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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

出た、ジャイアントキリング!マンチェスター・シティ、FAカップで2年連続ウィガンにつまずく!

FAカップ準々決勝、マンチェスター・シティVSウィガンは、前半を終わって1-2。これ、ゴール数ではなくシュート数です。現地テレビ局の作成したハイライトはわずか4シーン。マンチェスター・シティがクロスをクリアされた映像まで入っています。クロスぐらいでいちいちハイライトにしていたら、マンチェスター・ユナイテッドのハイライトシーンは毎回、60分を超えてしまうでしょう。プレミアリーグ同様にヤヤ・トゥレとナスリがゲームを掌握。7割近いボールポゼッションを誇るマンチェスター・シティが、しかしペースを変える工夫もドリブルで仕掛ける積極性もなく、淡々とボールを回すだけの45分。そのなかで、シュート2本ながらも貴重なPKを奪って先制したのはアウェイのウィガンでした。

マンチェスター・シティのディフェンスラインは、マイカ・リチャーズ、レスコット、デミチェリス、クリシー。コンパニもサバレタもコラロフもいないメンバリングは初めてではないでしょうか。この顔ぶれでは、今ひとつオーバーラップの迫力に欠け、スピードに対する対応にも難があります。25分、左サイドからペナルティエリアに侵入してきたウィガンFWフォルチュネに対して、デミチェリスは足を踏んでしまっては言い訳のしようがありません。PKキッカー、ジョルディ・ゴメスのシュートは正面やや右でしたが、GKパンティリモンは一歩も動けず、まさかの先制点を許します。

それでも前半0-1くらいなら、よくある話。何せここは魔のエティハド、マンチェスター・シティがすぐ取り返すだろう、プレミアリーグでトッテナムから2試合トータル11点を奪ったチームが、ウィガン相手に苦戦すらしないはずと思っていたのですが…。予想というものはなかなか当たらないもので、後半開始直後にゴールを決めたのは、何とウィガンでした。左に上がったクロスを一度はクリアしたマンチェスター・シティでしたが、これを拾われ再度、左からグラウンダーを入れられると、逆サイドから走り込んできたジェームズ・パーチをクリシーが抑えられず、体ごとゴールに入るかのようなスライディングシュートを決められます。「サッカーは、最初と最後の5分に気をつけろ」を絵に描いたような衝撃の2点め。これで、俄然盛り上がってきました。ゲームの焦点は、「マンチェスター・シティはいつ追いつくのか」です。

ところが、マンチェスター・シティは2点めを奪われてもピリッとしません。プレミアリーグでの迫力が嘘のような弛緩したパスワークは変わらず、前半のナスリに続いてヤヤ・トゥレと、イエローカードだけが積もっていく展開。見かねたペジェグリーニ監督、52分に怒りの3枚代え!ボールタッチが少なかったヘスス・ナバス、何もしていないネグレド、冷静さを欠き始めたヤヤ・トゥレを外し、ジェコ、ミルナー、ダヴィド・シルヴァに逆転の希望を託します。昨日のFAカップでは、アーセナルがジルーとロシツキを投入し、タイスコアから一気に3点を奪ってエヴァートンを突き放しました。マンチェスター・シティは2点のビハインド。この交代は、吉か、凶か!?

交代直後から、ミルナーが気持ちのこもったプレイで再三、右サイドを突破。少なくとも一段、ギアは上がりました。63分には、クリシーのファーサイドへのクロスをジェコがヘッドするも、惜しくも左ポストを直撃。ようやくシュートへの意識が芽生えてきたプレミアリーグ優勝候補が、1点を返したのは67分でした。CKからのこぼれ球を、レスコットがヘッドで後ろに落とすと、左足を振り抜いたのはサミル・ナスリ。ミドルシュートは右ポストの内側を叩く見事な一発。これでますます、マンチェスター・シティの猛攻モードに拍車がかかります。71分に、マン・シティのパスミスを拾ったフォルチュネがドリブルで攻め上がり、左のフリーの選手を無視してもったいないミドルを打ってからは、ウィガンはボールを奪取してもカウンターすらできません。これは、同点は間違いないでしょう。

80分、マンチェスター・シティ最大の同点チャンスは、やはり右からのミルナーのグラウンダー。ゴール前3メートルでDFより先にタッチしたのはジェコ。これは入った!と思った瞬間、ボールは大きくゴール上に飛んでいきます。81分、クロスをしっかり捉えたアグエロのボレーもGKがキャッチ。83分、これもジャストミートだったジェコのヘディングは、クロスに弧を描いてわずかに右にそれていきます。気がつけば、残り5分。ウィガンがまだリードしています。焦るマンチェスター・シティは放り込みをスタート。しかしこれが、ウィガンの守備を却って楽にさせてしまい、たびたびCKやスローインに持ち込まれ、無為な時間を使わされます。

追加タイムは5分。祈るように見つめる地元サポーターの願い虚しく、ピッチの上では何も起こらず。マンチェスター・シティ最後のチャンスは右からのCK。GKパンティリモンまでゴール前に上がってきますが、このボールに先に触れたのはチャンピオンシップ所属チームのDFです。クリアボールを中盤でウィガンの選手がキープしたところで笛の音。出ました、FAカップ名物、ジャイアントキリング!プレミアリーグのチームでさえも、チェルシー以外どこも勝てなかったエティハドで、チャンピオンシップ6位とプレミアリーグ復帰さえ危ぶまれるウィガンが勝ってしまいました。しかも彼らは、昨年の決勝に続き、「2年連続マンチェスター・シティに勝利」です。

ウィガンとアーセナル関係者以外で、この結果にいちばん喜んでいるのは、最近もまだマンチェスター・シティに未練タラタラ、文句つらつらのロベルト・マンチーニ前監督かもしれません。冗談はさておき、いや、まだ手が震えてます。ホントにびっくりしました。敗因を挙げるとすれば、ペジェグリーニ監督と選手の心が、ひと足早くスペイン・バルセロナに飛んでしまっていたこと、ではないでしょうか。アウェイでときどきやってしまう集中力を欠いたプレイを、この大事なホームゲームでやらかしてしまった、としかいえませんね。…しかし、ウィガン、あっぱれ!敵の台所事情は置いといて、何よりもまず、DFラインを下げ過ぎずに踏ん張った彼らのサッカーが素晴らしかったことだけは間違いありません。

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