偏愛的プレミアリーグ見聞録

最初のプレシーズンマッチとなったダービー・カウンティ戦はタヒス・チョンとペリストリ。4-2で敗れたQPR戦はリンガードとエランガ。74年ぶりにプレミアリーグに昇格したブレントフォードとの一戦は、エランガとアンドレアス・ペレイラ。これまでの3試合でゴールを決めた選手のなかで、トランスファーマーケットが終わってもキャリントンに残っているのは、成長著しいアントニー・エランガだけかもしれません。

タヒス・チョンはバーミンガムへのローン移籍が決まっており、ペリストリもスールシャール監督が武者修行を示唆。指揮官が「どうしようか悩んでいる」といっているエランガも、他クラブで経験を積んだほうがいいというジャッジになる可能性があります。仕上がりが早そうなリンガードと、ブレントフォード戦でボックスの外からスーパーボレーを叩き込んだペレイラは、売却候補といわれています。

「マンチェスター・ユナイテッドはタクトをスイッチする。先発の11人の強化から、スカッドのスリム化へ」。地元メディア「マンチェスター・イブニングニュース」は、プレミアリーグ制覇をめざすクラブが補強のペースを変えようとしていると伝えています。何としても早期に合流させたかったジェイドン・サンチョとラファエル・ヴァランがスムーズに決まった今、新戦力がいないと困るポジションはありません。

ワン＝ビサカが順調なら、キーラン・トリッピアーの獲得はデッドラインデー直前でOK。鼠径部を痛めていたファン・デ・ベークはブレントフォード戦で15分プレイしており、中盤の補強はポール・ポグバの去就が明確になってからでも間に合います。ユーロ2020で最後まで戦ったルーク・ショーが出遅れるリスクと、ラシュフォードが肩の手術で10月末まで欠場することを考慮すれば、アレックス・テレスとマルシアルは「Not for sale」となるはずです。

リンガード、ブランドン・ウィリアムズ、ディオゴ・ダロト、フィル・ジョーンズ、アンドレアス・ペレイラ、ポグバのうち、何人を売却できるでしょうか。「リンガードをほしがっているウェストハムは、2000万～2500万ポンドなら調達できる」「パリが狙っているポグバは、4000万～4500万ポンドになる見通し」。2人合わせて最大7000万ポンドと見積もった地元メディアは、「ウインドウの後半でセントラルMFを獲るためにマッド・ダッシュするための予算が膨らむ可能性がある」と指摘しています。

攻撃的に戦いたいとき、ワン＝ビサカよりも効果的なキーラン・トリッピアーと、豊富な運動量とパスワークを兼ね揃えた6番ないしは8番を獲得できれば、夏の補強は満点です。プレミアリーグ20クラブのうち、最も快調に新戦力獲得を進めているマンチェスター・ユナイテッドが改善できそうなポイントを列挙してみましょう。

■ジェイドン・サンチョの加入で右サイドのアタックが強化され、ブルーノ・フェルナンデスの上下動の負担が緩和される
■右サイドにワールドクラスのウインガーが定着すれば、センターで起用する機会が増えるグリーンウッドの量産が期待できる
■過去2シーズン、満足なパフォーマンスを披露できなかったポグバの復活。あるいはポグバ売却なら、運動量豊富なMF獲得による中盤の活性化とプレスの連動強化
■プレミアリーグ2年めとなるファン・デ・ベークの本領発揮
■ラファエル・ヴァランの加入によるラインコントロールの精度向上とマグワイアの負担軽減
■マグワイア以外が不安定だったセットピースの失点削減
■ルーク・ショー無双（!!）
■守備範囲が狭いデ・ヘアをボックスの外に出られるディーン・ヘンダーソンに完全スイッチすれば、最終ラインを高く設定できる

取らぬタヌキのナントカも多分に入っているのですが、サポーターの妄想＆願望ということでご容赦ください。もうひとつだけ、変革を期待したいポジションがあるのですが、最も難易度が高そうです。「スールシャール戦術のクオリティUP」。8つのうち、5～6個は指揮官次第なんですよね…。