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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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U21代表で絶賛されたロフタス=チークはクラブでは…欧州各国に散らばるチェルシーの若手を追跡!

インターナショナルマッチウィークも残りわずかとなり、昨日は世界各地でワールドカップ予選が開催されました。日本代表がタイを4-0で破ったゲームに、エキサイトした方も多いのではないでしょうか。昨日、ゴールを奪った4人は、全員が欧州で調子を上げていた選手でした。セインツでレギュラーを奪取した吉田麻也は、プレミアリーグ9試合連続出場。岡崎慎司もレスターのプレミアリーグ3連勝とCLベスト8進出に貢献しており、ドルトムントの香川真司も2試合連続スタメン。1月にベルギーのヘントに移籍した久保裕也は7戦5発の大爆発で、6位だったチームの順位を2つ押し上げています。こう書くと、実戦感覚は重要というひとことで終わりそうですが、各国の代表のシャツを着て戦っている選手を見渡すと、そんな話ばかりでもありません。

Chelsea’s Ruben Loftus-Cheek shines as England Under-21s thrash Denmark」。イギリスメディア「ガーディアン」が絶賛したのは、0-4で勝利したデンマーク戦で2ゴールを決めたイングランドU-21代表ロフタス=チークです。「楽しかった。クラブではあまりプレイしていないので、イングランド代表ではハードワークして鋭さを手に入れないとね」と語ったチェルシーの21歳MFは、今季プレミアリーグでわずか3試合20分の出場に留まっています。U-21代表監督のアイディ・ボスロイドさんがエクセレントとベタ褒めしたプレイメイカーは、主力を固定して戦うコンテ監督のチームでなければ、クラブの中心選手にステップアップしていたかもしれません。

ロフタス=チークをはじめ、チェルシーでレギュラーの厚い壁に阻まれ、ベンチを温めたり他クラブに修業に出されている選手たちは現在どういう状況にあるのでしょうか。ファーストチームに残った若手選手では、ナサニエル・チャロバーは途中出場ながらプレミアリーグ8試合に顔を出していますが、大みそかのストーク戦以来リーグ戦の出番はなし。オラ・アイナのプレミアリーグは2試合8分、ドミニク・ソランケはゼロ。1月に呼び戻されたムソンダは未だ使われておらず、ボーンマスでの活躍が評価されてチェルシー復帰を果たしたナタン・アケも、ケネディと同様にFAカップで下部リーグのクラブと戦っただけです。国内・海外のクラブに修業に出されている選手はどうでしょうか。2016年9月に、「総勢38人!ユース最強のチェルシーからローンで出された選手たちに希望はあるか?」と題した記事で紹介させていただいたなかで、国内修業の成功組は、チャンピオンシップのクラブで活躍するタミー・アブラハム、ケイシー・パーマー、ルーカス・ピアソン、トマシュ・カラスです。

19歳のアブラハムは、19位に沈むブリストルで33試合20ゴールと孤軍奮闘。ハダースフィールドで10月からスタメンが増えたケイシー・パーマーは、負傷で戦列を離れるまで24試合4ゴールとまずまずの数字を残しています。ハダースフィールドにはロザラムから1月に移ってきたイジー・ブラウンもいるのですが、入団当初は5戦3ゴールと順調だったものの、その後の7試合はノーゴール。フラムに貸し出されたルーカス・ピアソンとトマシュ・カラスのコンビは、カラスが28試合出場、アゴを骨折して療養中のルーカス・ピアソンも22試合5ゴールとチームに貢献しています。

海外で最も成功したのは、ボルシアMGで22試合2ゴールの20歳CBアンドレアス・クリステンセンと、アヤックスで19試合6ゴールの21歳FWベルトラン・トラオレ。フィテッセで26試合9ゴールのルイス・ベイカーと21試合4ゴールのナタン、最終ラインで17試合に出場したミアズガの21歳トリオも順調にキャリアを積んでいます。チェルシーでは信頼を得られなかった22歳のラーマン・ババは、シャルケ04で13試合に出場。アフリカネーションズカップで半月板損傷と前十字じん帯損傷という重傷に見舞われなければ、いいシーズンだったといえたのではないかと思われます。ACミランにレンタルされたパシャリッチは、前年にモナコで29試合7ゴールと既に頭角を現しており、セリエAでも22試合2ゴール。「ミランでプレイできることに満足している」と語るMFは、このままイタリアに残りたいと主張するかもしれません。

欧州の名門でチームの中心として活躍している選手が数多くいるなか、何人がスタンフォード・ブリッジに戻ってくるでしょうか。UEFAユースリーグ連覇、FAユースカップ3連覇を達成し、欧州最強ユースともいわれたチェルシーから出てきた選手が、青いユニフォームに袖を通さないままローン先のクラブに留まったり、プレミアリーグの他クラブで主力に抜擢されるのはもったいないお話です。クリスティアン・アツはニューカッスルに残るのか。クリステンセンはジョン・テリーになれるのか。タミー・アブラハムはロメウ・ルカクのように他クラブでプレミアリーグ得点王クラスにレベルアップするのか。ベルトラン・トラオレ、ルーカス・ピアソン、そしてルベン・ロフタス=チークは…。チェルシーの若手選手たちの成長に期待しつつ、30人以上のレンタルという人材派遣業の未来には、果たしてこれが選手の成長を促す仕組みとして妥当なのかと一抹の不安を覚えるのであります。

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“U21代表で絶賛されたロフタス=チークはクラブでは…欧州各国に散らばるチェルシーの若手を追跡!” への5件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    そうですね。
    青田買いをするのは良いですが、ローン制度がただの小遣い稼ぎと厄介払いの手段になってるのは非常に残念ですね。
    少し前の話になりますけど、個人的に応援してるリバプールにおいて、怪我人が多発した際にもテイシェイラでさえ全然使われなかった時はホントにがっかりしました。
    アカデミーで一番の選手がトップチームの助けにすらならないってなんのためにアカデミーが存在してるんだと辟易しました。
    アカデミーあがりでトップチームに定着したのはここ最近だとスターリングくらいだし、育成に力入れるのやめて他から買ってくるほうが効率がいい気がします。スソやアイブですら収穫できないんだし、ケントもきつそうだなー

  2. 青サポ より:

    ユースリーグとトップチームであまりにレベルの差がある以上、ユースでは有望でも、トップチームに上げてみたら使えるレベルじゃないとなってしまうのも仕方がないのかもしれません。伝統を重んじるの大事ですが、育成のことを考えれば、スペインのようにBチームもチャンピオンシップまでは参加できるようにするべきでしょう。

    チェルシーのユースについて言えば、来季の戦力として考えられるのはクリステンセンだけ。チークとアケは残ってくれるならチームとしては嬉しいけど、出場機会は劇的に増えることはなさそう。他はまだ厳しい。
    最終的にはほとんどの選手がローンから完全移籍に切り替えて終わってしまいそう。後は買い戻しを付けられるか。他チームを応援してる自分には、そんな印象です。

    —–
    確かにチェルシーのユースはここ数年で多くのタイトルを手にしていますがトップで使えるレベルの選手がいるかと言えばまた別の問題なのでしょうね。
    去年のUYL決勝のPSG戦を見た時には選手個人のタレント力よりもチームとしての組織力の方が強く印象に残りました。近年のチェルシーユースの躍進はその組織力による所が大きいと思います。
    毎年のように即戦力の補強が行われている中でユース選手がトップに定着するには、傑出したタレントが求められます。
    だからこそロフタスチークには期待したいのですが、正直彼が成長するならチェルシーと縁を切った方がいいのではないかと思う今日この頃です…(それこそソランケとの繋がりが噂されているRBとか…)

  3. ユナイテッド より:

    アケは本当に引き戻す必要があったのか個人的には疑問に思っています。
    彼はかなりの実力者でボーンマスでフルシーズン戦ってからでも良かったのではないのかと…

  4. プレミアリーグ大好き! より:

    サッカーはチームスポーツなので全選手の平均レベルが高い所が勝ちますが、
    ユースチームにはプロ選手で食べていく為に必要な75点にも満たない選手が大量に居ます
    チェルシーが強いのは75点の選手を量産してるからですが、ビッグクラブに必要なのはそんな平均的な選手じゃ有りません
    数百万人の競争を勝ち抜いた85点以上の選手が必要なのです

    平均的な選手がローンに回されて出場機会を得る事は自分の強みと弱みを知って磨く能力を選ぶ時間を作り、
    自分の才能の限界と折り合いながら自分の輝ける場所を探す事に役立つ良い事だと思います
    トップチームにとってのユースは20年に数人の戦力を出すこと
    ピークで80点の選手を中位チームへ量産して売却益を出すための機関に過ぎないと私は考えており、チェルシーモデルは理想と言えます

    もっとも多少の遠回りはしても才能を見出されるワールドクラスになれる選手を多数留められてないのは問題で
    子供に過ぎない選手の精神的なケアはもっと必要だと思いますが…

    レッズもクロップ以降アイヴやカノス、シンクレア、ロシターなどの不要な選手を売却や契約打ち切って
    16歳くらいからU23を戦わせて良い方向に進んでると思います。優勝を目指すチームには平均的な生え抜きより特別な選手が必要なのです

  5. makoto より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    EFLカップは、もっとうまく活用したいですよね。育成した選手を売って収益にしているところもあるので、経営的な面まで含めれば、「効率」については何ともいえませんが、お気持ちはわかります。

    ルニキさん>
    クリステンセンに加えて、ベルトラン・トラオレ、ロフタス=チーク、ソランケ、アブラハムはチャンスを与えれば伸びるのではないかなと思います。BチームがチャンピオンシップまでOK案は賛成です。

    青サポさん>
    なるほど。中盤より後ろはそうなのかもしれません。前は創造性の高い選手がいるなと思いながら見てました。

    ユナイテッドさん>
    戻ってから使われる気配がないので、本人としてはボーンマスに残ったほうがよかったでしょうね。チームとしては、バックアッパーが必要とふんだのかもしれません。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    特別な選手になれるかもしれないタレントが、80点以下で終わってしまうリスクはないですかね。チェルシーの手法は、ひとつのビジネスモデルとしておもしろいとは思うのですが、選手側からの視点でみると、「理想」とまではいいづらいです。トッテナムやセインツが若くて有望な選手を輩出しているのをみると、クラブで育ててテリーに仕上げるルートがもっと太くてもいいのではないかと思ったりします。

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