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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

プレミアリーグ2022-23シーズンのスタッツ徹底チェック。ペップとアルテタはここまで似てる…!

ヴィエラ監督を解任したクリスタル・パレスについて、「スカイスポーツ」が興味深いスタッツ分析を行っています。1試合あたりの平均走行距離112㎞は、19位ノッティンガム・フォレストより4㎞も少ない圧倒的最下位。TOPのリーズとの11㎞差は、12人VS11人ぐらいのインパクトがあります。

平均スプリント本数112も、19位ウェストハムより10本以上マイナスの最下位。こちらで1位のニューカッスルは154本です。プレイを始める位置の深さは、ウルヴスを上回っているだけの19位で、昨季のプレミアリーグよりも1.84m下がっています。彼らよりラインが下がったのは、2.51mのリヴァプールのみ。レッズが不振に陥った理由の一端が伺える数字です。

「コナー・ギャラガ―の穴を埋められず、ザハ依存症が悪化した」というアナライズも興味深いのですが、記事に掲載されていた3つのランキングで私が着目したのは、アーセナルとマン・シティの共通項と違いでした。数年前まで、ペップとともに戦っていたアルテタ監督は、プレミアリーグ最強の戦術をトレースするかのように、似たようなスタッツを残しているのです。

まずは「WhoScored」より、ベーシックなスタッツの類似ポイントを挙げてみましょう。27試合で25失点は同数。ゴールは67対62でマン・シティが上回っています。1試合あたりのシュート数はアーセナルが16.6本で1位、マン・シティは16.4本で2位。平均ポゼッション64.6%対60.4%、パス成功率88.8%対85.5%はいずれもワンツーでペップが上です。

おもしろいのは、少ないほうの数字も似ていること。1試合あたりの被シュート数7.5対8.3、タックル数13.1対14.7、インターセプト数6.3対6.4は、すべてマン・シティが最下位でガナーズがブービーポジションです。これらは「強いチームが少なくなるスタッツ」と理解できるのですが、以下の数字は「何で似ちゃったの?」とツッコミを入れたくなります。

1試合あたりのファール数は9.5回のアーセナルが18位、9.3回のマン・シティが19位。ロングボールの総本数は1258本と1238本で、16位アーセナルの次がペップのチームです。1試合あたりの空中戦の平均勝利数は、マン・シティが12.2回で16位、アーセナルは12回で17位。アルテタ監督は、補強の際にラポルテやロドリの身長を意識しているのでしょうか。

ここまで合わせなくても…と思うのは、シュートがバーやポストに当たる「Hit Woodwork」です。12本VS11本と激戦で、6位ペップで7位アルテタ。最大のサプライズは、「スカイスポーツ」が紹介している平均走行距離でしょう。110.66㎞対110.64㎞!3位ペップと4位アルテタの差は、20メートルしかありません。

チーム名が上下に並んでいるのを見ると、「お弟子さんは、師匠の教えに忠実みたいですよ」と、ほほえましい気分になります。一方、彼らの違いが明快に出ているのは、パスに関する数字とスピード系です。パスの総本数、クロス本数、スルーパス、後ろに戻すパスは、昨季プレミアリーグ王者がTOP。アーセナルは、3位、5位、6位、4位です。

これに対して、アルテタのチームが強いのはドリブルとスプリントです。1試合あたりのドリブル本数は、アーセナルが9.4回で1位。8.3回のマン・シティは4位で、アダマ・トラオレを擁するウルヴスと、ザハのクリスタル・パレスの下に入っています。ドリブル成功本数1位のブカヨ・サカと4位のマルティネッリは、首位を快走するチームの最大の強みです。

1試合あたりの平均スプリント本数は、アーセナルが134.9で7位、マン・シティは128.3で15位。アルテタが再現しているのは、今のマン・シティではなく、自分が戦術構築に関わっていた頃のチームのようです。例えばサネ、アグエロ、スターリングが並んでいた2017-18シーズンモデル。そう考えると「師匠と弟子」というより、「本家と分派」という表現のほうがしっくりきます。

というわけで、プレミアリーグ2022-23シーズンは「ペップ1号VSペップ2号」のバトルだったのでした…というお話です。本家に背を向け、分派の軸となったジェズスとジンチェンコは正しかったのか。過去2年は「最後に勝つのはペップ」でしたが、今シーズンはどっちのペップ?


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