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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「4バックに戻せ」「デ・ヘアは残せ」…熱きサポーターたちが、ファン・ハールに「待った」!

セインツ戦もQPR戦の前半も、ろくにシュートを打てずに苦しんでいたマンチェスター・ユナイテッド。サイド攻撃の数は少なく、中央にいるディ・マリア、ファン・ペルシ、ファルカオら最前線の選手へのパスコースは切られ、横パスをただまわす姿が目立ちます。ロフタス・ロードに陣取ったアウェイサポーターは、ついにしびれを切らし、「4-4-2」のチャントを大合唱し始めました。この日の布陣は、なぜかディ・マリアがトップでマタがその下、ルーニーはセントラルMF。運動量、守備力、長距離を一気に突破できるドリブル、遠めからのシュート力があるディ・マリアを前線で密着マークに晒す戦術では、彼の長所を活かしきれないのは明らかでした。

マンチェスター・ユナイテッドの3バックは、プレミアリーグ開幕当初は守備の脆さが非難されておりましたが、最終ラインの整備は進み、目下の課題は攻撃です。トッテナム、ストーク、セインツと続いたプレミアリーグ3試合でわずか1ゴール。ファルカオのゴールはCKからのもので、崩しによってゲットした得点はありませんでした。オールド・トラフォードで枠内シュートゼロと、セインツに手もなくクリーンシートを喰らったことで、ファン・ハール流3-4-1-2は既に槍玉に挙がっておりましたが、一向に改善しないQPR戦でついに爆発したわけです。選手が戦い方を熟知している4-4-2に戻せ、と。

この試合では、57分のジョニー・エヴァンスの負傷で指揮官は交代を余儀なくされ、代わって入ったジェームズ・ウィルソンがファルカオと並ぶ2トップ。ディ・マリアが1列下がり、最終ラインにバレンシア、フィル・ジョーンズ、ロホ、ダレイ・ブリントが並ぶ4バックにスイッチします。するとその1分後、後半頭から入ったフェライニが先制ゴール。ファーガソンの時代を思い出させるバレンシアのサイド突破をみて、中央に侵入してワントラップのシュートを叩き込んだフェライニの動きは、ポール・スコールズのようでした。身長は、ともかく。

私は、マンチェスター・ユナイテッドの現在の問題は、3バックよりも、前の「1-2」にサイドをフォローする狙いがないことだと思っています。4-4-2と3-4-1-2の大きな違いはサイドの人数です。同じ3バックでもリヴァプールの3-4-3にはウィンガーがおり、マルコヴィッチ、ララナ、アルベルト・モレノ、ヘンダーソン、マンキージョらを両サイドに2人ずつ配置しますが、3-4-1-2はサイドはひとり。昨季プレミアリーグを席巻したリヴァプールのスアレス・アンド・スタリッジ(SAS)のように、どちらかがサイドに張ってボールを呼び込むなどの工夫があればいいのですが、ファン・ペルシやファルカオは、セルフの判断で開くことはあっても、組織の意図としてサイド攻撃を支援するシーンはほとんどありません。相手より頭数が少ないサイドを抑えられ、中央に目を向けると、そこにはセントラルMFとCBが待ち構えており、あっという間に大渋滞。シュナイデルランとワニャマが並ぶセインツ相手に、完全に読まれている楔のパスを打ち続けるようでは、シュートが打てなくても仕方がありません。

一昨日、イギリスメディア「スカイスポーツ」が、マンチェスター・ユナイテッドにおける3バックと4バックの数字の差異を分析しておりました。今季プレミアリーグにおけるそれぞれの試合数は、3バック12試合、4バック10試合。勝率は3バックが42%、4バックでは60%。ゴール数は3バックが1試合あたり1.3、4バックなら2.0。3バック時の勝ち点平均は1.7、4バック時が2.0と、4バックのほうがいい数字が出ており、両者の差が得点力にあるのは明白です。余談ですが、マンチェスター・ユナイテッドがガレス・ベイルをプレミアリーグに呼び戻そうとしているという話が、ネタではなく事実だとすれば、ファン・ハール監督が思い描く完成型は、ディ・マリア左、ベイル右の3-4-3なのではないかと思います。そして、それが実現した時は、居場所を失ったファン・マタはスペインに戻ることになるでしょう。

そうそう、そうです。ベイルです。ちっとも余談ではありませんでした。イギリス紙「デイリー・ミラー」の記事によると、ベイル獲得の件についても、現地サポーターから「ちょっと待った!」が出ているようです。イギリスメディアに「デ・ヘアとベイルをトレード」という記事が出たことを受けて、サポーター団体「マンチェスター・ユナイテッド・サポーターズ・トラスト」が、Facebookで「デ・ヘア残留と、ベイル獲得&デ・ヘア放出とではどちらがいいか」というアンケートを実施したそうです。結果は、デ・ヘア圧勝。99%のサポーターが、守護神の残留を支持したそうです。

そりゃ、そうでしょう。単純計算ではありますが、今季のデ・ヘアは、ジエゴ・コスタやアグエロ、アレクシス・サンチェスらのゴール数を上回る数のビッグセーブ連発で、少なく見積もっても10をくだらない勝ち点をチームに積んでくれているのですから。「世界中で6億人以上いるファンの意見を考慮に入れるのは不可能だ」などとはぐらかしながら3-4-1-2には頑固なファン・ハール監督も、こちらについては同意見であると信じたいところ。私も声を大にしていいたいです。今後、15年に渡ってサポーターに激しく愛され続けるであろう絶対的守護神を出すなどという悲しい暴挙だけは、何としてもやめてください。1998-99シーズンのトレブル達成にはピーター・シュマイケル、2007-08シーズンの雨のモスクワでの欧州戴冠にはエドウィン・ファン・デル・サールという全幅の信頼をおける名手がいたことを忘れないでください、と。

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