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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

再び舌好調!? 攻撃的なスタイルへと変貌を遂げたモウリーニョ監督をリスペクトします!

とにかく勝ちたい方であり、勝っている間は穏やかでユーモラスです。公式戦17戦連続無敗、プレミアリーグでは13戦負けなし、EFLカップは決勝進出と結果を出せるようになったマンチェスター・ユナイテッド。年明け以降のモウリーニョ監督は、秋に2度の退席処分を喰らったのが嘘のように、記者の質問に淡々と答え、ときにはジョークをかましています。

年明け最初のプレミアリーグ20節、オリンピックスタジアムで開催されたウェストハム戦は、15分のフェグリの退場は厳しすぎるのではないか、ズラタンのゴールはオフサイドではないかとジャッジが話題になった一戦でした。これらについて意見を求められたモウリーニョ監督は、「われわれこそが誤審のチャンピオン」と、キャッチーな表現で自説を主張。クリスタル・パレス戦のレドリーのハンド疑惑や、ボロ戦でシュートを打った後のGKとの接触を咎められたズラタンの幻の一発を引き合いに出し、自分たちがレフェリングの不利をいかに蒙っているかを語っています。ハマーズとの試合といえば、11月のオールド・トラフォードではポグバがシミュレーションを取られた際に足元のボトルを蹴り上げ、退席となった因縁の対決でもあります。無敗を続けていなければ、ストレスフルな指揮官がピッチに立てない時間は、さらに増えていたかもしれません。

1月15日に行われたリヴァプール戦直前のプレスカンファレンスでは、「talkSPORT」の記者にかかってきた電話に出るというボケをかましています。指揮官の発言を録音するためにいくつかのスマートフォンが目の前に並べられている会見で、マナーモードにし忘れた記者のスマホが鳴り出すと、お茶目な監督はすかさず手に取り「Hello!」。持ち主を確認すると、「Wait a second please」とやって列席のプレスの爆笑を誘っています。EFLカップ準決勝のハル・シティ戦の前には、髪を短く刈り上げて登場。「これはとても光栄なことだ。 私は坊主頭にできる男だからね。 1ヵ月もあれば新しい髪が伸びてくる。ウィッグも使える。 名誉だね。しかし、君たちの中にはできない人もいるようだね」と話した後、スキンヘッドの記者を見つけて握手をしていました。いやいや、よかった。ボスは上機嫌です。

試合前はよかったのですが、ハル・シティ戦ではポグバ、スモーリング、ラシュフォードがPKを取ってもらえず、1-2で久しぶりの敗戦。2試合合計3-2で決勝進出は果たしたものの、ジャッジには大いに不満があったようで、試合後の会見で「ベンチでおとなしくしていたよ」と語ると、1分もしないうちにインタビューを打ち切っています。クラブの公式サイトでも「試合をコントロールできていたが、あることがきっかけでイーブンになった」といっており、2ヵ月前なら激昂していたのではないかと思われます。しかし今は、チームの状態がよくなっており、監督は自ら形容するぐらいの穏やかモード。当面は、エキセントリックな言動がタブロイド紙の見出しを飾ることはなさそうです。

さて、ここまで、好調ジョゼのご機嫌パフォーマンスを紹介してまいりましたが、私が伝えたいのは「稀代の名将の素晴らしさ」です。モウリーニョ監督は、この半年で、自らのスタイルを変えるという意志をもって攻撃的な戦い方を模索していたのだと思います。ポグバ、ズラタン、ムヒタリアンをフィットさせ、不振のルーニーやマルシアルを何とかチームに組み込みながらの新戦術構築は時間がかかり、ひと頃は「4-2-3-1に固執している」「オールドファッション」と批判されました。しかし、キャリックを軸とした4-3-3にシフトし、プレミアリーグで6連勝するなど結果がついてきてからは、メディアのネガティブな論調は消え去り、チームの雰囲気は明るくなっています。

おそらく、モウリーニョ監督は、若手を活かして攻撃的なチームを創るとクラブに宣言していたのでしょう。第二次チェルシー政権の2年めのほうがクオリティは高いと思うものの、名将の底力を見せてもらったという感動が乗った今のチームをより評価したい気分です。プレミアリーグ、セリエA、リーガ・エスパニョーラであれだけの成功を収めてきた監督が、異なるアプローチを選択し、「勝ちながら創る」のは並大抵のことではないでしょう。まだ、何も勝ち取っていません。コミュニティシールドの最新の勝者として名を残しただけです。しかし、マンチェスター・ユナイテッドは、5冠の可能性を残している唯一のチームでもあります。本当のバトルはこれからですが、それでも今、監督には「ありがとう」といいたい。オールド・トラフォードのゴール裏から「アタック!」の罵声は聞こえてこなくなりました。現在のマン・ユナイテッドは、ファーガソン時代を髣髴とさせる攻撃的なチームです。明るいキャラが揃い、可能性のある若い選手もいて、数年間苦闘が続いていたチームに光が差してきています。

ウィガンとのFAカップは、サブの選手を起用しながらの完勝を期待しています。サンテティエンヌとのヨーロッパリーグ・ラウンド32も勝ってください。プレミアリーグでは、ハル・シティ、レスター、ワトフォードをちぎって連続無敗記録を16に伸ばしていただき、ペップのチームとのダービーで4節のお返しをしていただければと思います。そして、2月の終わりには2つめのタイトルを。さらにその後は、チェルシーを慌てさせる怒涛の追い込みを見せてください。いいチームになってきました。楽しみにしています!(マイケル・キャリック 写真著作者/Matt Janzer from Missoula, USA)

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“再び舌好調!? 攻撃的なスタイルへと変貌を遂げたモウリーニョ監督をリスペクトします!” への8件のフィードバック

  1. Davinci より:

    若手を使い攻撃的に勝つ。ユナイテッドの伝統を継承しながら自身にとっても慣れない戦い方で結果を出せば、彼が望む(そしてこれまた彼にとっても初の)長期政権も可能なのでしょう。
    まあ、エキセントリックな彼を見る機会が減るのはそれはそれで寂しいのですが笑

  2. MUFC より:

    若手を使いながらと公言しながらも使っているのはLVGの遺産と言うべきメンバーで彼が掘り出した者はいません。もちろんチーム状況が厳しいので仕方ないのですが、ここまでチーム作りに苦しむ事になるとはモウリーニョにとって誤算であったと思います。若手を使いながら勝つというスタイルを作ったというにはまだまだ早いと感じます

  3. makoto より:

    Davinciさん>
    第一次のチェルシーのときとは違う4-3-3で結果が出始めています。コンテ監督ほど大胆かつ素早く新しいことを導入しないのですが、しっかり形にするあたりはさすがです。

    MUFCさん>
    1年め、しかも6ヵ月で「自前の若手発掘」までできる監督はいないでしょう(ポチェッティーノさんもそこまでやれてません。いたら教えていただけるとうれしいです)。チェルシー時代は一線級をレギュラー固定しながら戦っていた監督が、ラシュフォードやリンガードを活かしながら戦っているだけでも、最初の半年としてはいいのではないかと思います。

  4. >>管理人さん より:

    LVGはマクネアを半年たたずでデビューさせたような気がします(間違ってたらごめんなさい)
    確かに管理人さんの言うとおり、これまで若手を使わずにきた監督としてはスゴいと思います。

  5. >>管理人さん より:

    LVGはマクネアを半年たたずでデビューさせたような気がします(間違ってたらごめんなさい)
    確かに管理人さんの言うとおり、これまで若手を使わずにきた監督としてはスゴいと思います。

  6. 葛飾柴又 より:

    怪我人だらけで廻りを見たら誰もいなくなって若いモンを引っ張り上げるしかなかった昨シーズンとここまでほぼ無傷で来ている今シーズンを同じ秤にかけるのはちょっと無理があるんじゃないでしょうかねぇ。
    確かにフォスメンサーやラッシュフォードはたまたまファンハールがデビューさせましたけど、彼らを見て使いたくならない監督なんか探す方が難しいと思いますけどね。

  7. 葛飾柴又 より:

    怪我人だらけで廻りを見たら誰もいなくなって若いモンを引っ張り上げるしかなかった昨シーズンと、ここまでほぼ無傷のスカッドで来ている今シーズンを同じ秤にかけるのはちょっと無理があるんじゃないでしょうかねぇ。
    確かにフォスメンサーやラッシュフォードはたまたま前監督がデビューさせましたけど、彼らを見て使いたくならない監督なんか探す方が難しいと思いますけどね。

  8. 葛飾紫又 より:

    台所事情が厳しい時もありましたし、そうでない時もありましたよ。LVGは若手にチャンスを与えるのが特段に上手いだけです。モウリーニョと比べてごめんなさいね。

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