イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

終わる理由がすべて揃ったラストゲーム…無冠のスールシャール、納得の解任。

「オーレは常にマンチェスター・ユナイテッドのレジェンドであり、このような難しい決断に至ったことを残念に思う。この数週間には失望したが、長期的な成功のための基盤を再構築するべく、過去3年にわたって取り組んできたすべての仕事を無にするべきではない」

プレミアリーグ9節のリヴァプール戦は0-5、11節のマンチェスターダービーは0-2。本拠地オールド・トラフォードでライバルに完敗しても動かなかった経営ボードが、ワトフォード戦の惨敗によって重い決断を下しました。オーレ・グンナー・スールシャール、解任。2018年12月にジョゼ・モウリーニョの後任としてクラブに復帰したノルウェー人監督は、トロフィーを掲げることなく去ることになりました。

マンチェスター・ユナイテッドの公式サイトは、「今後はマイケル・キャリックがチームの指揮を執る」「シーズン終了までの暫定監督を検討する」と明言。「スカイスポーツ」は、プレミアリーグ復帰に前向きなマウリシオ・ポチェッティーノがトップターゲットと報じています。2021年1月にパリ・サンジェルマンと契約を結んだアルゼンチン人指揮官は、ビッグイヤーを逃したら立場が危うくなるといわれており、夏に動く可能性ありと伝えられています。

第二希望に挙げられているのは、アヤックスのエリック・テン・ハフ。ポチェッティーノと同様に2023年まで契約を残している指揮官は、「100%、この仕事に興味がある」そうです。クリスティアーノ・ロナウドが推しているといわれるルイス・エンリケは、スペイン代表の指揮官としてカタールで戦う前には動かないでしょう。

2年11ヵ月の戦績は、168試合91勝37分40敗。勝率54%はモウリーニョの58%より下で、53%のモイーズと52%のファン・ハールを上回っています。直近2シーズンはプレミアリーグ3位、2位と順位を上げていたものの、タイトルはゼロ。ビッグ6との直接対決は公式戦14勝10分12敗、プレミアリーグ8勝10分8敗という微妙な戦績で終わっています。

ハリー・マグワイア、ジェイドン・サンチョ、ブルーノ・フェルナンデス、アーロン・ワン=ビサカ、ラファエル・ヴァラン、ドニー・ファン・デ・ベーク、クリスティアーノ・ロナウドらに総額4億4100万ポンド(約676億円)を投資した見返りとしては、不満といわざるをえません。

とはいえ、TOP4をキープしていれば、スールシャールは役割を放棄させられることはなかったはずです。プレミアリーグ開幕から4勝1分と好スタートを切ったチームは、なぜ崩壊したのでしょうか。最大の理由は、最もゴールとアシストの期待値が高いブルーノ・フェルナンデスが輝かなくなったことでしょう。

クリスティアーノ・ロナウドとグリーンウッドの運動量が少なく、守備の負担が増えたプレーメイカーのポジションが低くなったため、ファイナルサードに厚みをもたせることができなくなっていました。それでもジョゼ・モウリーニョなら、中盤センターをうまく動かして堅守を構築したはずです。フレッジ、マクトミネイ、ポグバ、マティッチにCBの前のスペースを埋めさせられないまま、失点は21に膨らんでしまいました。

大金を投じたファン・デ・ベークとジェイドン・サンチョを使いこなせず、好調リンガードは勝負のチャンスを与えられず。ワトフォード戦の後半に見せたファン・デ・ベークとサンチョの素晴らしいパフォーマンスは、スールシャールを送り出すスワンソングのようでした。チーム内のフェアな競争を活性化させたければ、ラシュフォードをマルシアルではなく、リンガードで勝負するべきだったと思います。彼の交代策は、最後のゲームでも狙いが見えませんでした。

頼みの綱だったブルーノはゴールラインまで戻って守備に忙殺され、何度もチームを救ってきたCR7は唯一の仕事であるゴールを決められずに終わりました。追加タイムのジョアン・ペドロとデニスの連発は、マンチェスター・ユナイテッドの経営陣を覚醒させる効果的な目薬でした。解任の納得感を高めるためにあったような、17位に対するアウェイ惨敗。クラブが発表したというニュースに驚き、悔しさ、憤りは感じられず、胸を支配したのは安堵のみでした。

それでも最後は、2年連続でCL出場権を確保した監督に対して、おつかれさまでしたという言葉を残したいと思います。2021年1月、ブルーノ・フェルナンデスの超人的な活躍で暫定ながら首位に立ったとき、やっとここに戻ってきたという感懐と、難敵4連戦を控えるペップがコケてくれればもしやという淡い夢はありました。

「われわれに多くの素晴らしい瞬間をもたらしてくれた」。クラブが発表したステートメントにうなずきながら、あまりにも歪な選手たちのスタッツを見返しています。CLのビジャレアル戦の後、チェルシー、アーセナル。マイケル・キャリックの仕事に一喜一憂する新たな日々が既に始まっています。


おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“終わる理由がすべて揃ったラストゲーム…無冠のスールシャール、納得の解任。” への5件のフィードバック

  1. のこ より:

    出て行く選手もいるでしょうし、せっかく戦力が整ってきたところで出直しはしんどいですね。スルーシャールには感謝しつつ、4位以内が目標になるであろうキャリックと暫定監督に期待して今期は楽しもうかと思います。

  2. エイプリル より:

    年々順位を上げていたことや、ビッグ6(このくくりに意味があるのか疑問ではありますが)に勝ち越したのは素直に評価すればよいポイントなのでは。
    相手が落ち目だと思えば何でも悪い方に捉えて書くのはどうなんですかね。

    • makoto より:

      最後まで読んで、「相手が落ち目だと思えば何でも悪い方に捉えて書く」と捉えられたのであれば、私から返す言葉はありません。

      • ぎぐ爺 より:

        3年で676億使って何一つ残せていないのだから
        あれくらい書いても問題ないと思います。

  3. ルーニー より:

    ロナウドさえ獲らなければ今頃イングランドスリートップが大暴れしていたはずです。
    この7年間で、見ていて一番楽しかった。ありがとうスールシャール。

コメントを残す