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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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「フランク・ランパードは経験不足」…毒舌OBの新監督批判にいろいろモヤモヤした話。

プレミアリーグと長くお付き合いされている方なら、エマニュエル・プティさんをご存じでしょう。1990年代後半にヴェンゲル監督のアーセナルで活躍し、バルセロナを経て2004年にチェルシーでキャリアを終えたフランス代表MFです。前線に送る的確なフィードと、泥くさい守備のコントラストが印象的な選手だったのですが、現役を引退してからは、とにかく毒舌のイメージが先行するようになりました。彼の本拠地は、フランスのラジオ局「RMC」。昨季プレミアリーグでも、不甲斐ないチームや選手を斬りまくっていたのでした。

2018年11月には、モウリーニョ監督と選手の確執が噂されたマンチェスター・ユナイテッドを観て、「マティッチの弟がプレイしていたのか?」「スモーリング?もう疲れた」と酷評を連発。3月のノースロンドンダービーで槍玉に挙がったのは、シュコドラン・ムスタフィでした。「起用されてるのを見て驚いた」とドイツ代表CB不要論をぶち上げたクラブOBは、PKを与えたプレイを俎上に乗せ、「king of blunders(しくじりキング)」といい放ったのでした。いやー、写真を見ると、さわやか風ですよね。怖い怖い。人は見かけによらないという言葉を思い出させる毒舌キングは、未来について語るときもネガティブアプローチです。

今週末、フランク・ランパード監督がチェルシーで指揮を執ることになったと発表されると、待ってましたとばかりにプティさんが登場。ダービー・カウンティでプレミアリーグ昇格を逃した若き指揮官について、経験不足が懸念されると自説を主張したのですが、「しばらく経てば、選手たちは彼のマネジメントスキルに疑問を抱くはずだ。選手起用、戦術、トレーニングなど」とはツッコミすぎでしょう。ただでさえ、結果が出なければ容赦なく非難される因果な職業です。能力について云々するのは、せめてスタンフォード・ブリッジで何かやらかしてからにしてあげたいものです。ただし、このひとことはともかく、プティさんの未来予測は今回のランパード就任について懸念を感じている層の代表的な意見ではあります。

「素質はあると思う。ランパードは情熱的で野心があり、常にフットボールを愛し、チームメイトや監督に敬意を払ってきた。しかし私は、彼がチェルシーで指揮を執るのは早すぎると感じている。今の選手たちは、いつも監督を値踏みしており、要求に対して口を出してくる。タイミングも悪いね。エデン・アザールがいなくなり、補強もできない。おそらくタフなシーズンになるだろう」

なるほど。エースの移籍、補強禁止、有望な若手の長期離脱と悪いカードが揃っているのは確かです。とはいえ、これも「誰がやっても厳しい今こそが、フレッシュな監督がチームに変化をもたらす絶好のチャンス」と捉えることもできます。いずれにしても、クラブの忍耐力次第ですね…と思いながら、「このコメント、どこかで見たことがある」と気になっていたのでした。モヤモヤを拭えず、調べてみると、そうそうコレです。ガナーズのレジェンドが、ヴェンゲル監督の後任と噂されていたときのプティさんのご意見です。

「彼はスタジアムに銅像が建つぐらいの選手で、プレミアリーグのすべてのサポーターから愛されている。多くの人々が、彼が抱くフットボールへの情熱を今までとは違う形で示してほしいと思っており、それに応えることができるはずだ。しかし、彼には経験が足りない。ベルギー代表で3番めのアシスタントコーチだろう?現状のアーセナルには、チームを適切なルートに乗せてくれる経験豊富なマネージャーが求められている」

ティエリ・アンリに対するコメントと同じやん!ツカミは情熱リスペクト、オチは経験不足&時期尚早。プティさん、安全運転ですね。最初にほめた選手や監督が結果を出せないと、場の空気が批難モードになっているので、「アイツはいけるといってたヤツは誰だ?」となりがちですが、低評価スタートだった人物が活躍してハッピーな雰囲気になれば、「ダメだといってたヤツがいたけど?」という指摘は称賛の嵐にかき消されるのが常です。

プティさんのコメントを読んで、彼は凄いなとあらためて思いました。ペップ・グアルディオラ。何かが始まる前にネガティブなコメントを残すことはほとんどなく、「彼は素晴らしい。期待してる」というだけです。腹心のアルテタにアーセナル監督就任話があったときも、気持ちよく送り出そうとしていたのを思い出します。話は逸れますが、マン・シティが国内トレブルを達成し、プレミアリーグでは初の快挙ですねといわれたときのペップのひとことには感動しました。「男子ではね」。アーセナルレディースの偉業を把握しており、聞かれた瞬間に出てくるあたりに、フットボールに対する大きな情熱が感じられました。

いえ、決して「毒舌=悪」といっているわけではないんです。私はペップのようでありたいと思っているだけなのです。フランク・ランパードの厳しい船出に際しては、指揮官としてもレジェンドと呼ばれるような結果を残してほしいと、ただただ祈るのみです。…といいながら、ランパードもアンリもチェルシーもアーセナルも関係なく、判で押したような「アレクサ的毒舌」は、どうしてもいじりたくなります。ここは「毒を以て毒を制す」でいきましょうか。プレミアリーグに在籍していた頃に、口うるさいOBたちに反撃したこの方の言葉で締めさせていただきます。どうぞ。

「彼らはもうユナイテッドにはいない。それなのに、いつもTVでユナイテッドへの不満をこぼしている。『アレはこうだった』『こうあるべき』…そんなにユナイテッドで仕事をしたいなら、クラブにいって仕事もらってこいよといいたくなるね」(ズラタン・イブラヒモヴィッチ)

プティさん、いかがでしょう?コーチのご経験はないようですが、情熱があれば!(エマニュエル・プティ 写真著作者/Christophe95)

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“「フランク・ランパードは経験不足」…毒舌OBの新監督批判にいろいろモヤモヤした話。” への7件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    いやー始まってもいないのに辛口すぎますね。
    ランパードもある程度織り込み済みだと思いますが。私はズラタンのブレないコメントが大好きです。おっしゃる通りその通り!

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    レジェンドの監督就任反対派の自分としてはやっぱり心配ですね。
    ファンからは適切な批判が起こらないし、解任などしたらそれが適当でもファンには遺恨が残る。
    ロマンがあるのはわかるんですけどね・・・

    キング・ケニーのリバプール監督時代を経験をした身として、リバプールファンとしてはジェラードの就任は見たくない・・・

  3. 別府市民 より:

    安易にネガティブなことを言うべきではないというご主張、もっともですし、素晴らしいとは思うものの、チェルシーという堪え性のないクラブ(フロントもファンも選手も)が、勝てない時期を我慢出来るとは私には思えません。いきなり勝ちまくれば話は別ですが、可能性はとても低いと思います。
    貴重なレジェンドに深い傷をつけて使い捨てることのないよう、願っています。

  4. プレミアリーグ大好き! より:

    見た感じからしてヤバそうだけどな。人の不幸を喜ぶタイプなんだろう。

  5. ランパードが好き より:

    プティの意見も共感できる部分があり、そこまで毒舌かな?と思いました
    不安が大きいのですが、大好きなランパードが大好きなチェルシーでどのようなチームにするのかという楽しみも大きいです。クラブ側もサッリをシーズン途中の解任としなかった点は今までに比べれば少し耐える部分が出てきたと感じてましたし
    コバチッチは退団が噂されていた所に一転、チェルシーへの完全移籍となったのはランパード監督の意向だと思っており、必要な戦力と思っていたのでそれだけでも嬉しい気持ちです

  6. プレミアリーグ大好き! より:

    毒舌というかあまりにもごく普通の意見…
    ランパードは既に実績あるとはいえコンテやサッリでも○をくれないチェルシーでアザール抜けて補強禁止で厳しいだろうって当然の事言ってるだけで
    アンリのコメントに関しては当時のアーセナルの事情的にもアンリ監督の実際の結果的にもモナコの選手のコメント的にも言ってる事が何一つ間違ってないむしろ的確な意見
    それでもイブラの言い分が一番見事
    逆境を跳ね退けたらランパード監督の実力を疑う人は皆消えるからやり遂げて欲しい

  7. プレミアリーグ大好き! より:

    なんか、サッリに関して
    続けたがってたサッリをクラブ側が一方的に切った
    みたいなことになってて草

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