イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

昨季の赤字は1億ポンド超、過去10年の移籍金過剰額は欧州1位…さて、このクラブのお名前は?

「失われた9年」…サー・アレックス・ファーガソン勇退の後、プレミアリーグとチャンピオンズリーグのトロフィーに近づけなくなったマンチェスター・ユナイテッド。2013年以降、FAカップとヨーロッパリーグ、EFLカップ制覇という戦績に納得しているサポーターはいないでしょう。

2度のプレミアリーグ2位は、天空のペップを見上げるばかりで、優勝争いと呼べるものではありませんでした。残念な足跡をあらためて辿ってみると、ファーガソンよりデヴィッド・ギルCEOの退任のほうが痛手だったのかもしれません。2012年に後を継いだエド・ウッドワードは、マーケティングとブランディングは成功させたものの、チーム運営においては成長も継続性もありませんでした

デヴィッド・モイーズ、ルイ・ファン・ハール、ジョゼ・モウリーニョ、オーレ・グンナー・スールシャール、ラルフ・ラングニックとつないだ指揮官選定に一貫性はなし。「戦績はコマーシャル収入に影響を及ぼさない」とうそぶいたCEOは、シャツの売上が目的であるかのような選手獲得に終始しました。

今週になって、マンチェスター・ユナイテッドは、お金に関する不細工な数字を立て続けに報じられています。「BBC」がレポートしたのは、2021-22シーズンの莫大な赤字です。コロナ禍に苦しんだ前年から18%UPの5億8320万ポンド(約933億円)の売上を出しながら、損失は1億1550万ポンド(約185億円)。クラブの負債総額は、4億1950万ポンドから5億1490万ポンドと22%も増えています。

赤字の最大の理由は人件費です。クリスティアーノ・ロナウド、ジェイドン・サンチョ、ラファエル・ヴァランらの獲得によって、サラリーは19%上昇し、3億8420万ポンド(約616億円)に膨れ上がりました。増加分は6160万ポンド(約98億円)で、損失の過半を占めています。CR7復帰という物語は、プレミアリーグの順位にもマーケティングによる利益にもつながらなかったといい切っていいでしょう。

「クラブの使命は、フットボールの試合に勝ち、ファンを楽しませること」というリチャード・アーノルドCEOの言葉には、「プレミアリーグは何位でしたっけ?」。クリフ・バディCFOの「パンデミックからの回復、ファンの完全復帰、新たなコマーシャルパートナーシップで伸ばした売上は、選手への投資で相殺された」という他人事のようなコメントには、「相殺ちゃうやん、赤字やん!」とツッコミを入れたくなります。

もうひとつの残念なお話は、「CIES Football Observatory」が発表した「移籍市場における過剰支払額ランキング」です。2012年7月からのトランスファーマーケットで実際に投じた移籍金と、獲得した選手の評価額とのギャップを取ったもので、33名に2億3800万ユーロ(約342億円)も払いすぎたマンチェスター・ユナイテッドは欧州1位だそうです。

2位はクリスティアーノ・ロナウドやヴラホヴィッチに投資したユヴェントス。3位はネイマール、ムバッペといったビッグディール連発のパリです。プレミアリーグ勢は、チェルシーが6位、アーセナルが7位、エヴァートンが9位。お金を稼ぐのはうまかったウッドワードが、いかに使うのが下手だったかがよくわかります。

今年の夏も、アントニー、リサンドロ・マルティネス、カゼミーロは間違いなく払いすぎですが、これまでよりも実のある補強ができたのではないでしょうか。リチャード・アーノルドCEOとテン・ハフ監督に、愚行のスパイラルを断ち切るチーム作りを期待しましょう。プレミアリーグの頂点奪還はアーセナルが先だろうな、と思いつつ。


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