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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

リヴァプールとロジャースへの3つの疑問。

昨日のリヴァプールは、アウェイとはいえ、最下位レディングとスコアレスドロー。先週の段階で終戦と書きましたが、EL圏内の5位トッテナムとは、リヴァプールが1試合消化が多い状態で8勝ち点差、エヴァートンとは同じく5勝ち点差なので、EL出場は絶望的です。レディングとの戦いは、相手GKのアレックス・マッカーシーがいくらよかったとはいえ、格下のチーム相手に1点も奪えないという今季のリヴァプールの不振ぶりを物語るような試合でした。好不調の波が激しく、うまく守られると二の矢、三の矢が射てず、ストークやWBAなどの中堅チームに勝ち点を落とす。まだこのチームは発展途上ということなのでしょうか。振り返れば、今季、新監督が就任したときには、この数年は短期的な結果にとらわれ過ぎたという反省から、真に勝てるチームづくりをするべく長期的な視野で取り組んでいく、といった話がありましたね。

…で、どうなんでしょう、実際、今季のリヴァプールは。サポーターは、当然納得はしていないでしょう。目に見える果実を何も得てないわけですから。そのうえで、ロジャース監督にとって、あるいはリヴァプールの経営陣にとって、この状況は「想定内」「許容範囲」なのか、そうじゃないのか。チームと監督に、3つばかり問いたいことがあります。

1)リヴァプールは、めざしているサッカーに向かっているのか?
2)ロジャースのめざすサッカーと今のメンバーにはギャップはないのか?
3)1月の補強は、将来を見据えてというより、最低でもEL出場権を得るためではなかったのか?

いちばん気になっているのは3)で、要は「結局、短期的な成果だけを求めて失敗したシーズンになってませんか?」ということです。昨季、ロジャース監督がスウォンジーで確立し、後任のラウドルップ監督がリーグカップ優勝へと昇華させたパスサッカーは、今のリヴァプールとは異質なものに思えるのです。

昨年、スウォンジーを観た時に「あんな後ろからでも体制が悪くてもつなぐのか」と驚いたことを思い出します。とにかくポゼッションを大事にするサッカー。今季のリヴァプールも、当初はスウォンジーやバルセロナの香りが漂っていたのですが、最近は、4-4-2のときのマンチェスター・ユナイテッド以上に直線的なリアクションサッカーを展開しているように見えます。1月の補強も、ボールを持つのが好きなスタリッジとコウチーニョ。FWがいないという台所事情があったので、スタリッジは理解しますが、コウチーニョはどうだったのでしょう。彼は若く、これから伸びる逸材であり、リヴァプールにとってプラスであることは疑っておりません。しかし、ほんとうに欲しかったのは、ロシツキやダヴィド・シルヴァのようにシンプルに球をさばいて中盤を創ることができるオフェンシブハーフか、以前所属していたシャビ・アロンソのように、守りながらパスを散らしてジェラードの後ろへの負担を減らせるセントラルミッドフィールダーだったのではないでしょうか。

もしかしたら、サポーターのみなさんの間には、ブレンダン・ロジャース監督に対する懐疑的な見方もあるかもしれませんが、私は来季以降もがんばってもらったほうがよいと思います。今季は使える手駒も足りず、彼が望むタイプの選手も少なかったのではないかと想像します。そんななかで、よくやっているという評価ですが、いかがでしょう。

来季、ヨーロッパで戦えないとなると、スアレスの残留も怪しくなってきますし、キャラガーがいなくなり、ホセ・エンリケ、シュクルテル、アッガー、グレン・ジョンソンにスタメンが固定化されているディフェンス陣の改革も必要です。もし、今季は目先と将来をダブルで追いかけ、いずれも成果が薄いシーズンになってしまったとするならば、このオフのチームづくりがヤマ場です。以前にも書きましたが、このチームが強くないとプレミアリーグは盛り上がらないので、ぜひいい補強をしていただいて、来季こそ、(マンチェスター・ユナイテッドを脅かさない範囲で)がんばってもらいたいものです。

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“リヴァプールとロジャースへの3つの疑問。” への4件のフィードバック

  1. 皐月 より:

    はじめまして、皐月と申します。リバプールに関する記事をみつけ、質問が出ていたのでコメントしたくなりました。

    さっそくですが、質問を3つに分けてますが、結局は冬に取った選手の顔ぶれや最近のサッカーの仕方に納得できないんですよね?

    まず大前提として、ロジャースはスワンズ時代と全く同じビジョンを今も持ち続けてるわけじゃないです。初めは彼もそれまでのやり方を貫こうとしてましたが、彼がくる前から居たスアレスやジェラードらトップレベルの選手の個性があまりにも飛び抜けていたので、ポゼッションや中盤逆三角形のフォーメーションに固執しなくなりました。そして、自身のビジョンの中から、パス&ムーブという軸だけはブラさずににレジェンド達の資質を上手くすり合わせています。なので、ポゼッションかカウンターかなど大っぴらに表に現れている部分ではなく、少し深いところでは今まで通り目指すサッカーに向かっています。実際もポゼッションではほとんどの試合で相手を上回っているんですけどね。

    さらに、ロジャースが1シーズンかけて浸透させてきたパス主体のプレースタイルも最近花開きつつあります。特にスアレス、スタリッジ、コウチーニョ、エンリケの4人に顕著に見られ、ワンタッチでパスを交換しながらめまぐるしくポジションチェンジする姿をよく目にします。スタリッジとコウチーニョが既存の選手と見事に噛み合ってロジャースが目指すサッカーの具現化を一気に早めたこと、両者共に20歳を少し過ぎたくらいだということ。それらの事実を取っただけでも、二人はロジャースが何年も先まで理想のサッカーを体現してもらうために獲得したことは明らかです。今季のELを目標にするならもっと年上の即戦力になる選手を取ったはずですから。嬉しいことに二人も十二分に即戦力となりましたけどね。
    ちなみにロソツキやアロンソのような選手が必要だと仰いますが、それらの役割は、ロジャースは夏に獲得した愛弟子のアレンが担ってくれると思っていたはずです。また相手を押し込む上で内側に入ってSBの上がるスペースを作ったり、その上がってきたSBと絡んで崩すプレーのできるWGがいませんでしたのでコウチーニョは正しい選択でした。結果的にも。なので冬の時点では中盤の優先順位は高くなかったはずです。

    まとめると、ロジャースは初めてインターナショナルなクラブを率いるという挑戦をしながら、いたって一貫性のある指揮をしていると言えます。それを普段から見ているファンの中でも、長期的な視点に立ちすぎていないかという心配の方が圧倒的です。「来季CL出場権が取れなかったらスアレス出てってもおかしくない(・_・;」と。そういう意味でロジャースにそわそわさせられていますが、監督の方針を疑うような雰囲気は微塵もありません。

    リバプールは必ずや近いうちにトップクラスに戻りますから、もう少しだけ待ってください!

    長文失礼しました。

  2. makoto より:

    Twitterから。
    コメントします。

    確かにスタリッジ、コウチーニョとってサッカーはだいぶ変わってしまいましたね。
    冬と比べても、個に頼りすぎるせいか攻撃時のパス回しでも選手間がかなり遠くなってます。
    スタリッジも昨日の試合、流れたボールを受ける、って場面が多かったですし、パスの本数自体が減ってる気します。
    あとレイナからロングフィードも増えましたしね。

    やはりリバプールにあったサッカー(現戦力で最もベストな戦い方)というものに変えた、って感じがありますね。
    スワンズの場合、本当に1からやり始めたと思うのであそこまでパスサッカーが浸透してるんでしょうけど、やはりうちは裏事情があるんでしょうね。
    ただ1月ごろは本当にいいサッカーしてたんですけどね…

    あと、少し余談ですがアレンの離脱がここにきて響いてそうです。
    アレンでだいぶ細かーいパスが多かった時に比べてサッカー自体が変わりましたね。
    ヘンドを否定するわけではないですが、ジェラード、ヘンドともに前線では動き出してもらう選手なのでパス出しがジェラード1人になってるんですよね。
    それだとだいたいが同じ攻撃になる、かまたはスアレスが引かざるをえなくなるか、なんですよね。

    簡単な結論を言うとパサー、とくにショートのパサーがいなくなったことでサッカーが変わった気が僕にはします。

    長々とすいませんでしたf^_^;

    —–
    皐月さん>おっしゃっていることは理解しました。ロジャースに賛同し、支援しているファンが、皐月さんからご覧になると多いのですね。私も、ロジャース監督が長期的な視野を「まったく失った」とは思っていないので、お話の内容についてはわかる部分が多いです。
    ただし、結果が出ていませんね。コンビネーションが局所的で、むしろカウンター気味に少人数で入っていったときのほうが点が獲れている、という印象があり、少なくとも今のままでは上位はめざせないんじゃないかと思っています。とはいえおっしゃるように、来季以降の躍進に期待しますね。
    ちなみに、誤解があるようですが、私は「今季のEL目標」とはいっておらず、「最低でも来季のEL出場権」といっています。これが獲れないといい選手が来ず、流出リスクも一気に上がるので。

  3. makoto より:

    mekonさん>そうなんです。私も、個に頼りすぎているように思います。パスがうまくまわるのも、極めて少人数のコンビネーションなんですよね。コウチーニョもスタリッジも巧いのですが、ややもすると即興的で、サウサンプトンの攻撃に似ているなと思ったりします。
    なるほど、アレンですね。彼の影響はあまり考えていませんでした。もしそうなら、来季、体制が万全になり、いくつかいい補強ができれば、いいほうに変わりそうですね。楽しみです。

  4. 皐月 より:

    お返事有難うございます。
    前回の私のコメントについて。根本的な誤解がありました。makotoさんは「1月の補強は、…最低でもEL出場権を得るため」に動くべきと考えていたのですね。しかし私が認識しているロジャースの方向性は「将来を見据えて」の方であり、makotoさんはロジャースの動きをそうは捉えてなかったのだとようやく気付きました。食い違ってしまい申し訳ないです。話を戻しますと、事実として、ロジャースは6位以内(EL出場権内)が目標だと公言したことは一度もありません。なので、3)の問いには改めて「違います、将来を見据えた補強のはずです」と答えさせて頂きます。
    コンビネーションが局所的というご指摘は、全くもってその通りです。その意味で重ね重ね問2)の答えも「ギャップがある」と言えます。しかしそれについて、ロジャースは夏の補強に関して「時間が足りなかった」と言っています。なので、元々リアクションサッカーをしていたリバプールに来てから、シーズン前半はほとんど望む選手がいなかったはずです。むしろ冬の移籍でちゃんと吟味した上で選手を獲得し、その選手たちが局所的ではあってもいい連携を築いているので、ロジャースがリバプールでやりたかった(あるいはやるべきと判断した)サッカーは今のサッカーだと言えなくもない。
    何れにせよ、makotoさんの考えている以上にリバプールは今年よりも来年、来年よりも再来年を見ていると思います。だからmakotoさんが期待しているような結果はすぐには出ないでしょう。そして前回のコメントに書いたとおり、ロジャースのサッカーは少しずつ変容しています。それに恐らく、まだまだロジャースの望む質の選手は少ない。だから本当にロジャースがリバプールをどうして行きたいか、その明確な道筋は夏の補強でどんな選手を獲得するかまで見えてこないように思います。

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