イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

なぜサウサンプトンは、上位ばかりを喰い続けるのか?

ゲームを観られなかったので、観戦記でなくこちらで。3連勝中で、11位にまで順位を上げたサウサンプトンは、ホームにウエストハムを迎えた第33節、1-1とあっさりドロー。勝ち点1を積み上げて降格ゾーンに7差としたのはいいのですが、当然、この勢いでセント・メアリーズでのホームゲームなら勝つだろう、と思っていた私は多分に拍子抜けしました。

2月以降、セインツが勝ったチームはマンチェスター・シティ、リヴァプール、チェルシー、レディング。一方で、ウィガンやノーウィッチに引き分け、QPRにはホームで負けています。1月にもチェルシーにアウェイで2-0から追いつき、アーセナルにシュートを打たせずドローに持ち込み、負けはしたもののマンチェスター・ユナイテッドを後半、防戦一方に追い込むなど、上位キラーぶりをいかんなく発揮しているのですが、ああ、それ以外のチームに弱いこと。なぜ、こんなことが起こるのでしょうか。中堅や下位に勝てれば、優勝だって狙える…そんなことはありませんね。いや、でも、しかし。

考えられることは、大きく2つです。ひとつは点の獲り方。彼らの得点は、カウンター気味に速く中央を突破するものが多く、サイドからの崩しが弱い。これは、相手に引いて守られると打ち手がなくなることを意味します。リッキー・リー・ランバートへのパスの出し手であるロドリゲス、パンチュン、ガストン・ラミレスは、テクニックがありドリブルやダイレクトプレーが得意である一方、あまりサイドに張ってパスを供給するタイプではありません。セインツの攻撃は、個の力で即興的に崩しにいくことで成立しており、組織的な攻撃に関しては未開発なのです。つまり、攻め込んでくる上位チームにはリアクションとしての少人数の速攻がはまるが、後ろで守ってくるチームには手をこまねいてしまう、ということ。これは、来季に向けての課題でもあり、チームづくりが進めば楽しみな伸びしろでもあります。

もうひとつは、ディフェンス陣が高さとフィジカルに弱い、ということ。実は現在、プレミアリーグのトップクラブで「ヘディングの強さが特徴の長身FW」はジェコだけ(強いていえばアデバヨル、ですかね)。アタッカーには小柄な選手が多く、ファン・ペルシやF.トーレス、デンバ・バ、ジルーなど、身長があるFWも多くが足元派です。2トップのチームは、ふたりのうちどちらかがヘディングがウリだったりするのですが、ワントップだと、MFやサイドプレイヤーの飛び出しからの得点が狙いとなるので、クロスを頭に合わせられることより、追い越してくる選手にいいパスを出せたり、落としやスルーパスを足元でうまく活かせることのほうが重要になるのでしょう。今のプレミアリーグは、上位はすべてワントップ(マン・ユナイテッドは併用ですが)&足元派重視です。

セインツのCB、吉田麻也やフォンテは、ヨミやカバーリングのよさで守るタイプで、クロスを放り込み、ガツンガツン頭で競り合おうとするフィジカル勝負のチームを苦手としているところがあります。上位チームのパスワークには組織的な守備で対抗するのですが、中位~下位のクラシックなイングランドサッカーに結構やられちゃうんですよね。アンディ・キャロルのウエストハムに1分け1敗5失点、ストークに3失点と失点の多さも目立ちます。

「上位いじめ大好きで下位に弱い」というのはキャラ的にはおもしろいのでそのままでもいいのですが、来季強くなろうとすれば、「サイド攻撃におけるプレイヤーと戦術の強化」「現在ボスフェルトしかいないハードマーカーのCBもしくは守備的MFの補強」がポイントです。おもしろいサッカーをしてくれるチームで、吉田麻也が活躍しているのでついつい応援してしまいます。今季、残留を決めていただいて、来季はもっと強いセインツとさらに成長した吉田麻也を観られることを期待しています。

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