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日本企業が全体の3割!マンチェスター・ユナイテッドのスポンサー・最新30社リスト

イギリス紙「メトロ」が、「Manchester United’s giant sponsors list revealed, includes official ‘paint’ and ‘diesel engines’ partners」と題して、マンチェスター・ユナイテッドのスポンサーリストを掲載しています。フジテレビなどのコンテンツ提携パートナーはここには入っておりませんが、現在のスポンサー総数は30社。今季プレミアリーグの開幕時は27社だったはずなので、そこから3社が加わっているようです。30社のうち、日本企業は9社。中国、韓国、タイなどを加えると、アジア企業が過半数の17社となっており、マンチェスター・ユナイテッドが、ここ数年、いかにアジアのマーケティングに力を入れてきたかがわかります。

スポンサーは「グローバル」「リージョナル(地域)」の2つのカテゴリーに分かれておりますが、これはマンチェスター・ユナイテッドの営業戦略によるものでしょう。一般的にスポンサーは、同業の会社を複数入れられないので、グローバルのみだと「1業種1社」となります。このリストをみると、同じ酒造関連でもビールとワインとカクテルなど、細分化することで業種をかぶらないように腐心しているようですが、いずれにしても、グローバルスポンサーは、その数が増えるごとに売れない業種も同時に増え、販路が狭くなっていくわけです。

そこに「地域」の概念を持ち込めば、「日本の食品」「アメリカの食品」「イタリアの食品」を、それぞれスポンサーにつけることができます。マンチェスター・ユナイテッドは、地域スポンサーはフィーを安くする代わりに権利を国内限定とし、グローバルからは高いお金をいただきつつ、地域スポンサーにはないさまざまな特権を付与する、という形にしているものと思われます。正式なレギュレーションを確認したわけではないので、上記には推測も入っていますが、概ね間違っていないはずです。

【マンチェスター・ユナイテッドのスポンサー30社】
■グローバルスポンサー
アベンゴア(スペイン:エネルギー、通信等)、アエロフロート(ロシア:航空)Aon(USA:保険)、ブローバ(USA:時計)、Bwin(ジブラルタル:ブックメーカー)、カンパリ(イタリア:酒造)、シボレー(アメリカ:自動車)、コンチャ・イ・トロ(チリ:ワイン)、DHL(ドイツ:運輸)、ナイキ(USA:スポーツ用品)、シンハー(タイ:ビール)、
日本企業=エプソン(電気機器)、関西ペイント(塗料製造)、日清食品(食品)、東芝メディカルシステムズ(医療機器)、ヤンマー(発動機・船舶等)

■地域スポンサー
アポロ(インド:タイヤ)、チョア製薬(韓国:製薬)、ユーロフード(イタリア:食品)、フェデラル(台湾:タイヤ)、香港ジョッキークラブ(香港:競馬競技団体)、ムルティストラーダ(インドネシア:タイヤ)、オットゥギ(韓国:食品)ペプシコーラ(USA:飲料)、ユニリーバ(オランダ、イギリス:家庭用品)、ワハハ(中国:飲料)
日本企業=グループス(ゲーム開発)、本田技研工業(自動車・バイク)、カゴメ(飲料・食品)、万田発酵(健康食品)

さて、この夏、香川真司がプレミアリーグに残るのか、移籍するのかが話題になっていた頃、日本のタブロイドの夕刊紙などで、「香川真司を放出するとスポンサーが離れていくから残すはず」という報道がありました。確かに、全体の3割が日本企業なので、日本への影響をないがしろにできないのは間違いありませんが、あらためてこのリストをみると、香川移籍を理由に契約更新をしない日本企業は、あっても半分以下ではないでしょうか。グローバルスポンサーになっている企業は、マンチェスター・ユナイテッドに価値を感じられずにスポンサーを降りることはあっても、日本人選手の有無では判断しないはずです。彼らの多くは、香川真司を使って日本で宣伝をしたいというよりは、欧州で自社の認知度を上げ、シェアを高めたいと考えていると思われます。グローバルスポンサーは、自社が降りた後に同業他社が入れば戻れなくなるので、契約を更新しないというジャッジは慎重に下すでしょう。

降りるとすれば、「香川きっかけで背伸びして入った感のある地域スポンサー」ですが、社数と会社規模をみる限り、金額的な影響は軽微にみえます。おそらく、「いなくなったら次のスポンサーを獲ってくればいい」という程度の影響だと思われます。テレビ放映権料ベースで見ても、東南アジア全体のマーケットは日本の5倍以上なので、マン・ユナイテッドは、香川真司入団以降に一気に増やした日本のスポンサーを維持するよりも、タイや中国、インドネシアなどのマーケット開拓に注力していくほうが賢いでしょう。

マンチェスター・ユナイテッドにとっていちばん怖いのは、2年連続でチャンピオンズリーグ出場権を獲れずにブランド価値とスポンサーを同時に失うことでしょう。ファン・ハール監督は、自らのチームが背負わされているスポンサーフィーの大きさをひしひしと感じているはずです。「失敗したらスポンサー収入がいくら減る」と、自分のエラーで失った金額が数字でわかる監督という仕事のプレッシャーは、並大抵ではありませんね。監督としてのスキル以前の問題で、私には到底できません。

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