2023.05.22 マンチェスター・シティの話題
ターニングポイントは1月5日。苦しんでいたマンチェスター・シティがアーセナルを逆転した理由。
プレミアリーグ37節のノッティンガム・フォレスト戦でアーセナルが敗れたため、マンチェスター・シティの3連覇が決まりました。シティズンのみなさん、おめでとうございます。一時はライバルに8ポイント差となりながら、11連勝で差し切るあたりは、さすがペップのひとことです。
優勝が決まったら、スタッツ分析に定評がある「スカイスポーツ」が総括記事を出すのではないかとにらんでいました。さっそくチェックしてみると…ありました!やはりアナリストは、アダム・スミス記者。全選手の出場記録、試合ごとのシステム、布陣ごとの平均ポジションなどを詳細にリサーチした力作は、先週末から用意されていたのでしょう。
「How Pep Guardiola’s side leapfrogged Arsenal to retain Premier League title(ペップ・グアルディオラが率いるチームは、いかにしてアーセナルを抜き去り、タイトルをキープしたか)」と題された記事に、前半戦と後半戦を比較するデータが多いのは、新たなシステムの導入がターニングポイントとなったからです。
「ジョアン・カンセロを右ウイングで起用する3-2-4-1を初めて試したのは、オールド・トラフォードでの敗戦とドローのエヴァートン戦に挟まれたチェルシー戦で、1-0の勝利だった。中盤の選手がフルバックに、フルバックがウイングに、CBが中盤に入る実験的なシステムは、当初は不安定に見えたが、圧倒的な力がある選手たちがコツをつかむのに、さほど時間はかからなかった」
最初の16試合のうち、11試合を4-3-3で戦っていたチームは、ブルーズ戦以降の19試合は3-2-4-1が10試合。4バックの際は、主に4-2-3-1を採用しています。平均ポジションを見ると、攻めるのが好きだったジョアン・カンセロの後方に、大きなスペースが空いているのがよくわかります。バイエルンにローン移籍したSBと指揮官の確執は、守備に関する意見の相違だったのでしょう。
3バックにトライしたチェルシー戦の後、4-3-3と4-4-2でセインツ、マン・ユナイテッド、トッテナムを相手に3戦連続2失点。モデルチェンジは必須と考えたペップは、21節のウルヴス戦から3バックへのシフトを決断しました。
システム変更によって輝きを増したのは、守備力があるレフティのナタン・アケと、最終ラインならどこでもできるアカンジ。後方が安定したため、グリーリッシュはより前にいられるようになり、左サイド偏重だった攻撃はバランスが改善しました。アダム・スミス記者は、「シーズン中盤の得点力の落ち込みは、デブライネのアシストの減少とリンクしていた」と指摘しています。
1-0で敗れた10月のリヴァプール戦以降、9戦2ゴール2アシストと停滞していたプレーメイカーは、3-2-4-1の導入で右サイドが活性化してからは、11試合4ゴール7アシストとペースUP。アーセナルとの2試合で3ゴール2アシストという大活躍で、逆転の立役者となっています。
左サイドの守備が強化されたため、ラインがむやみに下がらなくなり、1試合あたりのスプリント本数はリーグ18位。負傷者が少なかったのは、疲労が溜まる展開が少なかったことも関係しているでしょう。被シュート数は、19位アーセナルの336を大きく下回る263でリーグ最少。3バック導入後は2失点が1度もなく、27試合14失点という驚異的な堅守をキープしています。
ハイラインをキープできるようになれば、ロドリのボール奪取力が前で発揮されます。レアル・マドリードを4-0で屠った震撼のゲームの前半は、彼らが改善してきたことがすべてはまった恍惚の時間でした。プレミアリーグの残り3戦をコンディショニングに使えるようになった今、トレブルを達成しようとする彼らに懸念はありません。
ミケル・アルテタ率いるアーセナルは、プレミアリーグで先発10試合以上が11人しかいません。対してペップは16人。リコ・ルイスを抜擢し、フリアン・アルバレスを焦らずフィットさせ、ナタン・アケに適所を示した名将は、カルヴァン・フィリップス以外の全員を活かし切りました。
終盤になって負傷者が続出した2位と、調子を上げまくった王者の差は、指揮官の引き出しの数とマネジメントにあったと数字が物語っています。2023-24シーズンは、彼らの差は縮まるのでしょうか。クロップとテン・ハフの巻き返しや、ポチェッティーノの急襲が必至の新シーズンは、アルテタ監督のポテンシャルが問われる場になりそうです。それにしても、ペップは凄すぎる…。
優勝が決まったら、スタッツ分析に定評がある「スカイスポーツ」が総括記事を出すのではないかとにらんでいました。さっそくチェックしてみると…ありました!やはりアナリストは、アダム・スミス記者。全選手の出場記録、試合ごとのシステム、布陣ごとの平均ポジションなどを詳細にリサーチした力作は、先週末から用意されていたのでしょう。
「How Pep Guardiola’s side leapfrogged Arsenal to retain Premier League title(ペップ・グアルディオラが率いるチームは、いかにしてアーセナルを抜き去り、タイトルをキープしたか)」と題された記事に、前半戦と後半戦を比較するデータが多いのは、新たなシステムの導入がターニングポイントとなったからです。
「ジョアン・カンセロを右ウイングで起用する3-2-4-1を初めて試したのは、オールド・トラフォードでの敗戦とドローのエヴァートン戦に挟まれたチェルシー戦で、1-0の勝利だった。中盤の選手がフルバックに、フルバックがウイングに、CBが中盤に入る実験的なシステムは、当初は不安定に見えたが、圧倒的な力がある選手たちがコツをつかむのに、さほど時間はかからなかった」
最初の16試合のうち、11試合を4-3-3で戦っていたチームは、ブルーズ戦以降の19試合は3-2-4-1が10試合。4バックの際は、主に4-2-3-1を採用しています。平均ポジションを見ると、攻めるのが好きだったジョアン・カンセロの後方に、大きなスペースが空いているのがよくわかります。バイエルンにローン移籍したSBと指揮官の確執は、守備に関する意見の相違だったのでしょう。
3バックにトライしたチェルシー戦の後、4-3-3と4-4-2でセインツ、マン・ユナイテッド、トッテナムを相手に3戦連続2失点。モデルチェンジは必須と考えたペップは、21節のウルヴス戦から3バックへのシフトを決断しました。
システム変更によって輝きを増したのは、守備力があるレフティのナタン・アケと、最終ラインならどこでもできるアカンジ。後方が安定したため、グリーリッシュはより前にいられるようになり、左サイド偏重だった攻撃はバランスが改善しました。アダム・スミス記者は、「シーズン中盤の得点力の落ち込みは、デブライネのアシストの減少とリンクしていた」と指摘しています。
1-0で敗れた10月のリヴァプール戦以降、9戦2ゴール2アシストと停滞していたプレーメイカーは、3-2-4-1の導入で右サイドが活性化してからは、11試合4ゴール7アシストとペースUP。アーセナルとの2試合で3ゴール2アシストという大活躍で、逆転の立役者となっています。
左サイドの守備が強化されたため、ラインがむやみに下がらなくなり、1試合あたりのスプリント本数はリーグ18位。負傷者が少なかったのは、疲労が溜まる展開が少なかったことも関係しているでしょう。被シュート数は、19位アーセナルの336を大きく下回る263でリーグ最少。3バック導入後は2失点が1度もなく、27試合14失点という驚異的な堅守をキープしています。
ハイラインをキープできるようになれば、ロドリのボール奪取力が前で発揮されます。レアル・マドリードを4-0で屠った震撼のゲームの前半は、彼らが改善してきたことがすべてはまった恍惚の時間でした。プレミアリーグの残り3戦をコンディショニングに使えるようになった今、トレブルを達成しようとする彼らに懸念はありません。
ミケル・アルテタ率いるアーセナルは、プレミアリーグで先発10試合以上が11人しかいません。対してペップは16人。リコ・ルイスを抜擢し、フリアン・アルバレスを焦らずフィットさせ、ナタン・アケに適所を示した名将は、カルヴァン・フィリップス以外の全員を活かし切りました。
終盤になって負傷者が続出した2位と、調子を上げまくった王者の差は、指揮官の引き出しの数とマネジメントにあったと数字が物語っています。2023-24シーズンは、彼らの差は縮まるのでしょうか。クロップとテン・ハフの巻き返しや、ポチェッティーノの急襲が必至の新シーズンは、アルテタ監督のポテンシャルが問われる場になりそうです。それにしても、ペップは凄すぎる…。
おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!
コメントを残す