イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

プレミアリーグ2016-17前半戦総括~(4)監督ランキング

「トップクラブの戦略・戦術」「ベストイレブン」と、プレミアリーグ2016-17シーズンの前半戦総括をやってまいりましたが、今回の「監督ランキング」を最後とさせていただきます。「戦略」「戦術・采配」「モチベート」「育成・登用」「やりくり術」の5項目について5段階評価をしたうえで、ランキング形式で7人の監督をリスペクトさせていただいておりますが、評価には明確な基準があるわけでなく、それぞれの監督の特徴を表現するためのものであることを、あらかじめご了承いただければと思います。

1位と2位の指揮官は、順位テーブルからそのまま選ばせていただきました。プレミアリーグタイ記録のシーズン内13連勝、勝ち点46は史上最高のハイペース。チェルシーのアントニオ・コンテ監督を前半戦の最優秀マネージャーとすることに異論はないのではないかと思います。稀にみるハイペースに勝ち点6差でついていったクロップ監督は、例年なら首位で折り返していたでしょう。なぜかバーンリーとボーンマスに敗れたチームは、上位対決を無敗で切り抜けています。

3位には、WBAを8位に躍進させたトニー・ピューリス監督。補強の失敗に激怒していた9月には、自分から辞めてしまうのではないかとハラハラさせられましたが、ピッチの上では冷静な采配を見せ、きっちり結果を出すあたりはさすがです。4位は、テンポのいいパスサッカーでボーンマスをTOP10に押し上げたエディ・ハウ監督。よくぞあのメンバーでこのサッカーができるなと、いつも感心させられます。5位のポチェッティーノ監督は、チャンピオンズリーグで決勝トーナメント進出を果たしていれば、クロップ監督の横に並べたくなったでしょう。ハリー・ケインの出遅れ、アルデルヴァイレルトとラメラのリタイア、フィンセント・ヤンセンとシソコがフィットせずと、主力と目される選手がトラブル続きだったチームをマンチェスター・シティより上に持っていけたのは、指揮官の戦術選択の確かさと若手を伸ばす手腕の素晴らしさゆえだと思います。

■プレミアリーグ2016-17前半戦 監督ランキング!■
1位 アントニオ・コンテ(チェルシー)
2位 ユルゲン・クロップ(リヴァプール)
3位 トニー・ピューリス(WBA)
4位 エディ・ハウ(ボーンマス)
5位 マウリシオ・ポチェッティーノ(トッテナム)
6位 ロナルド・クーマン(エヴァートン)
7位 アーセン・ヴェンゲル(アーセナル)

6位は、新戦力を活かしきったクーマン監督。まだ発展途上のチームではありますが、昨季崩壊した守備を立て直したマネジメント力は称賛すべきでしょう。7位は、アレクシス・サンチェスを最前線に置くゼロトップ戦術で、ウォルコットとエジルの得点力を引き出したヴェンゲル監督。ムスタフィを得た守備陣は、ボールをより前で奪うようになっており、チャンピオンズリーグ1位通過を決めた12月上旬までは素晴らしいシーズンを過ごしていました。以下に、それぞれの監督について、チャートとコメントをつけておりますので、お楽しみいただければ幸いです。

1位 アントニオ・コンテ(チェルシー)
戦略   ★★★★★
戦術・采配★★★★★
モチベート★★★★★
育成・登用★★★★
やりくり力★★★★★

リヴァプールとアーセナルに連敗を喫した直後から13連勝が始まるとは…。マルコス・アロンソとヴィクター・モーゼスのウイングバック抜擢に代表される「選手の特性を見極める力」と、イタリア人監督らしい巧みな守備戦術は天晴れのひとことです。3バックを使う監督が増えたのは、ペップよりもコンテ監督の影響が大きいのではないでしょうか。ジエゴ・コスタが黙々とゴールを量産するようになったのも、アザールが喜々として中央にドリブルするようになったのも、熱血監督の明確なコンセプトと選手への的確な指示があったからだと思います。このチームの選手たちが、スプリントする方向に迷う素振りを見せることはほとんどありません。

2位 ユルゲン・クロップ(リヴァプール)
戦略   ★★★★★
戦術・采配★★★★★
モチベート★★★★★
育成・登用★★★★
やりくり力★★★★

フィルミーノを中央に据えた「4-3-3-0」のような斬新なフォーメーション、ヘンダーソンのアンカー起用、ミルナーのSBコンバート。プレミアリーグ2年めとなるクロップ監督の「走るサッカー」は、素晴らしい補強と選手たちの献身的なプレイによって完成に近づいています。マネがぶっちぎる速攻あり、ナサニエル・クラインやミルナーのクロスあり、ララナやフィルミーノが仕掛ける中央突破あり、コウチーニョやエムレ・ジャンのミドルもあり。どこからでも点が獲れる多彩な攻撃で、プレミアリーグ最多の46ゴールを積み上げており、守備の整備が後半戦の課題。アウェイゲームのほうが多かったにも関わらず、上位対決を無敗で折り返しており、後半戦で同じ結果を出せれば最強の称号を手に入れられるはずです。

3位 トニー・ピューリス(WBA)
戦略   ★★★★
戦術・采配★★★★★
モチベート★★★★★
育成・登用★★★★
やりくり力★★★★★

この監督が素晴らしいのは、選手に余計なことをさせないところです。シンプルなサイド攻撃とカウンター、全員守備を徹底したチームは、プレミアリーグ8位という願ってもないポジションで前半戦を終えました。8人までレギュラーを固定しているチームゆえ、負傷者やスランプの選手が出ると、とたんに強度を失うのが懸念材料でしょうか。マンチェスター勢以外に2点差以上で負けたことがない堅実なチームは、後半戦も嫌らしい上位いじめを見せてくれるはずです。

4位 エディ・ハウ(ボーンマス)
戦略   ★★★★★
戦術・采配★★★★★
モチベート★★★★
育成・登用★★★★
やりくり力★★★★

レギュラークラスで、外国人選手はボルツ、アーター、ジョシュア・キングのみ。下部リーグ所属のクラブからイングランド人選手をかき集め、ジョーダン・アイブとジャック・ウィルシャーを加えただけに見えるチームが小気味いいパスサッカーをこなせるのは、エディ・ハウ監督の指導力のなせる業です。タイロン・ミングスが復活を遂げれば、守備の強度は増すでしょう。ライアン・フレイザーの負傷が気がかりですが、サーマンの復調など伸びしろはあり、後半戦も楽しみなチームです。

5位 マウリシオ・ポチェッティーノ(トッテナム)
戦略   ★★★★
戦術・采配★★★★★
モチベート★★★★
育成・登用★★★★★
やりくり力★★★★

ワニャマ以外の新戦力がフィットしていないにも関わらず、プレミアリーグ屈指の戦術家は堅守を武器に前半戦を2敗で乗り切ってしまいました。毎年、活きのいい若手を登場させるポチェッティーノ監督は、今季もハリー・ウィンクスを抜擢。中盤の厳しいチェックと最終ラインの的確なポジショニングは健在で、3バックというオプションもすっかり定着しました。負傷者が復帰し、新戦力がなじんでくれば、ヨーロッパリーグとプレミアリーグの両立も充分可能だと思われます。スパーズは、今季も優勝候補の一角です。

6位 ロナルド・クーマン(エヴァートン)
戦略   ★★★★
戦術・采配★★★★
モチベート★★★★
育成・登用★★★★
やりくり力★★★★★

ジョン・ストーンズが抜けた守備陣を短期間で立て直したこと、夏に獲得した選手を活かしきっていることが、クーマン監督の手柄です。アシュリー・ウイリアムズとグイェは大ヒット。ボラシェの長期離脱は残念ですが、サイドにはタレントが揃っており、極端に戦績を落とすことはないでしょう。7位をキープして、ヨーロッパリーグ出場権が転がり込んでくれば、セインツから来た指揮官の初年度はまずまずといえるのではないでしょうか。

7位 アーセン・ヴェンゲル(アーセナル)
戦略   ★★★★
戦術・采配★★★★
モチベート★★★★
育成・登用★★★★★
やりくり力★★★

収穫は、アレクシス・サンチェスのトップ起用という2つめの戦い方を手に入れたこと。課題は、カソルラの抜けた穴を埋め切れたとはいえないこと。強すぎるチェルシーに勝ち点9差をつけられたものの、マンチェスター勢より上という前半戦の着地は、決して悪いとはいえません。ライバルクラブのような大胆な戦術変更がないため、「従来のやり方に固執している」という声もあるようですが、ムスタフィ獲得による最終ラインの整備、前線の守備の強化、イオビの主力定着、ウォルコットの復活とエジルの得点力UPなど、プラス材料も充分にあったと思います。勝負はこれから。後半戦のヤマ場は、チェルシーとのシックスポインターと、バイエルンと戦うチャンピオンズリーグの狭間にあるリヴァプール戦です。

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


コメントを残す