偏愛的プレミアリーグ見聞録

「自分の強みを思い出してほしい」…アルテタ監督のメッセージが込められているようなスタメンです。FAカップ4回戦、サウサンプトンVSアーセナル。プレミアリーグ9位と10位の対決ですが、ホームのセインツはガチンコメンバーで、アウェイのガナーズは前線の主力を休ませています。まずはアルテタ監督の11人を見てみましょう。GKレノ、DFベジェリン、ホールディング、ガブリエウ・マガリャンイス、セドリク・ソアレス。セントラルMFにエルネニーとジャカ、2列めはニコラ・ペペ、ウィリアン、マルティネッリ、ワントップは今季プレミアリーグで1ゴールに留まっているエンケティアです。

立ち上がりから押しているのはセインツ。4分のCKは、ニアに走り込んだダニー・イングスのボレーがDFにヒット。2度めのCKを蹴ったウォード＝プラウズは、直接狙ったのでしょうか。アウトにかけたキックはクロスバーをこすり、逆サイドに抜けていきました。マルティネッリとウィリアンがサイドから突破をめざすガナーズは、クロスが味方に通りません。14分、右からスプリントしたチェ・アダムズがガブリエウをあっさり抜き去り、右足を振り抜くと、レノが右に飛んで外に弾き出しました。

16分、左からのFKが中に入った瞬間、セインツの最終ラインと入れ替わったマルティネッリがフリー。フォースターの目前で合わせたボレーは、枠にいけば決まりでしたが、力んだ19歳は空振りでチャンスを逸しました。24分、左サイドの厳しいプレスで奪ったセインツは、逆サイドのカイル・ウォーカー＝ピータースに展開。2番のキックはファーに通そうとしたグラウンダーでしたが、ニアをカバーしていたガブリエウがコースを変えてしまい、ボールはサイドネットに吸い込まれました。

27分、ウォード＝プラウズがアウトにかけたミドルは右にアウト。1分後、速攻を止められたセインツは、右サイドから二次攻撃を仕掛けます。ウォード＝プラウズが右から上げたクロスのクリアがダニー・イングスに届くも、ワントラップボレーはベジェリンが体を寄せてブロックしました。37分に右からドリブルで上がったのはエンケティア。ボックス内でカットされてこぼれたボールがニコラ・ペペの足元に入りますが、左足の一撃はベドナレクの背中に当たってしまいました。

44分、プレミアリーグでFKを3発決めているウォード＝プラウズが左からニアを狙うと、ドライブがかかりすぎたボールは左に逸れていきます。前半は1-0。出足のよさで中盤を制するセインツに対して、アーセナルのアタックは連動性がありません。後半も明らかにセインツペース。50分にラインの裏に抜けたダニー・イングスがフィニッシュをポストにぶつけると、不可解なオフサイドでプレー再開となりました。右サイドのニコラ・ペペは、有利な体勢で奪われるシーンばかりが目立っています。

アルテタ監督は、58分にマルティネッリとエルネニーを下げ、サカとトーマス・パーティーを投入。ニコラ・ペペとのワンツーでボックス右に斬り込んだエンケティアのシュートはベドナレクがクリアし、ショートコーナーからベジェリンのクロスを受けたホールディングのボレーは、フォースターの頭上を越えていきます。64分のトーマス・パーティーのミドルは、大きく右に外れました。

67分、ドリブルで上がったウィリアンが左にまわっていたニコラ・ペペに預けると、ボックスに入ったエンケティアに完璧なラストパスが通ります。ストライカーが右隅を狙うと、フォースターが左足にぎりぎりで当てるビッグセーブ。アルテタ監督の3枚めは、72分にベジェリンをラカゼットです。猛攻を続けるアーセナル。エンケティアのスルーパスでニコラ・ペペが裏に出た80分の決定機は、オフサイドを示す旗が上がっています。

アーセナルの選手たちのシュートは、ことごとく枠を外れました。93分のエンケティアのシュートが右に逸れると、間もなくタイムアップ。昨シーズンのFAカップ覇者は、オウンゴール1発であっさり敗退しました。プレミアリーグでは4勝1分けと巻き返していますが、メンバーをいじると機能しなくなるデリケートなチーム。ニコラ・ペペは決定的なパスを1本出しただけで、ウィリアンは脅威になりえず、オーバメヤン、スミス・ロウ、サカを2列めに据えるのがベストという事実を確認させられただけでした。

ミッドウィークのプレミアリーグも、セント・メアリーズでサウサンプトンです。ベストメンバーだと戦い方がどう変わるのか、気を取り直して注目しましょう。