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奇将、イングランドに降臨!マルセロ・ビエルサは、リーズに何を残すのか?

みなさま、2日間ごぶさたしてしまいました。「忍者ブログ」の障害で記事をUPできず、更新が滞ってしまったのですが、日々粛々と書いておりましたので、本日は6本一気にお届けいたします。土曜日に上げるはずだった最初の記事は、マルセロ・ビエルサのリーズ監督就任についての雑感でございます。さっそくどうぞ。

2012年3月8日、オールド・トラフォード。あの試合を忘れることはないでしょう。 ヨーロッパリーグのラウンド16で、マンチェスター・ユナイテッドが惨敗した一戦です。容赦ないプレスと速いパスワークで前年のプレミアリーグ王者を振り回し、2-3で勝利したのはアスレティック・ビルバオでした。リーガ・エスパニョーラは、中位のクラブでもこのクオリティなのか、これは勝てない…。プレミアリーグファンにはおなじみのアンデル・エレーラやジョレンテを擁するクラブを率いていたのは、「変人」マルセロ・ビエルサでした。

2018年6月、監督王国といわれるアルゼンチンのなかでも、屈指の戦術マニアと評されるビエルサは、リーズ・ユナイテッドの監督に就任しました。なぜ、リーズ…!? 2016-17シーズンは、プレミアリーグ昇格を争うプレーオフ進出にあと1歩まで迫ったものの、昨季チャンピオンシップは13位。トップスコアラーはラソッガとルーフェ、中盤にはカルヴァン・フィリップス、アリオスキ、パブロ・エルナンデスなど無名の選手ばかり。プレミアリーグをよく観ている方がわかるのは、ボロにいたフォーショー、エヴァートンから来たペニントンぐらいではないでしょうか。今は、「藤田俊哉さんがフロントにいるクラブ」「井手口陽介が移籍したクラブ」といったほうがいいのかもしれません。

「リーズ・ユナイテッドの指揮官という役割を引き受けられて、うれしく思っている。イングランドで指導したいといつも思っていたし、チャンスもあったが、適切なプロジェクトにオファーされるのが重要だと考えていた。そんななかで、リーズのような歴史あるクラブからのオファーは断われなかった。新しいチャレンジに興奮している」(マルセロ・ビエルサ)

ペップ・グアルディオラが監督としてのキャリアを始める前に、直接教えを請うた「世界一の監督の師匠」は、2010年のワールドカップ南アフリカ大会でチリをベスト16に導きながら、欧州のクラブレベルでの成功がほとんどありません。2011-12シーズンに、アスレティック・ビルバオをELとコパ・デル・レイのファイナルに進出させたのは、素晴らしい戦果ではあるものの、ラ・リーガの2シーズンは10位と12位。前任のカパロスは6位、後釜のバルベルデは4位でフィニッシュしており、「選手たちはビエルサのコンセプトをフルシーズンで体現できなかった」という評価が妥当でしょう。

リーグ戦最上位は、マルセイユの4位。リーグ・アンは1シーズンで去っており、同じクラブで3季を過ごしたことがない「短命監督」です。「フットボリスタ」のインタビューで、ビエルサの伝記の執筆者、ロマン・イウチ氏は「常にサッカーのことばかり考えている情熱的でマニアックな監督と毎日顔を合わせていたら、多くの選手が心身ともに消耗してしまってもおかしくない」と語っていました。ラツィオの監督就任後、48時間で辞任したエキセントリックな監督が、戦術先進国とはいえないフットボールの母国で長く働くとは思えません。

それでも、ビエルサには期待してしまいます。あのとき、マンチェスター・ユナイテッドを子ども扱いしたコレクティブなフットボールを、もう1度見せてほしい。名将の采配によって、古豪リーズがプレミアリーグ復帰を果たすのを想像すると、心が震えます。もし、それが実現したとしても、エランド・ロードで開催されるプレミアリーグのピッチには、ビエルサはいないのでしょう。ペップとの師弟対決は実現しないのでしょう。多くを語らないまま、風のように去っていく…そんな気がしてなりません。私たちは、陽炎のような刹那の輝きを、目を凝らして見つめるべきなのだと思われます。リーグカップやFAカップでビッグ6と戦うビエルサのチームが見たい。今はただ、新しい風が吹く予感を愉しむのみです。(マルセロ・ビエルサ 写真著作者/Рыбакова Елена)

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“奇将、イングランドに降臨!マルセロ・ビエルサは、リーズに何を残すのか?” への2件のフィードバック

  1. イレブン より:

    リーズ・ユナイテッドというのが懐かしいというか、この名前が出てきたのが嬉しいオールドファンです。
    といっても活躍していた選手も監督もよく知りませんが、名前だけならリヴァプール、マンユナイテッド、アーセナル、エバートンと並ぶイングランドのビッグチームかと思います。
    ビエルサ監督は、確かにワールドカップのような短期集中タイプかもしれないけど、選手の扱い方を覚えて1〜2年は指揮を続けるかもしれません笑
    主さん同様、カップ戦でのTOP6との戦いを楽しみにしたいと思います。

  2. kan より:

    イングランドにやってきたビエルサについてのいい文章でした。ありがとうございます。フットボールの戦略自体に詳しくありませんが、ビエルサが率いていたチリに感激し、それから彼の指揮するチームを追っています。ビルバオの時は少ししか知りませんが、マルセイユを経てリールの監督になったときは、そのプロジェクトが面白かったので期待しましたが、経営陣が耐えきれなかったんでしょうね。マルセイユもそうでした。ともかく、今シーズン、リーズの試合後のインタビューを見るのを楽しみにしています。試合を見たいのですが、視聴方法ご存知でしょうか。ご存知のように、ビエルサはアルゼンチンの名門一家の出身なので、「エル・コロ」という言い方は、そうしたことも含んでいるのでしょうね。また、チャンピオンシップの情報お願いします。

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