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プレミアリーグ、FAカップ、CLも…!? ペップVSトゥヘル、現在のプレミアリーグ最強はどっちだ?

プレミアリーグ35節、FAカップ準決勝、そしてチャンピオンズリーグファイナル。欧州を舞台にした決戦は、準々決勝とセミファイナルを勝ち抜けばという条件付きですが、私たちはシーズンの最後に極上の勝負を3つも堪能できる可能性があります。マンチェスター・シティVSチェルシー、現在のプレミアリーグ最強決定戦。ペップ・グアルディオラとワールドクラスの選手たちの4冠を阻むのは、トーマス・トゥヘル率いる堅守の新チームかもしれません。

2021年1月26日に、ウェストロンドンにやってきたドイツ人指揮官の戦績を振り返ってみましょう。プレミアリーグ10試合6勝4分、11ゴール2失点。FAカップ5回戦のバーンズリー戦は敵地で0‐1、準々決勝のシェフィールド・ユナイテッドは2-0といずれもクリーンシート。チャンピオンズリーグラウンド16のアトレティコ・マドリード戦も0‐1、2-0と失点を喫しておらず、14試合2失点&7試合連続クリーンシートは驚異的です。

同じ時期のマンチェスター・シティの数字もチェックしておきましょう。プレミアリーグは10勝1敗、28ゴール&6失点。乱暴かつわかりやすく表現すれば、「得点も失点も3倍」です。FAカップはスウォンジーとの5回戦を1-3、エヴァートン戦は2-0。CLのボルシアMG戦はホーム・アウェイとも2-0完勝で、15試合で7失点なら堅守のハンコを捺してもいいでしょう。守備の改善に成功したペップの足跡を辿ると、トゥヘルの2失点がいかに凄いかがよくわかります。

ルベン・ディアス獲得とジョン・ストーンズの覚醒というわかりやすい変化があったペップに対して、トゥヘルの堅城建設のほうも明快な改革がありました。3-4-2-1の導入、マルコス・アロンソ、アスピリクエタ、リュディガーの復活。新指揮官のマネジメントをレポートした「BBC」のアリステア・マゴワン記者は、「手を使ったミニゲームなど多彩なドリルを用いてトレーニングに明るい雰囲気を醸成した」「1対1のコミュニケーションスキルが極めて高い」と、モチベーターとしての能力も評価しています。

少なくとも2回は戦うことになっているペップとトゥヘルは、どちらに軍配が上がるのでしょうか。次の夏にトゥヘルの意向を受けた補強を経た後は、互角の勝負となるかもしれませんが、現在は完成度でペップが上回るのではないかと思います。新生チェルシーの弱点は、得点力。14試合を戦っても3ゴール以上の試合が1度もなく、オウンゴールとPKを引くと、複数のゴールを決めて勝ったのはたったの3試合です。

ジルー、ヴェルナー、タミー・アブラハムはトータル4ゴール。1試合あたり13.9本を放っていたランパード時代に対して、13.8本とシュートは減っておらず、ラストパス・ラストタッチの精度に問題があるようです。得点力不足について問われたトゥヘル監督は、「それは明らかに私のせいで、チームを変える責任がある」と、守備の改善を優先したことを認めています。真のプレミアリーグ最強決定戦は、新たな戦力でオフシーズンを過ごす来季以降と腹を据えているのでしょう。

ランパード解任時は、プレミアリーグ8勝5分6敗で9位。4位に引き上げたトゥヘルを見ると、前任者が経験・力量ともに足りなかったように映りますが、今季の前半戦のチェルシーは「クラブもランパードも急ぎすぎた」という表現のほうがしっくりきます。補強禁止処分が解けたクラブは、大量補強を敢行し、仕上がるまでに時間がかかるスカッドとなりました。イングランド代表のレジェンドだった若き指揮官が、チルウェルの後にデクラン・ライスの獲得を望んだのは、「同郷のスター&アカデミー出身者を中心とした最強チーム」を夢見ていたからではないでしょうか。

アスピリクエタよりリース・ジェームズ、マルコス・アロンソを排除してベン・チルウェル。19歳でチェルシーに加わったズマをセンターに配し、いずれはクリステンセンやフィカヨ・トモリ。中盤の中心はメイソン・マウントで、最前線はタミー・アブラハム。外国人のベテランが出番を失い、新戦力がフィットしていなかったチームが、どこかで停滞するのは不可避だったのではないかと思います。ハードな改革を志向した前任者によって、はみ出していた選手たちの不満を活力に変えたトゥヘル監督は、ペップに挑戦状を突き付けるポジションに一気に駆け上がりました。

話を戻しましょう。チームの完成度、攻撃力、個々のクオリティはマン・シティが上だと思われるのですが、実際に戦うとなると、堅守速攻のチームを苦手とするペップのチームが足をすくわれる可能性があります。プレミアリーグ、FAカップ、勝つのはどちらか。3度めの決戦は実現するのか。4ヵ月で1回しか負けていない監督と、就任以来無敗の監督の戦術対決が今から楽しみです。


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“プレミアリーグ、FAカップ、CLも…!? ペップVSトゥヘル、現在のプレミアリーグ最強はどっちだ?” への2件のフィードバック

  1. ペップの街 より:

    更新有難うございます。チェルシーの変わり様には驚くばかりですが、Makotoさんの見立て通りややシティに分ががあるように思えます。3回戦ってシティの2勝1敗か1分けかな。その1敗がリーグでの負けであれば問題なしです。
    今思い出されるのはコンテが率いていた頃のシティ-チェルシー戦で確か0-1ぐらいでシティが勝ったんでしたが、あの時チェルシーがもっと攻撃的に行けば勝ててたんじゃないでしょうか。それからの何年かを経て、シティは若手が台頭して世代交代が進み,チェルシーは道半ばという感じでです。

  2. トゥヘル信者 より:

    バックス3人+中盤2人によるビルドアップ、5レーンを綺麗に埋める配置、常に中盤に2人残すことによってカウンターのリスク管理による堅守などトゥヘルのチェルシーとペップのシティはかなり似たことをやってるように思えます。
    違うのはシティの方が配置は同じでもより選手同士の入れ替わりが多く流動性が高いことですかね。色んなタスクがこなせる万能性の高い選手の多さが要因でしょう。
    その点でシティの方に完成度は分があると思えます。
    チェルシーが上回っているとすればヴェルナーが担うロングカウンターでしょうか。
    直接対決でチェルシーの勝機があるとすればそのロングカウンターを上手く活かすか、ジョルジーニョコバチッチカンテのクオリティを活かしてボール保持で上回るかのどちらかでしょう。

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