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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ペップとクロップ…主張し合い、リスペクトし合うライバルたちのしびれるエピソードを。

いきなり宣伝で恐縮ですが、7月に発行された「フットボリスタ」の増刊「マンチェスター・シティ2018-19国内4冠&来日特別号」にて、記事を書かせていただきました。「着任3季目の発言から読み解く、水色ペップの頭の中」という2ページの読み物です。2018-19シーズンのペップ語録とその解説という定番企画なのですが、昨年6月から直近の5月までに稀代の名将が残したおもしろいコメントを現地記事からピックアップし、複数メディアの記事とプレスカンファレンスなどの動画で裏取りしたうえで翻訳するという膨大な作業によって何とか世に出た労作でございます。

珍しい下ネタあり、プレミアリーグと2つのカップ戦制覇という国内トレブル達成について「史上初ですが」と振られた際のジェントルな切り返しあり。ペップのフットボール愛と人となりを十全に伝えるべく厳選いたしましたので、お時間があればぜひ目を通していただきたく存じます。マンチェスター・ユナイテッドサポーターであり、クロップびいきでもある私としては、プレミアリーグ最強王者は目の上のたんこぶ(しかも巨大)なのですが、ペップについては「尊敬してます」のひとことです。

当代随一のコンセプトと戦術を持ち込み、マン・シティだけでなくプレミアリーグ全体のレベルを引き上げた偉業は、フットボールの母国の歴史に残り続けるでしょう。われわれは今、永遠に語り継がれるシーンを目撃し続けているのかもしれません。本日行われるコミュニティシールドで、2強からどんなメッセージを受け取ることができるかと思うと、キックオフの瞬間を待ち切れません。

さて、ペップといえば、先日珍しくユルゲン・クロップ監督にツッコミを入れてました。7月17日にアメリカのインディアナ州ノートルダムで行われたインタビューで、リヴァプールの監督がこぼした補強に関するコメントがトリガーです。

「いっているだろう?リヴァプールにとって、今年はビッグトランスファーウィンドウではない。過去2年間でチームに多額の投資をしてきた。毎年同じ調子でやることはできないよ。みんないうよね。”今こそ3億ポンドだ、いや2億だ”。そんなことができるクラブは、世界にたった2つしかないんじゃないか。バルセロナと(レアル・)マドリード。(マンチェスター・)シティとPSGも毎年いけそうだね」

他意はなかったのだと思われますが、うっかり入れちゃったんですね、「シティ」。これに対して、「事実ではないからいいたい」とペップが反論しました。「昨シーズンはひとり(リヤド・マフレズ)しか獲ってない。収支はマイナス1700万ポンドだ。2シーズン前に多額の投資をしたのは、30代の選手が10~11人いたからだ」「われわれは毎年2億ポンドも使えない。リヴァプールは昨シーズン、2億ポンド以上を費やした。そして今はできない、同じことだ」「われわれはこの夏、ロドリのバイアウト条項にある金額を支払い、アンヘリーノを買い戻した。これが事実だ」。いや、おっしゃるとおりです。クロップ監督も「獲れない」わけではなく「獲らない」だけですからね…。完全なる「もらい事故」に黙っていられなかったのでしょう。

一部で「舌戦」というニュアンスで報じられているようですが、クロップ監督に仕掛ける意図はなく、ペップも「議論ではない。事実ではないから口を開いたまで」と線を引きながらのコメントですので、本日ウェンブリーで握手していただければいいのではないでしょうか。プレミアリーグで鎬を削る2人は、リスペクトし合う間柄です。「Goal.com」が、クロップ監督が語ったチャンピオンズリーグ制覇の夜のエピソードを紹介しているのですが、これがまた、とても感動的なお話です。「‘Jurgen, it’s Pep!’ – Klopp reveals details of Guardiola’s Champions League final call and explains pair’s ‘respectful’ relationship」と題されたニール・ジョーンズさんの記事の一部を、以下に引用させていただきます(2019年8月3日配信/翻訳筆者)。

「ピッチでは、リヴァプールの選手たちがチャンピオンズリーグ制覇を祝っていた。感情的で楽しく、心地よい疲労感。マドリードの夜の長いセレブレーションは、ずっと続きそうだった。しかしマネージャーにはやるべき仕事があった。彼には相手にすべき人々、いうべきことがあった。試合後のメディア対応という義務を終わらせなければならない。

そんななかで、彼は驚くべき電話を受けたのだった。

ドレッシングルームに着くと、前年の11月にマンチェスターシティから招聘したヘッドフィジオのリー・ノーベスがやってきた。”彼は自分の携帯電話を私に手渡したんだ”。Goal.comがワン・オン・ワンで行った独占インタビューに応じたクロップはそう語った。”私はスクリーンを見てPepといった。私は100%、それは自分が知るPep、Pep Lijndersだと思った。オッケー、でも何か変だ。話し始めて、ようやくそれが他のPepであることに気づいた”」

「”他のPep”はもちろん、リヴァプールの最大のライバルとなったマネージャーで、おそらくこんな夜に電話をかけてくると予想できる唯一の人物であるペップ・グアルディオラだった。グアルディオラは、マドリードでのクロップのポジションにあっさり着いていたかもしれない男だ。VARさえなければ、最後にリヴァプールの前に立ちはだかったのはスパーズではなくシティだったかもしれない…しかし、多少のジェラシーを感じていたであろうカタルーニャの男は、それを表には出さなかった」

「”そこには多大なるリスペクトがあった”とクロップは述懐する。”誰が誰に電話したのかはわからない。確かにリーはシティで彼と一緒に働いていた。ナイスだ。ナイスな瞬間だった。われわれは、どんなに素晴らしいシーズンだったかを話し続けた。いくつかのジョークも交えながらね。2人とも明らかにいい気分だったよ!”」

言葉を重ねる必要はないでしょう。いい話ですよね。ペップとクロップ…今季のプレミアリーグでも素晴らしいバトルを繰り広げていただければと期待しています。いよいよコミュニティシールドのキックオフまで12時間となりました。楽しみですね!

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“ペップとクロップ…主張し合い、リスペクトし合うライバルたちのしびれるエピソードを。” への5件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。いよいよ今シーズンもこの二人でEPLはまわっていくのでしょうか?まだ何もわかりませんが、まずは今夜の一戦から全てが始まりますね。お互いが良い意味でリスペクトしているので、この一戦が楽しみです!

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    クロップがいい奴なら植毛なんてしない。ギグスとルーニーを見れば明らかだ。ペップの方がいい奴だよ。

  3. ペップの街 より:

    理想のチームを追求する2人の名将はクラブ経営層の万全のサポートを受けて要求通りの補強もできているようです。
    この2人に共通するのはまさにフットボールへの愛とリスペクトなんだと思います。
    サッリが去ったのは残念ですが、エメリ、ポッチェッティーノらも素晴らしい監督で、お互いをリスペクトしてます。
    今シーズンも楽しみです。

  4. ペップの街 より:

    追伸!
    フットボリスタ、Amazonで買いました‼️読むのが楽しみです。

  5. プレミアリーグ大好き! より:

    バルサマドリーとシティパリの言い回し逆じゃなかったっけ
    まあたいした違いでも無いし記憶も曖昧だし何でもいいんだけど

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