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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

プレミアリーグに出場できない最強ユース世代!【後篇】若手がチャンスをつかむ方法

「プレミアリーグに出場できない最強ユース世代!【前篇】主要4ヵ国の若手のプレイ時間比較」より続きます。スペイン、イタリア、ドイツと比べると、自国のユース代表選手が国内最高位のプレミアリーグでプレイする時間が少ないのがイングランドの課題です。4国の出場時間数を比較・分析した「BBC」は、U-20ワールドカップの決勝でPKを止めたニューカッスルのGKフレディ・ウッドマン、ボルシアMGでの2年間の修行を経てチェルシーに復帰したデンマーク人CBアンドレアス・クリステンセン、そしてペレ・グアルディオラが始めた新しい若手育成メソッドという3つの事例を紹介しています。

ラファエル・ベニテスに請われてクラブに残ったウッドマンは、「クラブは自分の進化を見てくれている。今のマネージャーの下では日々語りかけてもらい、新しいことに取り組んでいる。器の大きいマネージャーが、自分がいいGKになるためにサポートしてくれるのは素晴らしいことだと思う。ここでチャンスを待つよ」とコメント。これに対してレポートは、「10人のうち可能性がある若手が3人いて、経験はあるが可もなく不可もない選手が7人いたとすれば、常に経験があるほうを取るよ。チャンスを与える余裕はない」という元トッテナム監督のティム・シャーウッドの言葉を紹介。食うか食われるかの厳しい戦いのなかで、若手にステップアップのための機会を提供することの難しさを示唆しています。

チェルシーユースでFAユースカップを2回制したアンドレアス・クリステンセンは、18歳でプレミアリーグデビューを果たしながらもレギュラーは遠く、2015-16シーズンからの2年間はドイツのボルシアMGに「留学」。当地で2シーズン通算62試合5ゴールという素晴らしい数字を残してプレミアリーグ王者のスカッドに加わったCBは、今季既に6試合出場で3試合は先発という稀有な成功例です。「クリステンセンはファーストチームに加わり、ロベルト・レヴァンドフスキ、リオネル・メッシ、セルヒオ・アグエロなどのストライカーと戦った。チェルシーは彼の力を把握しており、ボルシアMGが完全移籍に切り替えようとするのを阻止した」。レポートは、プレミアリーグ王者が次に期待しているのは、スウォンジーにレンタルされたタミー・アブラハムと、クリスタル・パレスでプレイすることになったルベン・ロフタス=チークだと主張しています。ナタン・アケもそのひとりでしたが、前シーズンの後半戦で出場機会を得られなかったCBは、完全移籍でボーンマスに入団するという道を選びました。

チェルシーのローンシステムについて、「BBC」の記事は問題点を指摘しています。「自クラブのファーストチームのマネージャーが頻繁に代わることが、若い選手の成長の妨げになっていることをチェルシーは認めている。クリステンセンが在籍した比較的短い期間に、7人のボスがいた」。今季、他クラブにローンに出された34人の選手について「決してファーストチームに近づけない運命にあり、多くは移籍しようとするだろう」と、その論調は悲観的です。

マンチェスター・シティのペップ・グアルディオラ監督は、23歳未満の選手をプレイさせる「プレミアリーグⅡ」について競争力がないと切り捨てています。「バルセロナやレアル・マドリードのセカンドチームは4万人の観客の前でプレイしており、ドイツやイタリアでは28~30歳の選手と一緒に戦っている。対して、ここには競争がない。観客がいないところで、同世代ばかりでプレイすることになる」。プロフェッショナルな組織にリフォームされたBチームを100チーム導入するという「EFLリーグ」というアイデアは、議論の場を通過する前に頓挫しました。

そんななかで、マンチェスター・シティが選択したのは「カタルーニャのクラブを買う」という方法です。ペップの実弟ペレ・グアルディオラとクラブは、ジローナの株式88%を650万ポンド(約9億6000万円)で購入。マン・シティの選手を5人送り込んでラ・リーガでプレイさせています。マン・シティでは、パトリック・ロバーツがセルティックに2度めのローン移籍で加入することになり、サンチョはドルトムントに完全移籍。イングランドに優れた競争環境を構築することができず、選手の成長阻害や他国への流出という問題を解決できないのであれば、ジローナはマンチェスター・シティの若い選手たちにとって優先的な能力開発のルートとなるというのが、レポートの締めくくりです。

資金力があるプレミアリーグのクラブが即戦力の外国人選手を獲得するのを止めることはできず、Bチームには競争環境がない。ウッドマンは経験を積めないまま年を重ねてしまうリスクがあり、クリステンセンの成功はレアケースで再現性に乏しい。意図的に若手を育成するには、他国のトップリーグに所属するクラブを手のうちに入れ、強豪クラブと対戦できる環境でチャンスを与えるスタイルが有望なのではないか、という論旨です。いやー、厳しい。これは一般的な若手選手の話ではなく、ユース代表として世界一や欧州No.1を達成した俊英たちでもステップアップは難しいということなのですから。

こんなレポートを読むと、ラシュフォード、ハリー・ウィンクス、ウォード=プラウズ、ロフタス=チーク、タミー・アブラハムら稀有な才能が、プレミアリーグで順調に成長していずれ世界を制するのを本気で応援したくなります。そしてまた、マンチェスター・シティのチャレンジが、ラ・リーガで現在16位のジローナの降格で頓挫しないことを祈ります。いや、さはさりながら、カタルーニャが独立したら人口10万人の小さな街のクラブはどうなるのでしょうか。現在のイングランドにおいて、世界を制したユース代表の選手たちが次のステージでも成功を収めるのは、かくも大変なことなのかとため息をつく休日の朝であります。(アンドレアス・クリステンセン 写真著作者/thearcticblues)

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“プレミアリーグに出場できない最強ユース世代!【後篇】若手がチャンスをつかむ方法” への4件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

     この若手達の活躍する場所がない!? という状況は、ホント悲しいですね。

    「ペップは他国のクラブを買った」・・・ライプツィヒ と ザルツブルグ 

    みたいな関係になるのでしょうか?? やっぱり、プレミアリーグ2よりも!?

    可愛い子には旅をさせよ・・・が1番効果がありそうです。

    —–
    シティのやり方は個人的に嫌ですね。
    双方のクラブにメリットはあるんでしょうが、植民地みたいで嫌です。

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    ジローナはクラブが創立されてから初めての1部に上がれましたし予算も増えるでしょう
    シティは若手選手がトップチーム相手との経験を積めます
    若手の成長を促すには仕方のないことでしょう

  3. gag より:

    ウディネーゼのグループが各国のクラブを買って経営をしてたりするし、金を持ってるクラブがやると顰蹙を買うけど、やってるところは今に始まったことじゃない感じですよね。

    —–
    なんというか、いくら育成環境を整えたところで、スペインやイタリアのようになるわけがないとしか思えません。そもそも彼のリーグと決定的に違う資金力をリーグ全体で持っているわけですし、若手が成長できる時間を、主戦力を獲得することで賄えちゃいます。他リーグのクラブの保有件を得たところで、本クラブの優秀な戦力の流動性が高ければ付け入る隙はほとんど無くなるわけで…この莫大な放映権が生まれ続ける限りは、若手選手達の状況はなにも変わらないでしょうね

  4. プレミアリーグ大好き! より:

    FAの石頭どもはさっさとBチーム制を導入しろや
    プライドだけは無駄に高いから困る

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