2024.05.10 チャンピオンズリーグ2023-24チャンピオンズリーグ
現地のレポート「プレミアリーグ勢は、なぜ欧州の決勝に行けなかったのか?」を読んで思うこと。
ヨーロッパカンファレンスリーグでアストン・ヴィラがオリンピアコスに連敗し、プレミアリーグ勢の欧州戦線が終わりを告げました。チャンピオンズリーグは、ニューカッスルとマンチェスター・ユナイテッドがグループステージで最下位。マンチェスター・シティとアーセナルは、経験豊富なレアル・マドリードとバイエルンという嫌なクジを引いてしまい、ベスト4の手前で敗れ去りました。
ヨーロッパリーグのリヴァプールは、準々決勝で大失敗。アタランタはいいチームですが、アンフィールドで0-3の敗戦は、アップセットというべきでしょう。レヴァークーゼンという怪物がCLではなくこちらにいたのは、ウェストハムにとって不運でした。負傷者続出のブライトンは、ローマに勝てるレベルではなかったと見るべきでしょう。
優勝候補だったはずのアストン・ヴィラは、ホームで2-4、アウェイで2-0と言い訳無用の完敗です。今季は欧州ランキングの上位2国に、来季CLの5枠めが与えられるチャンスだったのですが、CLとELでベスト4進出がゼロという惨状では白旗を揚げるしかありません。マン・シティとウェストハムがトロフィーを獲得した2022-23シーズンとは、景色が激変してしまいました。
「Why are no English teams in European finals? The Premier League has become harder than its rivals(イングランド勢はなぜ、欧州の決勝に進出しないのか?プレミアリーグはライバルより厳しくなった)」。冴えない結果を受けて、リーグ全体の問題を探った「テレグラフ」のルーク・エドワーズ記者は、3つの理由が考えられるといっています。
ひとつめは「クジ運」。マン・シティは、あまりにも早くレアル・マドリードと当たってしまい、ニューカッスルはパリ、ドルトムント、ミランという最悪のグループに放り込まれたというお話です。2つめは「プレミアリーグの優勝争いが激戦だった」。欧州の5大リーグで唯一、マン・シティ、アーセナル、リヴァプールの三つ巴のバトルとなったリーグだったという説です。
他国を見ると、パリ、レヴァークーゼン、インテル、レアル・マドリードは、2位以下を引き離してトロフィーを手に入れています。自国のリーグで下位相手に全力で戦う必要はなかったという指摘は、妥当なのかもしれません。3つめは「プレミアリーグの経済的な成功による全体のレベルアップ」。端的にいうと、ウルヴスやフラムのようなクラブは他国には少ないということです。
現在12位のウルヴスはマン・シティを撃破し、チェルシーとトッテナムにダブル達成。13位のフラムは、前半戦のアーセナル、リヴァプール、マンチェスター・ユナイテッドとの3試合をすべてラスト3分まで同点で踏ん張っており、後半戦ではアルテタ、テン・ハフ、ポステコグルーに勝ち切っています。
それぞれ部分的には納得感があるものの、敗因については欧州で戦った8チームをグループ分けして捉えたほうがよさそうです。今季のプレミアリーグで起こったさまざまな出来事のなかで、前年と大きく変わったのは、「大量の負傷者」「マーケットにおける選手の値段の高騰」「パンデミックによる収益減の影響」といったあたりでしょう。
負傷者が増えた原因として考えられるのは、2022-23シーズンの冬のワールドカップによる消耗の影響と、追加タイムの延長です。3つの変化をまともに喰らったのは、マンチェスター・ユナイテッドとニューカッスルです。パンデミックの時期の赤字により、PSRを気にしなければならなかった彼らは、満足な補強ができなかったうえに、負傷者が続出してしまいました。
ニューカッスルは死のグループという不運も乗っかり、あえなく敗退。とはいえ、パリに勝ち越すなど健闘しており、主力をキープできれば来季の欧州が楽しみです。マン・ユナイテッドは、夏のマーケットでマグワイアとマクトミネイを売り損ね、最終ラインと中盤をうまく補強できず、アントニーとサンチョのトラブル…自滅の原因だけで5本ぐらい記事を書けそうです。
ポイントを絞って、「コペンハーゲンとのアウェイゲームで逆転負けを喫しなければ2位だった」とすると、ダロト、マグワイア、ジョニー・エヴァンス、ワン=ビサカの4バックでは厳しかったという話になります。経済的には問題がなかったブライトンは、カイセド基金で獲得した7人の新戦力では、キーマンのリタイアの穴をカバーできなかったということでしょう。
リーグの激戦の影響を受けたのは、リヴァプールです。チアゴ、バイチェティッチ、マティプ、アーノルド、ロバートソンなど長期離脱が多かったチームは、カラバオカップ決勝とFAカップが120分の激闘となり、疲労の蓄積がアタランタ戦の惨敗につながった感があります。ヴィラの敗退は、経験不足か層の薄さか。オリンピアコスとの2試合は、パウ・トーレスが不在でした。
ヨーロッパリーグ勢が負傷者に苦しむなかで、CLで優勝をめざしたマン・シティとアーセナルは、デブライネ、ジョン・ストーンズ、ティンバー、トーマスらの不在をカバーできる戦術と人材がありました。レアル・マドリードを押しまくったマン・シティはあと1本を決められず、PK戦という「ピッチ上のクジ」に未来を委ねるしかなくなったのが敗因です。
アーセナルもバイエルンと接戦に持ち込み、「初戦のサカの転倒がPKになっていれば」「ミュンヘンでマルティネッリの一撃が決まっていれば」と、アレコレこぼしたくなる惜敗でした。2強のCLの敗戦は、プレミアリーグのレベル云々といった全体的な話に結び付けず、それぞれが足りなかったことを突き詰めるほうが賢明でしょう。
アーセナル、マン・シティ、リヴァプール、アストン・ヴィラの戴冠を夢見ていたのですが、「またしてもマドリード」「やっぱりバイエルン」「やめてくれシャビ・アロンソ」という残念な結果となりました。来季はそれぞれ、負傷者が理由にならない万全の戦いを期待したいと思います。われわれとハマーズには、関係ない話になりそうですが…。
ヨーロッパリーグのリヴァプールは、準々決勝で大失敗。アタランタはいいチームですが、アンフィールドで0-3の敗戦は、アップセットというべきでしょう。レヴァークーゼンという怪物がCLではなくこちらにいたのは、ウェストハムにとって不運でした。負傷者続出のブライトンは、ローマに勝てるレベルではなかったと見るべきでしょう。
優勝候補だったはずのアストン・ヴィラは、ホームで2-4、アウェイで2-0と言い訳無用の完敗です。今季は欧州ランキングの上位2国に、来季CLの5枠めが与えられるチャンスだったのですが、CLとELでベスト4進出がゼロという惨状では白旗を揚げるしかありません。マン・シティとウェストハムがトロフィーを獲得した2022-23シーズンとは、景色が激変してしまいました。
「Why are no English teams in European finals? The Premier League has become harder than its rivals(イングランド勢はなぜ、欧州の決勝に進出しないのか?プレミアリーグはライバルより厳しくなった)」。冴えない結果を受けて、リーグ全体の問題を探った「テレグラフ」のルーク・エドワーズ記者は、3つの理由が考えられるといっています。
ひとつめは「クジ運」。マン・シティは、あまりにも早くレアル・マドリードと当たってしまい、ニューカッスルはパリ、ドルトムント、ミランという最悪のグループに放り込まれたというお話です。2つめは「プレミアリーグの優勝争いが激戦だった」。欧州の5大リーグで唯一、マン・シティ、アーセナル、リヴァプールの三つ巴のバトルとなったリーグだったという説です。
他国を見ると、パリ、レヴァークーゼン、インテル、レアル・マドリードは、2位以下を引き離してトロフィーを手に入れています。自国のリーグで下位相手に全力で戦う必要はなかったという指摘は、妥当なのかもしれません。3つめは「プレミアリーグの経済的な成功による全体のレベルアップ」。端的にいうと、ウルヴスやフラムのようなクラブは他国には少ないということです。
現在12位のウルヴスはマン・シティを撃破し、チェルシーとトッテナムにダブル達成。13位のフラムは、前半戦のアーセナル、リヴァプール、マンチェスター・ユナイテッドとの3試合をすべてラスト3分まで同点で踏ん張っており、後半戦ではアルテタ、テン・ハフ、ポステコグルーに勝ち切っています。
それぞれ部分的には納得感があるものの、敗因については欧州で戦った8チームをグループ分けして捉えたほうがよさそうです。今季のプレミアリーグで起こったさまざまな出来事のなかで、前年と大きく変わったのは、「大量の負傷者」「マーケットにおける選手の値段の高騰」「パンデミックによる収益減の影響」といったあたりでしょう。
負傷者が増えた原因として考えられるのは、2022-23シーズンの冬のワールドカップによる消耗の影響と、追加タイムの延長です。3つの変化をまともに喰らったのは、マンチェスター・ユナイテッドとニューカッスルです。パンデミックの時期の赤字により、PSRを気にしなければならなかった彼らは、満足な補強ができなかったうえに、負傷者が続出してしまいました。
ニューカッスルは死のグループという不運も乗っかり、あえなく敗退。とはいえ、パリに勝ち越すなど健闘しており、主力をキープできれば来季の欧州が楽しみです。マン・ユナイテッドは、夏のマーケットでマグワイアとマクトミネイを売り損ね、最終ラインと中盤をうまく補強できず、アントニーとサンチョのトラブル…自滅の原因だけで5本ぐらい記事を書けそうです。
ポイントを絞って、「コペンハーゲンとのアウェイゲームで逆転負けを喫しなければ2位だった」とすると、ダロト、マグワイア、ジョニー・エヴァンス、ワン=ビサカの4バックでは厳しかったという話になります。経済的には問題がなかったブライトンは、カイセド基金で獲得した7人の新戦力では、キーマンのリタイアの穴をカバーできなかったということでしょう。
リーグの激戦の影響を受けたのは、リヴァプールです。チアゴ、バイチェティッチ、マティプ、アーノルド、ロバートソンなど長期離脱が多かったチームは、カラバオカップ決勝とFAカップが120分の激闘となり、疲労の蓄積がアタランタ戦の惨敗につながった感があります。ヴィラの敗退は、経験不足か層の薄さか。オリンピアコスとの2試合は、パウ・トーレスが不在でした。
ヨーロッパリーグ勢が負傷者に苦しむなかで、CLで優勝をめざしたマン・シティとアーセナルは、デブライネ、ジョン・ストーンズ、ティンバー、トーマスらの不在をカバーできる戦術と人材がありました。レアル・マドリードを押しまくったマン・シティはあと1本を決められず、PK戦という「ピッチ上のクジ」に未来を委ねるしかなくなったのが敗因です。
アーセナルもバイエルンと接戦に持ち込み、「初戦のサカの転倒がPKになっていれば」「ミュンヘンでマルティネッリの一撃が決まっていれば」と、アレコレこぼしたくなる惜敗でした。2強のCLの敗戦は、プレミアリーグのレベル云々といった全体的な話に結び付けず、それぞれが足りなかったことを突き詰めるほうが賢明でしょう。
アーセナル、マン・シティ、リヴァプール、アストン・ヴィラの戴冠を夢見ていたのですが、「またしてもマドリード」「やっぱりバイエルン」「やめてくれシャビ・アロンソ」という残念な結果となりました。来季はそれぞれ、負傷者が理由にならない万全の戦いを期待したいと思います。われわれとハマーズには、関係ない話になりそうですが…。
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