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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

後方の攻撃力が格段にUP!マンチェスター・シティがたった1年でこれだけ強くなった理由。

「BBC」は、GK革命とサイドの刷新を勝因に挙げています。ペップ・グアルディオラ、就任2年めのプレミアリーグ制覇。マンチェスター・シティでの最初のシーズンを、23勝9分6敗の3位という凡庸な戦績で終えた47歳の指揮官は、オフシーズンにコンセプチュアルな補強に打って出ました。イングランド代表のレギュラーGKジョー・ハートと、百戦錬磨のベテランGKクラウディオ・ブラボに背を向け、24歳のエデルソンを獲得。コラロフ、クリシー、サバレタ、サニャと前年のSBを全員放出して、バンジャマン・メンディ、カイル・ウォーカー、ダニーロに入れ替えました。1月にはアイメリク・ラポルテまで押さえる後方中心の強化。初年度にサネ、ガブリエウ・ジェズス、ギュンドアンを買ったペップは、前線はベルナルド・シウヴァだけで充分と見切っていました。

大胆すぎる改造を施したチームは、新戦力がフィットするまで時間がかかるのではないかと懸念されていたのですが、プレミアリーグ前半戦の勝ち点ロストは2節のエヴァートン戦のドローのみ。成功した補強の最初のひとりにエデルソンを指名した「BBC」に、諸手を挙げて賛成します。ペップが求めるGKは、セントラルMFのようにビルドアップに参加できるタイプ。ショットストッパーとしては評価されていたジョー・ハートが選ばれなかったのは、セービングにミスが目立つからではなく、足元の技術に難があったからです。昨季のプレミアリーグでゴールマウスをまかせられたブラボは、名将の期待に応えられず、パス成功率は72.6%。2017年の夏にベンフィカから3500万ポンドでやってきた若き守護神は、自陣につなぐパスの95.1%を成功させています。

バーンリーのショーン・ダイク監督は、「(現役時代は攻撃的なCBとして有名だった)ロナルド・クーマンがゴールを守っているかのようだ。ボールを手に入れると、ピッチのあらゆるエリアに投げてくる。彼が火を着けると、シティのゲームプランに大胆さが加わる」と絶賛。攻撃時にはフィールドプレーヤーがひとり多いペップのチームは、オタメンディやジョン・ストーンズが思い切って前に出ていけるようになりました。プレミアリーグにおけるポゼッション率が昨季の64.9%から71.2%に向上した要因は、キープ力に長けたデブライネやダヴィド・シルヴァの存在だけではありません。新GKはセービングも安定しており、21節のクリスタル・パレス戦の終了直前にチームを救ったPKストップがなければ、これほどの差をつけて早期に優勝を決めることはできなかったかもしれません。

右サイドは、カイル・ウォーカーの加入で安定。SBの強力なサポートによって、マン・シティ入団後の最初の2年で64試合12ゴールだったスターリングが、29試合17ゴール8アシストとブレイクしました。バンジャマン・メンディの長期離脱は誤算でしたが、デルフとジンチェンコでカバー。こちらのサイドには、SBやMFとのマッチアップをひとりで制圧できるレロイ・サネがいます。プレミアリーグ29試合9ゴール12アシストの快足ウインガーは、守備に不安を抱えていた急造SBたちの負担を確実に取り除きました。

ペップのスタイルへの理解が高まったオタメンディ、スターリング、サネ、デルフらのパフォーマンスがこれだけ上がれば、元よりワールドクラスのデブライネ、ダヴィド・シルヴァ、フェルナンジーニョ、アグエロが結果を出すのは必然です。25試合21ゴールのアグエロと24試合10ゴールのガブリエウ・ジェズスは、いずれも負傷が多い選手ですが、今季はアグエロに長期離脱がなく、ストライカーの不振に悩む時期はさほどありませんでした。15アシストでプレミアリーグTOPのデブライネと、11アシストで3位のダヴィド・シルヴァをインサイドMFに据えた4-3-3は機能性が高く、彼らが上がって空いたスペースは、フェルナンジーニョ、CB、中に絞ったSBで埋めています。

こうしてマンチェスター・シティの強さを紐解いていくと、「後ろのパフォーマンスを高めたことで、前のタレントがより活きるようになった」のがよくわかります。お金で優勝を買ったと揶揄する声には、彼らは補強と同時に大胆な放出も敢行しており、夏のマーケットではマンチェスター・ユナイテッドよりも収支のマイナスは少ないと反論しましょう。いや、素晴らしい。ペップの狙いどおりのリーグ制覇です。最強マンチェスター・シティは、自らがタイトルを獲得するばかりでなく、プレミアリーグの全体のレベルを一段高めてくれました。来季は連覇とともに、欧州の頂点まで狙っていただければと思います。名将の夏のチーム作りが、今から楽しみです。

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“後方の攻撃力が格段にUP!マンチェスター・シティがたった1年でこれだけ強くなった理由。” への3件のフィードバック

  1. ペップの街 より:

    「ロナルド・クーマンがゴールを守っているかのようだ。」とは気の利いた賛辞ですね。昨夜のテレビでエデルソン→サネのピンポイントパスをVTRでやってましたが、何回見ても信じられない素晴らしいパスと連携でした。

  2. タムコップ より:

    一般論としてフィールドプレイヤーばりのテクニックがGKに求められるようになったのはノイアーの出現が大きく関与してると思うのですが、そこから各チームが「足元も出来るGK」と呼ばれる選手を軒並み補強していく中で、エデルソンは傑出してますね。
    純粋なGKとしては「守護神」という言葉が相応しいデ・ヘアの方が上回っている印象が強いですが(ロリスも然り)、どのチームよりも決定機を作らせないシティと、最後はデ・ヘア頼みになってしまうユナイテッドの戦い方の差が両チームのGKのスタッツに現れてるのかな、と考えます。
    いずれにしてもプレミアにこれだけ素晴らしいGK達が参戦してくれるのは純粋に喜ばしいですね。
    我がレッズはカリウスとの競争に負けてしまったミニョレの移籍はほぼ確定路線なので、どういったタイプのGKをこの夏に迎え入れるのか、はたまたウォードの序列を上げることで手を打つのか…。
    他チームの動向も込み込みでこの夏のマーケットが楽しみです。

  3. りーりー より:

    あまりプレミアを見ないためエデルソンはノイアーばりの飛び出しを見せるがそのまま避けられて無人のゴールポストに流し込まれるアクティブすぎるGKといった悪いイメージしかなかったのでこのブログで彼の強みを知れてよかったです!

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