、アカンジが裏を取られたシーンは、本職のSBならロドリゴの動き出しに即座に反応していたのではないでしょうか。
前半のキヴィオルのボールタッチは27、後半に登場したジンチェンコは52。左SBのファイナルサードへのパスは、2から8に増えています。ジンチェンコはチャンスを創れず、ドリブルで2回抜かれており、チームを変えたというほどの効果はありません。それでも、「彼がスタートからいれば、ジョルジーニョのよさを引き出してくれたのではないか」と悔しさが残る戦い方でした。
マン・シティは後方の4人が中央に絞るシーンが多く、敵陣ボックスでのボールタッチは、ヴィラ戦の63回とアーセナル戦の40回を大きく下回る21回でした。マイケル・コックス記者は、8人のCBが揃ったマン・シティVSアーセナルを思い出していたようです。シュート数8対6と、お互いの強みを消し合った試合は、欧州の強豪に負けないための参考書になったのかもしれません。
プレミアリーグでキヴィオルやアカンジの奮闘を見てきたグーナーとシティズンのなかには、レポートの指摘に異論がある人もいるでしょう。私は、孤立しがちなマルティネッリを見て「この試合の適任はティアニー?」と思いましたが、ジョアン・カンセロが脳裏に浮かんだ人もいるかもしれません。最後に、「4CBはやめてくれ」と主張する記者の締めの言葉を紹介しましょう。
「CBが1枚増えれば、セットピースの強度が高まる。しかし、グアルディオラやアルテタが中盤の工夫よりセットピースにおける高さを優先したとすれば、彼らが共有してきた哲学が希薄になっているように思える。(リコ・)ルイスやジンチェンコのようなテクニカルなフルバックは目に優しい。インターナショナルブレイク以降の試合を見る限り、それぞれがより良いプレイをするということでもある」
グーナーの多くは前半の2失点を嘆きつつ、ジンチェンコが加わった後半の攻勢と、ジェズスの巧みなドリブル&アシストを称賛するでしょう。「ノイアーに引っかかったサカがPKを得ていれば勝っていた」と、憤然としながら主張する人もいるかもしれません。ポゼッションは59%、シュート数は13対8。勝利で着地していれば、満足という声が圧倒的多数だったはずです。
もう一方のシティズンは、大半が「最初の失点は不運だった」というでしょう。ベルナルド・シウヴァのFKはクレバーで、フォーデンの左足ミドルはパーフェクト。グヴァルディオルのコントロールショットも美しく、セカンドレグのゴールラッシュが期待できるパフォーマンスでした。2023-24シーズンは、未だホームで無敗。2年連続のトレブルは、リアルな目標です。
両チームとも、決して悪くない結果ですが、ペップとアルテタに抗議するジャーナリストがいます。「アスレティック」のマイケル・コックス記者が配信したレポートのタイトルは、「Stop playing four centre-backs(4人のセンターバックで戦うのはやめてくれ)」。具体的には、「キヴィオルとアカンジではなく、ジンチェンコとリコ・ルイスだろう」といっています。
記者が問題にしているのは、サイドに配されたCBが苦戦の元凶となったことではなく、起用した意図です。ジョン・ストーンズやベン・ホワイトが偽SBとして中盤に厚みをもたらすなら、創始者のペップと後継者のアルテタによる先鋭的な戦術と評価できるものの、サネ、ニャブリ、ヴィニシウス・ジュニオールを怖れて慎重な布陣を選んだのなら、後退ではないかというわけです。
その昔、イングランドのフットボールにおいて、4人のCBを並べるのが当たり前だった時代があります。当時は、フィジカルの強さと高さこそがCBの価値といわれていました。足元の技術とパスワークがあるマン・シティとアーセナルのCBたちを、あの頃まで戻ったというのは乱暴でしょう。しかし、守備重視の4CBはコンセプトから逸脱しているといわれれば納得です。
同時開催だった2試合が始まって間もなく、ペップとアルテタの目論見は外れました。アーセナルの2失点はいずれもキヴィオルのサイドで、1点めはガブリエウのミスの後にパスコースを切れず、2点めはサネに抜かれてPKの原因となってしまいました。「ジンチェンコがウイングにやられるリスクを避けるために選ばれたのに…」といわれれば、返す言葉はないでしょう。
対してペップは、アンチェロッティの布陣を見て驚いたといっています。警戒していたヴィニシウスはセンターで、アカンジが対峙したのはロドリゴ。ヴィニシウスの縦のスルーパスで、アカンジが裏を取られたシーンは、本職のSBならロドリゴの動き出しに即座に反応していたのではないでしょうか。
前半のキヴィオルのボールタッチは27、後半に登場したジンチェンコは52。左SBのファイナルサードへのパスは、2から8に増えています。ジンチェンコはチャンスを創れず、ドリブルで2回抜かれており、チームを変えたというほどの効果はありません。それでも、「彼がスタートからいれば、ジョルジーニョのよさを引き出してくれたのではないか」と悔しさが残る戦い方でした。
マン・シティは後方の4人が中央に絞るシーンが多く、敵陣ボックスでのボールタッチは、ヴィラ戦の63回とアーセナル戦の40回を大きく下回る21回でした。マイケル・コックス記者は、8人のCBが揃ったマン・シティVSアーセナルを思い出していたようです。シュート数8対6と、お互いの強みを消し合った試合は、欧州の強豪に負けないための参考書になったのかもしれません。
プレミアリーグでキヴィオルやアカンジの奮闘を見てきたグーナーとシティズンのなかには、レポートの指摘に異論がある人もいるでしょう。私は、孤立しがちなマルティネッリを見て「この試合の適任はティアニー?」と思いましたが、ジョアン・カンセロが脳裏に浮かんだ人もいるかもしれません。最後に、「4CBはやめてくれ」と主張する記者の締めの言葉を紹介しましょう。
「CBが1枚増えれば、セットピースの強度が高まる。しかし、グアルディオラやアルテタが中盤の工夫よりセットピースにおける高さを優先したとすれば、彼らが共有してきた哲学が希薄になっているように思える。(リコ・)ルイスやジンチェンコのようなテクニカルなフルバックは目に優しい。インターナショナルブレイク以降の試合を見る限り、それぞれがより良いプレイをするということでもある」
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