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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

モウリーニョやポチェッティーノが辿った道…ミケル・アルテタは目前の危機を乗り越えられるのか?

「アーセナルは、今季プレミアリーグで6回めのノーゴールで、61年ぶりのホーム4連敗」。0-1で敗れるまでのプロセスを書き終えてから、雑感をまとめるまでに1時間以上もかかってしまいました。直近のプレミアリーグ8試合で、オーバメヤンのPKとショートコーナーでしかゴールを決めていないチームを、息を詰めて見つめるグーナーの気持ちを慮ったのが最大の理由です。プレミアリーグ4節のシェフィールド・ユナイテッド戦の64分にニコラ・ペペが決めてから、オープンプレーからのゴールを12時間32分も見ていないサポーターの悔しさと寂しさは、汲み取ることはできても実感はできません。

アーセナルが憎らしいチームであれば、即座にドライにまとめて終われたのだと思いますが、ミケル・アルテタに期待していた者として、言葉を失ってしまったのです。結局は、感じたことを率直に記すしかないのですが、レポートを投稿した後も、盛り上がらない「たら・れば」しか書けなかったという苦い思いを払拭することはできませんでした。気持ちの整理がついてから、強く残ったのは、「最も与しやすい相手だったバーンリーに、なぜ負けてしまったのか」という素朴な疑問でした。

今季プレミアリーグで最少の5ゴール、直近の7試合でわずか2ゴール。昨季プレミアリーグで14ゴールをゲットしたクリス・ウッドは2ゴールに留まり、8発を叩き込んだジェイ・ロドリゲスは未だノーゴール。リーグ18位のチャンスクリエイト62回に留まっていたアーセナルに対して、バーンリーはさらに下回る57回しか記録していません。ガナーズより重そうなゴール欠乏症を患っていたバーンリーは、ガナーズに対する苦手意識が強く、心理的に優位に立てる相手でもありました。

1974年9月以来、ハイバリーとエミレーツで戦ったアウェイゲームは4分11敗、ショーン・ダイクが率いた10試合は1分9敗。試合前のプレスカンファレンスでは「彼らに対して、何年も結果を出していない」「彼らはまだトップサイドであり、大金を費やして非常に優秀なプレーヤーを獲得した」と、率直にリスペクトしていたほどでした。押し込まれるのは間違いなし。頼みの綱はCKやFKですが、アーセナルは今季プレミアリーグでセットピースからの失点がない唯一のチームでした。オーバメヤンはバーンリー戦で5戦7発。プレミアリーグに来てから、最も多くのゴールを決めている相手です。

ぎこちないビルドアップは気になったものの、何度もチャンスを創った試合で、アーセナルはなぜ勝てなかったのでしょうか。「スカイスポーツ」のニック・ライト記者は、強引なシュートを連発してCKに逃げられた12分のシーンを例に挙げて「サイドにおける自信の欠如」と表現。ジャカのレッドカードで、ゲームがフラットになってしまったとレポートした「BBC」のジャーナリスト、シャムーン・ハフェツさんは、「アルテタ就任以来のレッドカード6枚は、他のクラブの2倍以上」と指摘しています。

オーバメヤンは、バーンリー戦の8発めを自らのゴールに入れてしまい、今季プレミアリーグでセットピースから失点した最後のクラブとなりました。勝利よりも「負けないこと」「追加点を奪われないこと」を重視したようなアルテタ采配も、1-0とされてからはチームの意志疎通を欠く要素となってしまったのではないでしょうか。エンケティアとメートランド=ナイルズに何を託したのか、遠めから放り込むのかサイドを崩すのか。焦れば焦るほどにパスとシュートの精度を欠き、アーセナルはバーンリーに初勝利をプレゼントすることになりました。シュート18本は、アーセン・ヴェンゲル退任以来、ノーゴールのゲームにおける最多本数です。

「フットボールロンドン」は、「アーセナルはロッカールームの危機に直面している」と報じています。エジルとパパスタソプーロスの登録除外や、頭突きで退場となったニコラ・ペペに対する厳しい叱責が、チームのモチベーションダウンにつながっているとのこと。7200万ポンドのウインガーは、「トレーニングで集中してプレイしても、週末は途中出場となってしまう」と出場機会の少なさを嘆き、プレミアリーグで出番がないウィリアム・サリバは、チームを離れたグエンドゥジに対して「Locked up!(閉じ込められている)」とメッセージ。将来を嘱望されていた19歳のCBには、冬に放出されるという噂が出回っています。

最近のニュースやゴシップを目にしながら、2015-16シーズンのチェルシーで4勝3分9敗という絶不調に陥ったジョゼ・モウリーニョを思い出しました。負けが重なるごとに自信とモチベーションを失い、さらなる敗戦を呼び込んでしまう悪循環。欧州のグループステージでは別なチームのように好調だったのも、あの頃のブルーズと似ています。煽情的な楽屋裏のゴシップが事実かどうかはわかりませんが、こういったネタが流布されるようになった後に立て直した指揮官が少ないのは事実です。

1年前、3勝5分4敗でプレミアリーグ12位に転落したポチェッティーノが解任の憂き目に遭ったときは、エリクセンの移籍問題とデル・アリの欠場に続いて、厳しすぎるトレーニングに選手たちが音を上げたと報じられました。主力の不振の連鎖、保有選手のダブつき、影響力がある選手の出場機会減少、不協和音ゴシップ…FAカップを制覇したスペイン人指揮官は、プレミアリーグ2014-15シーズンを制したポルトガルの名将や、CLファイナルに進出したアルゼンチン人が辿った道をトレースしているように見えます。どんなに素晴らしいヴィジョンがあっても、選手の信頼関係が壊れたら、結論はひとつしかありません。次節はセインツ、続いてエヴァートン。難敵に連勝できるのか、連勝すれば立ち直れるのか…。


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