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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ジョエル・マティプとチアゴ・アルカンタラ。苦しい季節を過ごしたベテランたちの惜別のメッセージ。

「リヴァプールでの8年間は素晴らしいものだった。並外れたクラブ、驚くべきチーム、偉大な監督とともに、エキサイティングな歴史の一部になれた。凄いタイトルを獲得し、世界最高のファンを持つこともできた。クラブを支える唯一無二の人たち、リヴァプールFCを愛するファンと一緒に経験した素晴らしき時間に、感謝の気持ちでいっぱいだ」(ジョエル・マティプ)

「感謝といたわり。2つの言葉が、レッズのみんなに別れを告げなければならない日に、2つの言葉が頭に浮かんでいる。ありがとう。この街、クラブ、コミュニティの一員でいられたことに感謝している。アンフィールドの声援、コップのチャント…最初の日から受け続けたサポートは信じられないものだった」(チアゴ・アルカンタラ)

ラストステージを迎えるユルゲン・クロップ監督とともに、チームを支えた2人のベテランがお別れのメッセージを残しています。ファン・ダイクとのコンビで最終ラインの主軸となったジョエル・マティプと、類まれなるパスワークでフロントスリーを動かしたチアゴ・アルカンタラ。両者ともに、2023-24シーズンは不本意な1年となってしまいました。

シャルケ04からリヴァプールに移籍したのは、2016年の夏。以来、公式戦201試合に出場したマティプにとって、マージーサイドで過ごした8年は体の痛みに耐えながらの戦いでした。初年度は足首、2年めはハムストリング、その後は鎖骨、膝、足首、太腿、ふくらはぎ…。唯一、負傷がなかった2021-22シーズンも、コロナウイルスに感染して欠場を強いられています。

今季は12月のフラム戦で前十字靭帯断裂の重傷を負い、シーズンアウト。優勝を争うチームを外から見守るしかありませんでした。試合に出られないつらさと不安については、チアゴ・アルカンタラのほうがより多くを語れるのかもしれません。4年間の在籍で公式戦出場は98試合に留まり、股関節と筋肉のトラブルに見舞われた今季は、プレミアリーグの出場は5分のみです。

リヴァプールに来てから、シーズンを通じて活躍したといえる時期がないセントラルMFには、悔しさと安堵が同居しているのではないでしょうか。2020-21シーズンと2022-23シーズンは、自らが元気な時にチームが不振に陥り、タイトル獲得の喜びと手応えを得られたのは2022年のFAカップファイナルだけでしょう。

「僕にとっても家族にとっても学びの時間だった。勝ったり負けたり、しかし間違いなく人生を変える経験だった」。チームメイト、監督とコーチ、スタッフ、サポーターに感謝の意を伝えるメッセージには、苦闘による心の傷跡が滲む言葉がこぼれ出ています。今はただ、曇天続きのイギリスの晴れ間のように時折見せてくれたスーパープレイを称えるしかありません。

最高の瞬間は2021年11月25日、CLグループステージのポルト戦で決めたダイレクトのミドルシュートでしょう。テニスのスライスショットのようにボールに逆回転を与えた一撃は、ピッチをかすめて浮き上がり、右のサイドネットに突き刺さりました。キャリアを通じて、リーグ戦30試合出場が1回しかない不遇の天才に、輝ける瞬間が再来することを願っています。

2024年5月19日18時。アンフィールドのウルヴス戦がタイムアップを迎える時間です。クラブにすべてのタイトルをもたらした指揮官と、必死に戦い続けたCBとMFは、晴れやかな笑顔を見せてくれるでしょう。ひとつの時代の終わりが、ようやく現実感を帯びて目の前に迫っています。ありがとうの言葉は、彼らの顔が映し出されるまで、もうしばらくしまっておきましょう。


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