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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「次期監督候補にオファー」ひとつの時代を終えるリヴァプールに期待する圧巻のラスト・ダンス。

12月から撮影が開始されていたドキュメンタリーは、ユルゲン・クロップが退任を発表したことによって、歴史的な勝利と感動的なシーンが加えられる予定でした。撮影スタッフと選手たちは、その作品を「ラスト・ダンス」と呼んでいたそうです。 1990年代にNBAを席巻したシカゴ・ブルズと稀代のスーパースター、マイケル ジョーダンの軌跡を辿った「Netflix」の名作です。

プレミアリーグとチャンピオンズリーグをはじめ、すべてのタイトルを制した指揮官がマージーサイドでのキャリアにピリオドを打つと宣言したのは、1月末のことでした。それからの6週間は、順調に撮影は進んだのではないでしょうか。チェルシー撃破、カラバオカップ戴冠、マン・シティとの激闘、EL圧勝。アーセナル戦以外に、省略したくなる映像はなかったはずです。

スタッフが構成の変更を強いられたのは、3月になってからです。年明けから14勝2分1敗と絶好調で、ヨーロッパリーグのラウンド16を悠々と突破したチームは、マンチェスター・ユナイテッドと戦ったFAカップ準々決勝で今季初の4失点を喫しました。以来、9試合で4勝1分4敗。熱狂と感動のドキュメンタリーは、最近の失敗をどう扱うかを考えなければなりません。

リヴァプールはなぜ、息切れしてしまったのでしょうか。ウェンブリーのカラバオカップ決勝は120分の死闘で、緊張感が高いペップとのゲームはぎりぎりのドロー。コップになみなみと注がれた水は、オールド・トラフォードの120分の激闘によって、零れ落ちてしまったように見えます。アタランタに0-3、クリスタル・パレスに0-1。アンフィールドの連敗は衝撃でした。

アーセナル、マン・シティの足跡と比べると、大きな違いが3つあります。ひとつめは、負傷者の数。アルテタはレギュラーの長期離脱がなく、前半戦でデブライネの穴を埋めたペップはハーランドの不在も切り抜けました。一方、チアゴ、マティプ、ロバートソン、アーノルド、アリソンなど、あまりにも負傷者が多かったレッズは、チームを支えていた選手が不振に陥ってしまいました。

2つめは、1月のスケジュールです。既にカラバオカップで敗退していたガナーズとマン・シティは、フラムとの準決勝2試合を戦ったレッズより、ウインターブレイクを2日多くもらっています。年末に3連敗を喫していたアルテタは、1月7日からの3週間はクリスタル・パレスとのロンドンダービーのみ。ゆったりスケジュールを活用し、ドバイ合宿でリフレッシュしています。

3つめは、アフリカネーションズカップとアジアカップの影響です。ペップは派遣ゼロ。アルテタは冨安健洋とトーマスを送り出しましたが、キヴィオルとジョルジーニョがいれば問題ありません。クロップが失ったのは、チームのキーマンだったサラーと遠藤航。コートジボアールで負傷したサラーは6試合を欠場し、直近の7試合はPK2発しか決めていません。

ダルウィン・ヌニェスもマン・シティ戦以降の7試合は1ゴール。ショボスライは前半戦とは別人のように、運動量と継続性が落ちています。遠藤航も、絶賛された2月までのパフォーマンスを取り戻せず。ロバートソンは、プレミアリーグと欧州を制したときのレベルではありません。今までと変わらず戦えているのは、ルイス・ディアスとマック・アリスターぐらいでしょう。

最後のマージーサイドダービーは、セットピースでことごとく競り負け、2-0で完敗。31節のマンチェスター・ユナイテッド戦まで、ゴールレスのフィニッシュが1回しかなかったチームは、直近5試合のうち3つがノーゴールです。主力が踊らなかった最後のグディソン・パークも、「ラスト・ダンス」には不要な映像なのかもしれません。

「スカイスポーツ」など複数メディアが「フェイエノールトのアルネ・スロット監督に正式オファー」と伝えています。サラー、フィルミーノ、マネ、ファン・ダイク、ファビーニョ、ヘンダーソン、ワイナルドゥム、アーノルド、ロバートソン、アリソン…黄金時代を築いた名将がカラバオカップのみは、少し寂しい去り際ですが、新監督にとっては悪くないバトンタッチです。

冒頭のドキュメンタリーについて伝えた「アスレティック」のジェームズ・ピアース記者は、スロット監督が前向きであると伝えたうえで、「彼の攻撃的なスタイル、若いタレントを育てた実績、パンチの効いたパーソナリティのすべてが、このポストにふさわしいと考えられている」とレポートしています。

「責任は重大だ。しかしクロップの治世の最終段階で、いくつかの弱点が露呈している。ひとつの時代が終わり、また新たな時代が始まる」。記事を読みながら、祭りの後の寂しさを振り払う最良の手段は、未来に思いを馳せることと、あらためて感じました。それでも最後にもう一度、あの頃の興奮を思い出させる圧巻のラスト・ダンスを


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