イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

公式戦連勝の世界記録まであと8勝!「ペップ史上最強」は今季か、あのチームか!?

「これはおそらく、われわれがキャリアで成し遂げた最大の成果のひとつだね」。プレミアリーグ26節のウェストハム戦を2-1で終え、公式戦20連勝を達成したペップ・グアルディオラのコメントです。「we」ということは、「マンチェスター・シティで」と解釈するのが妥当でしょう。こんなことをいわれると、今季のチームはペップにとって何番めに強いのかが気になってきます。

最強チーム候補の筆頭は、指揮官としての最初のシーズンだった2008-09シーズンのバルセロナか、あるいは2度めのビッグイヤー獲得となった2010-11シーズンか。前者はスペイン時代で最多のリーグ戦105ゴールを挙げた攻撃力で3冠獲得、後者はラ・リーガとCLの2冠ながら30勝6分2敗で21失点。マスチェラーノが加わった守備の完成度が高まった感があります。

思い出したくない話ですが。ペップの2度の欧州制覇において、いずれもファイナルで完敗したマンチェスター・ユナイテッドのサポーターとしては、クリスティアーノ・ロナウド、ルーニー、テベス、ベルバトフを擁してゼロに抑えられた2008-09シーズンのほうがショックが大きかったと記憶しています。あのシーズンのCLは、12戦無敗でスタディオ・オリンピコに乗り込んだのですが…これ以上話し続けると、涙が止まらなくなるのでこのへんで切り上げましょう。

欧州のメインストリームとなったポゼッションサッカーを世に知らしめた2008-09シーズンは、サッカーファンにとってもバルサにとってもエポックだったのは間違いありません。2013-14シーズンから指揮を執ったバイエルンでは、試合中に幾度となくシステムが変わる変幻自在のフォーメーションに磨きがかかりました。ロッベン&リベリーがサイドから仕掛け、右SBのラームが中盤センターに加勢するスタイルは、2014年のレヴァンドフスキの入団で戦い方の幅が広がった印象です。

ドイツで最も完成度が高かったのは、自らが前年に打ち立てたブンデスリーガ最少失点記録をひとつ更新する17失点で独走した2015-16シーズンだと思われますが、2年連続でベスト4止まりだったCLでファイナルに進むことはできませんでした。セミファイナルでペップをストップしたのは、ディエゴ・シメオネ率いるアトレティコ・マドリード。ファーストレグはサウール・ニゲスに3人抜きを喰らって1-0。セカンドレグはフェルナンド・トーレスとグリーズマンのカウンターでアウェイゴールを喫し、トータル2-2の悔しい敗退となりました。

2016年からのマンチェスター・シティでは、32勝4分2敗で勝ち点100、シーズン106ゴールなど数々のレコードを塗り替えた2017-18シーズンが最強でしょう。プレミアリーグの新たな潮流となったチームは、ポゼッションとカウンターのスイッチングが巧みでバランスに優れたスタイルでした。2018-19シーズンのマン・シティも、シーズン1敗のリヴァプールの追撃を凌いだ素晴らしいチームでしたが、イングランドに来てからのペップはCLではベスト8が最高です。

初年度はラウンド16でモナコに敗れ、リーグ連覇の2年はリヴァプールとトッテナムの速攻にやられました。昨季はリヨンにまさかの1-3。ラポルテのパスミス、スターリングの絶好機逃し、エデルソンのファンブルなどが積み重なった結果でしたが、カウンターに対して脆さを見せるハイラインは、バルサ、バイエルン、マン・シティの共通の弱点に感じられました。

2020-21シーズンのマン・シティは、プレミアリーグ序盤の12試合を5勝5分2敗と停滞しましたが、ルベン・ディアス、ジョン・ストーンズ、ジョアン・カンセロ、ロドリの連携のクオリティが上がると、無敵のチームに変貌を遂げました。カウンターに対する強度は、2008-09シーズンのバルサよりも上でしょう。彼らが「ペップの採用チーム」と呼ばれるようになるためには、ビッグイヤーを含む3冠達成は必須条件。ここまで来たら、4冠達成&連勝記録&無敗記録を根こそぎさらっていただければとすら思えてきます。

男子サッカーにおける公式戦連勝のワールドレコードは、2016年12月にウェールズのザ・ニュー・セインツが記録した27連勝。現在20のペップが31節のリーズ戦まで勝ち続ければ、偉大な記録を塗り替えることになります。公式戦27試合連続無敗のほうは、シーズン終了まで負けなければ49に伸び、1915年から17年に62試合無敗を続けたセルティック、1933~35年に60試合無敗だったベルギーのユニオンSGに続く歴代3位となります。連勝よりも、こちらのほうが現実的かもしれません。

彼らはペップ史上最強なのか、勢いで勝ち続けた欧州屈指の強豪という表現に留まるのか。その答えを教えてくれるのは、プレミアリーグのクラブではなく、昨季のチャンピオンズリーグを全勝で制した古巣バイエルン・ミュンヘンなのではないでしょうか。これだけ勝ち続けながら、さらなる進化を追い続ける姿勢には感動を覚えます。どうなるか、見てみましょう。1週間後に彼らとダービーを戦うチームのサポーターが、記録達成にワクワクしている場合ではないのは重々承知しつつ。


おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“公式戦連勝の世界記録まであと8勝!「ペップ史上最強」は今季か、あのチームか!?” への1件のコメント

  1. ペップの街 より:

    更新有難うございます。史上最強のペップのチームはどれか⁉️ペップの狂気に浸っている身としては魅力的な考察であり、酒の肴でもあります。私としてはバルサを推さざるを得ません。それくらい見てて楽しいサッカーでしたし、革命的だったと思います。クライフのサッカーを更に進化させて実現したペップが今現在指揮するシティでCLをもぎ取ることを熱望しています。今季が最大のチャンスなんでしょうが、こればっかりは運もあるし。

コメントを残す