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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

課題は戦術か、個の力か?プレミアリーグの序盤戦のスタッツに見る「チェルシーが出遅れた理由」

プレミアリーグ2023-24シーズンは、最初の4試合を消化。昨季王者のマンチェスター・シティは4連勝で、アーセナル、リヴァプール、トッテナムは3勝1分とまずまずのスタートです。ヨーロッパリーグの出場権を獲得したブライトンとウェストハムも、10ポイントゲットという上々の滑り出しとなりました。

一方、トッテナムとアーセナルに敵地で敗れたマンチェスター・ユナイテッドは2勝2敗。ヴィラを5-1で粉砕したニューカッスルは、マン・シティ、リヴァプール、ブライトンに3連敗で14位に沈んでいます。最終ラインのキーマンが負傷した彼らは、しばらくは厳しい戦いを強いられそうな雲行きです。

さて、TOP4をめざすクラブのなかで、最も苦しい序盤戦となったのは、ポチェッティーノ監督率いるチェルシーです。最初の4戦は1勝1分2敗。レッド・デヴィルズとマグパイズが落としたのは強者同士のシックスポインターですが、トランスファーマーケットで史上最高額の4億3450万ポンドを費やしたクラブは、ハマーズとノッティンガム・フォレストに足をすくわれています。

昨季の最終順位と同じ12位のチームは、どこに課題を抱えているのでしょうか。まずは、これまでのスタッツをチェックしましょう。4戦5発は11位、5失点は少ないほうから数えて7位。ゴールは多いとはいえないのですが、攻撃に関する主要スタッツは悪くはありません。ポゼッション70.8%はリーグTOP。1試合あたりのシュート数16.8本は、マン・シティに僅差の5位です。

パス成功率89.0%は、ペップとデ・ゼルビに次ぐ3位。1試合あたりのドリブル成功11.3回も、マテウス・ヌネスがいたウルヴスと、イヴ・ビスマが好調のスパーズが上にいるだけです。ボールを支配し、ニコラス・ジャクソンやスターリングが突破力を誇示しているチームが勝てないのはなぜでしょうか。ここからは、気になるスタッツを紹介します。

最も致命的な数字は、ビッグチャンスにおけるミスの多さです。チェルシーの11回は、エヴァートンと並んでリーグワースト。夏に加わったニコラス・ジャクソンは6回を記録し、ランキングTOPです。開幕節のリヴァプール戦は、何度もあったアリソンとの1対1を活かせず、ハマーズ戦ではエンソ・フェルナンデスがPKを失敗してしまいました。

シュート数では上位にいながら、オンターゲット18本は首位ブライトンの半分で14位。フィニッシュの精度に加えて、攻撃が右サイドに偏っているのも気になります。左からの29%はリーグ19位、スターリングとマロ・グストがいる右は42%で3位。シュートも同様で、左からの12%は19位、右からの21%はアーセナルに迫る2位です。

最前線のニコラス・ジャクソンはシュート15本、ドリブルでのテイクオン10回ともチームTOP。彼が右にまわり込んで打とうとするシーンが多いため、左からの攻撃はエンソ・フェルナンデスのミドルとチルウェルのオーバーラップが中心となり、スターリングがいるサイドより迫力を欠いています。

スルーパス8本がリーグNo.1のエンソ・フェルナンデスは脅威ではあるのですが、ボックスに入って獰猛に狙うタイプではないので、左にウインガーを配する4-3-3や前線に2枚を並べる3-5-2のほうがバランスはよくなりそうです。ムドリクが機能すればいいのですが…。10番が厳しくても、チュクエメカやエンクンクが戻ってくれば、課題解決に向かうのではないでしょうか。

ベテランの大半を放出し、若手にシフトした改革の季節に多少しゃがむのは想定内でしょう。インターナショナルブレイク明けは、ボーンマス、ヴィラ、フラム、バーンリー。与しやすい相手が揃う9月からポイントを積み上げ、10月のアーセナル戦で手応えを感じられれば、TOP4争いが視野に入ってくるはずです。新指揮官の戦術の熟成と主力のフィット感向上に期待しましょう。


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