2026.05.02 チャンピオンズリーグ2025-26チャンピオンズリーグ
「Opta」の優勝予想は今も本命…バイエルンやパリに勝つためのアーセナルの戦い方を考える。
流動的なフォーメーション、超ハイプレス、鋭いカウンター、ピンポイントで合わせるセットピース。狭いコースをあっさり射抜くクヴァラツヘリア、目の前に4人いてもたじろがないマイケル・オリースをはじめ、ドゥエ、ムシアラ、ルイス・ディアスといったワールドクラスのドリブラーたちのスピードとシュート力が目を引く一戦でもありました。
ウスマン・デンベレは中盤のカバーまでこなすオールラウンダーで、2ゴール1アシストという圧巻のパフォーマンス。パサーに徹することもできるハリー・ケインは、ミュンヘンに希望をつなぐルイス・ディアスのゴールをお膳立てしました。ファイナルのような試合後のレポートを見ると、この世界は攻撃的なフットボールの信奉者が多数派なのだとあらためて思います。
翌日のゲームは、打って変わってナーバスな展開でした。ギョケレスのPKで先制したアーセナルは、ベン・ホワイトの不運なハンドで追いつかれ、エゼを倒したように見えたハンツコのファールを取ってもらえずドロー決着となりました。PKに関する議論があれほど盛り上がったのは、記者もファンも誤審の話が大好きだからというより、他にこれといった話題がなかったからでしょう。
パリとバイエルンの一戦が退屈だったら、ウパメカノのハンドにフォーカスする記者が増えていたはずです。マドリードのオンターゲットは4対2で、ゴール前のハイライトはグリーズマンがバーに当てた一撃とダヴィド・ラヤのビッグセーブのみ。ノースロンドンのセカンドレグも、レフェリーのジャッジとエキセントリックな監督のパフォーマンスがネタになるかもしれません。
プレミアリーグが最もエキサイティングであり、世界一強いと信じたい私としては、ビッグイヤーの本命を問われたら「アーセナル」と即答するしかありません。しかし現状を冷静に俯瞰すると、どこからどう見ても「アリアンツ・アレナで勝ったほう」が最有力候補です。直近の戦績も、ドイツとフランスは好調で、イングランドとスペインは「失速」のひとことです。
ブンデスリーガで113ゴールと猛威を振るうバイエルンは、パリに負けるまで17勝2分という快進撃を続けていました。昨シーズンの欧州王者も、3月にモナコにダブルを喫した後は9勝1敗です。対してアーセナルは、カラバオカップの決勝でマン・シティに敗れてから2勝2分4敗。アトレティコ・マドリードは、2勝1分7敗と絶不調です。
鮮やかなコントラストを描いたファーストレグについて、攻めて勝つチームの激突と守備重視のチームのバトルと捉えた現地の記者は、「ファイナルはイデオロギーの対決となる」と煽っています。しかし試合を観ると、「革新的な新機軸を打ち出したグローバル企業の競争」「かつては元気だった斜陽企業の生き残りを賭けた椅子取りゲーム」の2本立てと表現したくなります。
こんな状況でも、「Opta」のスーパーコンピュータの予想は、優勝確率34.9%のアーセナルが最有力となっています。リーグフェーズでアトレティコ・マドリード、バイエルン、インテルを撃破し、全勝でノックアウトラウンドに進出という貯金が大きいのでしょう。「ラウンド16からの5試合はオープンプレーの失点ゼロ」と胸を張ると、「対戦相手は?」と切り返されそうです。
「優勝か否か」の議論は、セカンドレグを終えてからにしたほうがいいのですが、妄想を楽しめるのは今のうちかもしれません。アーセナルがパリやバイエルンに勝つために、どんな戦い方がありえるのか。参考になるのは、チェルシーではないでしょうか。バイエルンを相手にベタ引きしてPK戦を制したディ・マッテオではなく、2020-21シーズンのトゥヘルのほうです。
あの試合のチェルシーはカウンターに徹しており、チルウェルとリース・ジェームズはスターリングとマフレズのカットインを阻むのがメインミッションでした。ビルドアップはシンプルで、後ろで時間をかけずに前線で勝負できる形を創ろうとしていました。決勝ゴールのシーンは、右サイドでのビルドアップが詰まった後、すぐに左に展開したメンディがキーマンでした。
タッチライン際でフィードを受けたヴェルナーがキープせず、ダイレクトでメイソン・マウントに落としたのも重要なポイントです。カイ・ハヴェルツが中央で空いたのを見た19番がスルーパスを入れ、飛び出したエデルソンに競り勝ったレフティが無人のゴールに流し込みました。「速く、シンプルに」という意志の統一がなければ実現しなかったゴールといえるでしょう。
マン・シティに打たせず、クリーンシートを達成できたのは、CBの負担を軽くしたエンゴロ・カンテの奮闘があったからです。サイドで真っ向勝負をしたら、クヴァラツヘリア、ドゥエ、ルイス・ディアス、マイケル・オリースにやられると認め、モスケラとズビメンディ、ミケル・メリノとインカピエで守り切る戦術に徹したほうが、チャンスを増やせるのではないかと思います。
アンカーとして中盤を仕切ってほしいデクラン・ライスは、カンテになれるか。インサイドでスペースを見つけて前線を動かしてほしいズビメンディは、メイソン・マウントになれるか。最前線でボールを呼び込んでほしいカイ・ハヴェルツは、カイ…そうでした。同一人物でした。あのときと同じように、決勝ゴールをゲットしてくれたら文句なしです。
今季のガナーズのカウンターは、「ずるずる引いた状況で自然発生」が大半です。攻撃力と裏腹に、守備に脆さがある相手の背後を狙ってカウンターを繰り出せれば、頂点が見えてくるはずです。ヒーローはギョケレスか、カイ・ハヴェルツか。速攻のキーマンはサカか、マルティネッリか。退屈でも勝てば王者。イデオロギー論争にピリオドを打ってもらえればと期待しています。
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