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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

夏に支払った移籍金はゼロ、主力放出で2億ポンド超の利益…金欠エヴァートンは圧倒的戦力不足!

2023年8月30日、カラバオカップ2回戦。エコパワースタジアムに乗り込んだエヴァートンは、ドンカスター・ローヴァーズを1-2で下し、3回戦に進出しました。これだけなら、プレミアリーグのクラブが下部リーグに順当勝ちというありふれた話です。しかし、相手チームのプロフィールと試合の展開をレポートすると、トップリーグにしがみつきたい古豪がいかに厳しい状況にあるかがよくわかります。

まずは、ドンカスター・ローヴァーズについて端的に紹介しましょう。この試合を迎えるまで、リーグ2(4部相当)で1分4敗の24位、つまり最下位。カラバオカップは、プレミアリーグとチャンピオンシップ、リーグ1、リーグ2に所属するクラブが参加する大会なので、「92チーム中92位」ということになります。

昨季の最終節で残留を決めたクラブといえども、フツーは圧勝で終えるはずです。しかし前半のエヴァートンは、ひどい状態でした。マイケル・キーンのバックパスをピックフォードがトラップミスし、奪われたシーンはゴドフリーが戻って何とかクリア。最初のシュート5本はすべてホームチームで、41分にダンジュマがボックス左を突破するまで無為な時間を過ごしました。

最弱クラブが先制したのは44分、ショートコーナーからトミー・ロウがゴール前に浮かすと、ラインの裏に飛び出して頭に当てたアイアンサイドはフリーでした。追加タイム3分に右からグラウンダーが入り、トミー・ロウが合わせた決定機はピックフォードがビッグセーブ。詰めたアイアンサイドが押し込んでいれば、ジャイアントキリングが実現していたのではないでしょうか。

ハーフタイムのシュート数は9対2。ショーン・ダイク監督は、新戦力のベト&アシュリー・ヤングとグイェを投入して逆転をめざします。プレミアリーグのクラブが反撃に転じたのは残り30分を切ってから。ドゥクレの縦パス1本で、裏に抜け出したベトが決めたのは73分でした。決勝ゴールは88分、左から強引に斬り込んだダンジュマがねじ込み、事件を回避しました。

プレミアリーグ開幕から3戦連続ノーゴールの3連敗。最下位だったエヴァートンは、カラバオカップに勝ってからも厳しい状況が続いています。4節のシェフィールド・ユナイテッド戦をドローで終えて18位に浮上したものの、トータル2ゴールはルートンと並ぶリーグ最少。主力の売却でキャッシュを得ることに集中していたクラブは、攻撃力が格段に向上するとは思えません。

夏に獲得した5人の新戦力のうち、アルノー・ダンジュマとジャック・ハリソンはローンで、アシュリー・ヤングはフリーエージェント。負傷が多いカルヴァート=ルーウィンの保険として獲得したユセフ・シェルミティは未だ19歳で、1070万ポンド(約20億円)は将来投資と考えるべきでしょう。

ウディネーゼから獲得したベトは、総額2580万ポンド(約48億円)。セリエAで2年連続2ケタゴールの即戦力ですが、ドンカスター・ローヴァーズ戦ではミスが多く、プレミアリーグにフィットするのに時間がかかるかもしれません。2人の獲得で発生した移籍金の支払いは、来年に先送り。3月にFFP違反を問われ、調査対象となったクラブは、これでも精一杯補強したのでしょう。

一方、昨夏以降の放出リストは豪勢な顔ぶれが揃っています。リシャルリソン、アンソニー・ゴードン、モイーズ・キーン、エリス・シムズ、サミュエルズ=スミスを手離し、この夏のデッドラインデーにイオビまで売って、総額1億8000万ポンド(約334億円)。さらにグバミンやジェリー・ミナなど高額サラリーの選手の契約解除で、4000万ポンド(約74億円)を浮かしています。

地獄のダイエットを敢行したクラブは戦力に余裕がなく、中盤を支えるオナナ、ドゥクレ、グイェのいずれかが長期離脱となったら、降格一直線となってしまう可能性があります。ダンジュマとベトは救世主になれるのか。ルイス・ドビンやシェルミティはブレイクするのか。グディソンパークで2戦2敗のチームは、3年連続の残留バトルで、いよいよ力尽きそうな雲行きです。


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