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プレミアリーグ公式サイトが分析!「マンチェスター・シティの守備力が向上した理由」

数字で見ると、その変化は顕著です。プレミアリーグ公式サイトが、首位を快走しているマンチェスター・シティの昨季との違いを分析しています。「Possession game helping Man City’s defence(ポゼッションゲームがマン・シティの守備陣を助けている)」と題された記事は、今季プレミアリーグ7試合で2失点しか喫していないクラブについて、「ボールを持って適切に動かしている限りは、敵にやられることはない」と表現。中盤とアタッキングサードでプレイする時間を増やし、守る時間を極力減らすことによって最終ラインを助けていると分析しています。スタンフォード・ブリッジで0-1と完勝したチェルシー戦では、77.9%の時間をディフェンシブサードにボールを入れさせずに費やし、ボーンマス戦では82%、ブライトン戦では87%とほとんどの時間をミドルサードより前で過ごしています。

ポゼッション平均63.8%は2位アーセナルより4.1%高く、パス成功率88.6%は2位マンチェスター・ユナイテッドを3.6%上回っています。記事が評価しているのは、SBのカイル・ウォーカーとバンジャマン・メンディの激しい上下動。彼らがウイングをサポートすることによって、より前で多くの時間を使えるのが相手にチャンスを与えない理由だと評しています。データを見ると、昨季との違いは明確です。ポゼッションとパス成功率は3%ほどUPしており、ディフェンシブサードで過ごす時間は3%ダウン。最も大きく変わったのはオンターゲットのシュートを喰らう本数で、昨季プレミアリーグで平均2.82本を許していたチームは、2017-18シーズンは1.86本に抑えています。

【マンチェスター・シティの主要スタッツ比較】
         2017/18 2016/17
ポゼッション    63.8%  60.9%
パス成功率     88.6%  85.5%
ディフェンシブサード20.0%  23.0%
試合あたり被ショット 1.86   2.82

ここまでの評価とデータは、彼らのゲームを全試合見ているのでイメージ通りだったのですが、びっくりしたのはGKにまつわる数字です。プレミアリーグ公式サイトが提供する数字は、ベンフィカから獲得したエデルソンの素晴らしさと、前年のブラボの厳しさを同時に表現しています。クロスへの対応、ショットストッパーとしての能力、足元の安定感で、いずれもエデルソンは昨季のGKたちを凌駕。記事は「ビルドアップにおいてもインテリジェンスがあり、2016-17シーズンよりもCBに安心感をもたらしている。彼らは危機に晒されることが減った」と新守護神を絶賛しています。エデルソンのプレイとスタッツを見ると、ペップがジョー・ハートを使わなかった理由がよくわかります。

【マンチェスター・シティのGKのスタッツ比較】
          エデルソン ブラボ カバジェロ
1失点あたりの時間   292.5   75.7   111.6
ショットセーブ率    84.6%   56.0%  70.5%
90分あたりのセーブ数   1.7    1.5     1.9
90分あたりのキャッチ数  1.0    0.5     0.7
パス成功率        83%    73%     76%
※エデルソンは2017-18シーズン、他の2人は昨シーズンのプレミアリーグの出場試合で算出

今季のペップがよく用いるフォーメーションは3-1-4-2と4-3-3ですが、4-3-3ではデブライネとダヴィド・シルヴァをインサイドMFに配することで、キープ力とパスの精度が向上しました。フェルナンジーニョが攻守ともに落ち着いてプレイできているのは、脇にいるMFがプレスをさぼらず、マイボールを確実に前に届けてくれるからでしょう。3人のMFが前でボールを奪取してくれれば、ジョン・ストーンズとオタメンディが不利な態勢を強いられることはなくなり、ビルドアップの際は余裕を得たCBのどちらかが積極的に前に出るシーンが目立ちます。「最初の7試合では、ボールをクリアしなければならない状況は少なく、ミスを最小限に抑えている。特にポジショニングが優れており、自陣で奪われて逆襲を喰らうシーンは見当たらない」と、記事は2人のCBを高く評価しています。チームとしての連携の向上が、攻撃する時間の増加と守備の安定化を同時に実現しているようです。

今季のマンチェスター・シティがやっかいなのは、ポゼッションが高いからといってパスをまわしているばかりではなく、CBやフェルナンジーニョから速い縦パスが前線に入る直線的なアタックや、デブライネとダヴィド・シルヴァがタクトを揮うカウンターが決まるところです。彼らを止められるのは、どんなチームでしょうか。ロートン、タルコフスキー、ベン・ミー、ワードの最終ラインが安定しているバーンリーが、堅守をベースにワンチャンスを活かせるかどうか。チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンに2勝2分と大健闘しているチームが先にゴールを奪えば、最強マン・シティも苦しむのではないでしょうか。エティハドで行われるプレミアリーグ9節のゲームは、「ペップワクチン」が存在するのかどうかがわかる重要なゲームなのかもしれません。

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“プレミアリーグ公式サイトが分析!「マンチェスター・シティの守備力が向上した理由」” への2件のフィードバック

  1. グッチ より:

    他チームに対して如何にしてもマウントを取り、ハーフコートゲームにするか、ポゼッションの原則である数的優位と素早い回収が非常に高いレベルで仕上がっていると思います。引いている相手はもちろん、ハイプレスに対してもシルバ、デ・ブライネの2枚がスムーズに切り裂いて行く今季のシティは見ていてストレスの無い良い出来ですね。

  2. sini より:

    去られてみてわかる、ウォーカーの存在の大きさ。
    しかも今季のウォーカーはスパーズ時代には年1回レベルだったドンピシャクロスをわりと入れていますよね。複雑な気持ちです。
    トリッピアもいい選手ですが、上下動や守備でもっと頑張って欲しい感がなきにしにあらず。

    シティはそれにしても今季強いですね。ユナイテッドも強いですが、シティのほうがより隙がないように思われます。

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