偏愛的プレミアリーグ見聞録

いよいよ本日、プレミアリーグ2013-14シーズンが開幕します。このたび、サッカーキングがリーグスタートに先立ち、現地事情に精通したイギリス人記者に、香川真司と吉田麻也の2年めの展望についてインタビューしています。これを読むとそれぞれ、かなりの高評価。クラブやサポーターはもちろん、専門記者の厳しい眼を通じてさえも、チームの軸としての活躍が期待されているようです。

マンチェスター・ユナイテッドで2年めを迎える香川真司について語るのは、イギリス紙「デイリーミラー」でマクドネル記者。20試合出場、6得点というプレミアリーグ初年度の数字については「本人もファンも納得できる成績ではない」と辛口ですが、「サイドでの起用が多く、相手の脅威となる攻撃に乏しかったこともあって、ややもの足りなかった」としています。香川の実力については「疑いの余地はない」と高く評価しており、モイーズ監督がトップ下で起用する機会が増えれば、本来の彼のプレイが戻ってくるのではないかとコメント。「世界レベルのビッグクラブとリーグになじむための時間は終わった」2年めこそ真価が問われると語ります。

マクドネル記者がいうように、勝負の年であるのは間違いありませんが、モイーズ監督の使い方が微妙ですね。コンフェデレーションズカップや先日のウルグアイ戦があって、充分な休養をとっていない香川のコンディションに配慮しているのか、単純に評価が低いのかわかりませんが、ここまでのところは短時間の起用が多いのが気になります。ポジションも必ずしもトップ下でなく、左サイドで使われるケースもあるので、早期に得点を重ねて信頼を上げないと、ケガがないにもかかわらず昨年並みの出場数に終わる可能性もあります。チーム内での役割が明確になり、コンスタントに出場できれば、シーズンで2ケタ得点は間違いないでしょう。マンチェスター・ユナイテッドは、チェルシー、リヴァプール、マンチェスター・シティと開幕から厳しい相手が続きますが、マンチェスターダービーまでの5試合が、26番にとっての最初の関門です。

一方、吉田麻也について語ってくれたのは、イアン・パーカー氏。サウサンプトンに入った直後のアーセナル戦で、チームも彼自身も最悪のディフェンスを披露したこともあって、イングランドで初めての日本人CBには「お粗末で軟弱なDF」というレッテルが張られていたとのこと。しかしその後、経験値が増えるとともに、プレミアリーグに順応したと見直され、「優れた戦術眼でCBもSBもこなして信頼をつかみ、不動の地位を確立した」と高い評価を得るに至っています。

　パーカー氏は「昨シーズン、ときどき犯した致命的なミスを減らす必要はある」としながらも、正確な前線へのフィードやゲームを読む力、柔軟性と対応力を称え、「今シーズンも最終ラインの中心として活躍する」とみているそうです。これは非常にうれしい評価なのですが、吉田麻也にとって、今季は香川以上に試練の1年になるでしょう。昨季終盤、ポチェッティーノ監督からの評価が下がってフォンテとホーイフェルト重視のフォーメーションになり、さらにこのオフにはオリンピック・リヨンからデヤン・ロブレンが入団。この新加入選手は間違いなく即戦力評価なので、残る1つの椅子を3人で争うことになります。

日本代表のゲームで初歩的かつ致命的なミスを連発している姿は、当然チームスタッフも見ているはずで、よほど奮起しないと「右SBでクラインの控え扱い」となりかねません。スランプというべき最近の不甲斐ない出来で、おそらく本人は精神的にもダメージを抱えているはず。切り替えてほしいとしか言いようがありませんが、緒戦のWBA戦での使われ方に注目です。

アストン・ヴィラが清武にオファーを出し、アーセナルが内田篤人に興味を持っているという話があるなか、今季の香川真司と吉田麻也の活躍度が、今後のイングランドにおける日本人選手の評価を大きく左右します。来年のワールドカップにつながるようないい結果を出していただき、プレミアリーグのトップクラブに当たり前に日本人選手がいるような世界を創ってもらえればと思います。そして、香川には、ぜひ背番号7をつけてほしい。もちろん、サポーターに望まれたうえで。