2023.02.08 リヴァプールの話題
キーマン移籍、負傷者続出、クロップは…!? 8年前のドルトムントと現在のリヴァプールの共通項。
「チャンピオンズリーグはOK。ノックアウトラウンドに進むことができた。しかしリーグ戦では、適切な姿勢を欠いているのではないかと思わされた。負のスパイラルに陥り、ぐるぐる回って落ちていく。そこから抜け出すことができなかった」
「同じような試合展開で負け続けていた。カウンターアタックに非常に弱い。ポゼッション率が高く、何度もチャンスを作ったけど、2~3回の反撃で1-0、2-0と負けてしまう試合ばかりだった」
当時の状況を述懐するのは、ピーター・クラヴィッツ。2022年4月に、ユルゲン・クロップ監督とともにリヴァプールとの契約を延長した腹心です。彼が語っているのは、プレミアリーグで10位に沈む今季のレッズの話ではありません。前半戦を終えた直後に最下位という信じられない混乱に陥った、2014-15シーズンのドルトムントの内情です。
ドルトムントで苦しんだ7年めのシーズンと、リヴァプールで7年を過ぎたばかりの今季に共通項があるというのは、「スカイスポーツ」のリチャード・モーガン記者です。BVBの前シーズンはリーグ2位、DFBポカール2位。4冠を追ったレッズもプレミアリーグでは2位ですが、CLでファイナルに進出し、FAカップとカラバオカップを制しています。
両者ともに、王者を追い詰める最有力候補と目されたシーズン。しかし、万全とはいえない体制で始まった1年でもありました。ドルトムントは、リーディングスコアラーのレヴァンドフスキが退団。リヴァプールは、最強フロントスリーのサディオ・マネを失っています。2人の行き先は、奇しくも同じバイエルン・ミュンヘンでした。
開幕戦をホームで落としたBVBは、6節からすべて1点差で5連敗を喫し、17位に転落。開幕からの3試合を勝利なしで過ごしたレッズは、降格ゾーンにいたノッティンガム・フォレストとリーズに敗れ、順位テーブルの真ん中を浮遊しています。8年前の指揮官の発言は、現在のレッズを形容しているかのようです。
「The worst injury crisis in the history of football(フットボール史上最悪の負傷者危機)」
ドイツとイングランドのクラブを並べた「スカイスポーツ」の記者は、不振の理由について、「ひとりのキープレーヤーの離脱より、はるかに深いところに問題があった」「数名の主力の負傷に悩まされ、望むようなローテーションが組めなかっただけでなく、過密日程のために練習時間が減少。問題が積み上がって悪循環に陥っていた」とレポートしています。
悪戦苦闘を強いられた指揮官が、何度もレフェリーを非難し、レッドカードや罰金を喰らったのも共通項。プレスルームでチームの不甲斐なさを嘆き、鋭い質問を投げかけた記者を叱責し、ときにガン無視したあたりも、タイムスリップしたかのようです。
そしてもうひとつ、胸がざわつく符合があります。ドルトムントの7年めも、レッズの7回めのフルシーズンも、契約延長から1年も経っていなかったのです。ドイツでの新契約は2013年10月で、シーズンインが翌年8月。レッズは10ヵ月前の2022年4月です。
優勝候補だったチームでCL出場権獲得を逃した48歳のクロップは、シーズンを終えた後、双方合意のうえで契約解除という結末となりました。つい先日、「以前は7年で辞めた。今も難しい状況にあり、みんなはそういう見方をするけど、状況はまったく違う」と辞任を否定した55歳は、欧州へのチケットを得られなくても、指揮を取り続けるのでしょうか。
エミレーツに掲げられた「ヴェンゲルアウト」のバナーを苦々しく思っていた私は、クロップ解任論にも同じ感情を抱いています。素晴らしいプレッシングと強力なフロントスリーを武器に、プレミアリーグとチャンピオンズリーグを制した名将には、それなりの去り際があるべきだと思うのです。
CLといえば、9月にチェルシーを追われたトーマス・トゥヘルも…。おお、トゥヘル!ドルトムントでクロップの後を継いだ指揮官は、現在充電中です。2015年のドイツと、2023年のイングランドは、もうひとつ共通項を付け足すのか。クロップ去りし後のドルトムントは、DFBポカールを2回制しただけで、未だビッグタイトルを獲っていません。
「同じような試合展開で負け続けていた。カウンターアタックに非常に弱い。ポゼッション率が高く、何度もチャンスを作ったけど、2~3回の反撃で1-0、2-0と負けてしまう試合ばかりだった」
当時の状況を述懐するのは、ピーター・クラヴィッツ。2022年4月に、ユルゲン・クロップ監督とともにリヴァプールとの契約を延長した腹心です。彼が語っているのは、プレミアリーグで10位に沈む今季のレッズの話ではありません。前半戦を終えた直後に最下位という信じられない混乱に陥った、2014-15シーズンのドルトムントの内情です。
ドルトムントで苦しんだ7年めのシーズンと、リヴァプールで7年を過ぎたばかりの今季に共通項があるというのは、「スカイスポーツ」のリチャード・モーガン記者です。BVBの前シーズンはリーグ2位、DFBポカール2位。4冠を追ったレッズもプレミアリーグでは2位ですが、CLでファイナルに進出し、FAカップとカラバオカップを制しています。
両者ともに、王者を追い詰める最有力候補と目されたシーズン。しかし、万全とはいえない体制で始まった1年でもありました。ドルトムントは、リーディングスコアラーのレヴァンドフスキが退団。リヴァプールは、最強フロントスリーのサディオ・マネを失っています。2人の行き先は、奇しくも同じバイエルン・ミュンヘンでした。
開幕戦をホームで落としたBVBは、6節からすべて1点差で5連敗を喫し、17位に転落。開幕からの3試合を勝利なしで過ごしたレッズは、降格ゾーンにいたノッティンガム・フォレストとリーズに敗れ、順位テーブルの真ん中を浮遊しています。8年前の指揮官の発言は、現在のレッズを形容しているかのようです。
「The worst injury crisis in the history of football(フットボール史上最悪の負傷者危機)」
ドイツとイングランドのクラブを並べた「スカイスポーツ」の記者は、不振の理由について、「ひとりのキープレーヤーの離脱より、はるかに深いところに問題があった」「数名の主力の負傷に悩まされ、望むようなローテーションが組めなかっただけでなく、過密日程のために練習時間が減少。問題が積み上がって悪循環に陥っていた」とレポートしています。
悪戦苦闘を強いられた指揮官が、何度もレフェリーを非難し、レッドカードや罰金を喰らったのも共通項。プレスルームでチームの不甲斐なさを嘆き、鋭い質問を投げかけた記者を叱責し、ときにガン無視したあたりも、タイムスリップしたかのようです。
そしてもうひとつ、胸がざわつく符合があります。ドルトムントの7年めも、レッズの7回めのフルシーズンも、契約延長から1年も経っていなかったのです。ドイツでの新契約は2013年10月で、シーズンインが翌年8月。レッズは10ヵ月前の2022年4月です。
優勝候補だったチームでCL出場権獲得を逃した48歳のクロップは、シーズンを終えた後、双方合意のうえで契約解除という結末となりました。つい先日、「以前は7年で辞めた。今も難しい状況にあり、みんなはそういう見方をするけど、状況はまったく違う」と辞任を否定した55歳は、欧州へのチケットを得られなくても、指揮を取り続けるのでしょうか。
エミレーツに掲げられた「ヴェンゲルアウト」のバナーを苦々しく思っていた私は、クロップ解任論にも同じ感情を抱いています。素晴らしいプレッシングと強力なフロントスリーを武器に、プレミアリーグとチャンピオンズリーグを制した名将には、それなりの去り際があるべきだと思うのです。
CLといえば、9月にチェルシーを追われたトーマス・トゥヘルも…。おお、トゥヘル!ドルトムントでクロップの後を継いだ指揮官は、現在充電中です。2015年のドイツと、2023年のイングランドは、もうひとつ共通項を付け足すのか。クロップ去りし後のドルトムントは、DFBポカールを2回制しただけで、未だビッグタイトルを獲っていません。
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